衆院予算委員会で5日、2021年度本予算の基本的質疑がおこなわれ、衆院会派「立憲民主党・無所属」の吉川元議員が6番手で質問に立ちました。吉川議員は、(1)政府の新型コロナ対策が後手後手となる要因(2)保健所の疲弊(3)持続化給付金(4)株式市場への公的資金投入――等について質問しました。

 吉川議員は、政府の新型コロナウイルス感染症対策が後手後手に回っていると指摘し、その要因は菅総理の政治理念である「自助・公助・共助」という考え方に起因しているのではないか、だから1月27日の参院予算委員会で石橋議員の質問に「最終的には生活保護がある」と答弁したのではないかと問いただしました。
 菅総理は「助け合い、支え合いは大事。政府のセーフティーネットは一挙に生活保護に至るのではなく、給付金あるいは貸付など重層的につくらせていただいており、それでもだめなら政府が頼りになる、そういう信頼感をもっていただけるようにする」と説明しました。
 吉川議員は、「国民は普通に自助、共助はやっている」と述べ、行政の長である総理はまず、公助を考え、そのようなメッセージを発信しなければいけないと訴えました。菅総理は、対策は「専門家をはじめ、さまざまなご意見を聞きながら判断している」と応じ、自助・共助・公助が基本だという考えを譲りませんでした。

 次に、新型コロナウイルス感染症への対応で疲弊している保健所の職員団体のアンケートから「常勤で働く人員を増やしてほしい」「手当は一切ありません」「携帯電話で呼び出し音がこわい」との声を紹介し、この背景には行き過ぎた行政改革により保健所職員が大幅に減らされたことがあると指摘しました。これに対し菅総理は、「保健所職員の皆さんには大変なご努力をいただき、大きなご負担をかけていることに心から感謝と敬意を表します」と述べ、保健所を管轄する自治体に、全庁的な応援体制、外部委託の実施を要請し、その対策費については国が交付金を通して応援するとの考えを示しました。吉川議員は、保健所職員の処遇改善、配置基準を改めるよう求めました。

 続いて持続化給付金について、任意団体にも支給対象に加えるよう求めました。梶原経済産業大臣は、「人格なき社団については個別の事業実態が多様で、膨大な申請件数があるなか、把握が難しい。一律の基準では判断できないので対象外としている。独自に支援している自治体には地方創生交付金を活用して支援していく」と説明しました。
 また、第1波の緊急事態宣言で実施されたタクシーデリバリーの免許取得の特例について、今回の宣言下でも実施するよう求めました。

 次に株式市場への公的資金投入を取り上げ、GDPもマイナス、有効求人倍率も低下するなど経済・雇用指標が悪化する中、株価は昨年3月に急落したものの3月半ばからは上昇傾向を続けていることの違和感を指摘しました。この背景には日本銀行によるETFの大量買入れやGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の公的資金の投入があり、官製市場になっているのではないかと日銀総裁の見解を求めました。
 黒田日銀総裁は株価そのものについてのコメントは差し控えるとした上で、「(株価は)一般的に経済の先行き、企業の先行きを判断するもの」で、日銀によるETFの買い入れの効果は、家計の前向きな経済活動をサポートし、株式市場の不安定な動きを緩和することではないかとの認識を示しました。
 これに対し吉川議員は、年間12兆円もの巨額の公費を市場に投入しているのは異常だと指摘し、「株式市場が経済の先行きを反映しているとはまったく思わない。一部にとっての官製バブルであって、実態と乖離している」と述べました。
 その上で、「国民に自助を求めながら、株式市場には公助を入れているではないか。日本銀行は通貨の番人だったはずが、株価の番人になってしまっている」と批判し、菅総理に姿勢を改めるよう求めて質問を終わりました。

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