参院本会議で4月19日、岸田総理の訪米帰朝報告に対する質疑が行われ、小西洋之議員が登壇しました。

 小西議員は、まず、総理が米国議会で行った演説について、日本が「大風呂敷な国際約束」をしたのではないかとメディア等から疑念が広がっているとして、総理に見解をただしました。

 総理演説のすべての軍事的な文脈に、何の留保も条件も付けず、日本が米国のグローバル・パートナーとしての役割と責任を果たすと繰り返し宣言しているため、日本が米国の軍事行動に対し、その内容や地理的範囲に無限定に協力するといった内容に捉えられると指摘しました。一方で、日米の共同声明では、一部を除き自衛隊の行動地理的範囲がインド太平洋地域に限定されており、「共同声明と議会演説は日米の軍事面の協力内容として同一のものなのではないか」と矛盾を指摘しました。その上で、仮に同一とするなら岸田総理は米国議会や米国民への受けを狙って意図的に大風呂敷を広げる、いわば二枚舌外交の演説を行った」として、岸田総理に説明を求めました。

 岸田総理は「日米共同声明と議会演説のメッセージは一貫したもので齟齬(そご)はない」と否定した上で、軍事的手段に限らず外交や経済も含めたグローバル・パートナーであり、その点も含め、今回の訪米で米国議会や米国国民の理解を得ることができたと主張しました。

 また、小西議員は日米同盟の本質として、米国にとっても日米同盟が最も重要な同盟関係であるにもかかわらず、岸田総理が議会演説で一切語らなかったことについて触れました。在日米軍基地が「自由で開かれたインド太平洋」の中核拠点である等、茂木元外務大臣らが「日米同盟は米国にとっても最も重要な2国間関係」と答弁した例を挙げました。「米国の国民や政治家が日米同盟の本質を実はほとんど知らない。政府を挙げた説明を」との求めに対し、当時、茂木外元務大臣が「米国の議会や米国内の各層の理解促進に一層取り組んでいきたい」と答弁。「岸田総理はこういった政府の外交方針に反し、ただただ日本が更なる貢献、しかも地球規模での軍事貢献などを訴えるだけ」で、日米同盟が本来的に有する米国にとっての死活的かつ代替不可能な価値を米国議会で一切訴えなかったと指摘しました。

 一方で、小西議員は、在日米軍基地を基盤とする米国の戦争に日本が必然的に巻き込まれるリスクについて、「仮に台湾海峡有事、米軍と中国軍との武力紛争が勃発により、在日米軍基地が中国軍の標的になるという認識はあるのか」「米軍基地へのミサイルの持ち込みと、その他国への発射は米軍の戦闘作戦行動として当然に日米の事前協議の対象になるのか」、岸田総理に問いました。

 岸田総理は仮定の質問には答えを差し控えるとした上で、「対話により平和的解決をされることを期待する」と政府としての従来からの立場を述べました。ミサイルの持ち込みについては、一般論として日米安保条約上の事前協議の対象外とした上で、昭和47年の政府統一見解においての典型的なもの以外の行動については『個々の行動の任務対応の具体的内容を考慮して判断するほかない』とされている」と答弁しました。

 小西議員は、総理が米国議会で「超党派の強力な支持」を訴えた防衛費倍増の1兆円程度の増税についての更なる増税の可能性と、倍増に至るまでの防衛費43.5兆円の内訳がこれまで政府から146項目の事業名を並べたA4用紙わずか5枚の資料でしか提出されていないことについて、いつまでに内訳・積算を資料説明するのか、具体的期限を答弁するよう総理に求めました。

 岸田総理は増税の可能性について、「防衛力整備計画で定めた金額の規模を超過することなく、必要な防衛力の抜本的強化を行っていく」「一昨年末の閣議決定の枠組みに基づいた防衛力強化を安定的に支える財源の確保を図っていく」とし、明言は避けました。防衛費43.5兆円の内訳については、既に提示済みとし、さらなる詳細については防衛省で作業を了したものから順次提示すると答えました。

 最後に小西議員は、主権外交の損失を含め、失われた30年の根本原因が「利権、人事、世襲」の自民党派閥政治の弊害だとして、派閥の政治資金パーティーの根絶を自民党内規ではなく政治資金規正法改正で実現する決意があるのか、岸田総理に問いました。

 岸田総理は派閥の規制については、自民党内規で速やかに厳格に遵守されるべきルールをガバナンスコードに明記するとし、政治資金規正法の改正については、公明党と協議を開始しているとして、今国会で自民党として最終的な改正案を取りまとめ、早期に示したいと述べました。

20240419帰朝報告 小西洋之.pdf

20240419_133623konisshi.JPG