泉健太代表は4月26日、党本部で定例の記者会見を開き、(1)GW全国行脚(2)食料農業農村基本法(3)護衛艦「いずも」のドローン撮影動画問題(4)政治改革――等について発言しました。

■GW全国行脚

 泉代表は4月29、30日に能登半島の被災地各地を訪問し、復旧・復興が進んでいないといった深刻な状況を目の当たりにしたと述べました。仮設住宅は設置されつつあるが、倒壊した建物や住宅の解体・再建、水道の復旧に至っていないケースが多く、県内の業者の数が圧倒的に少ない状況だと述べました。県外の業者に依頼すると、出張費など上乗せで料金が取られるため、地元業者に頼まざるを得ないといった事情があり、泉代表は来週にも政府へ第4次申入れを行う予定で、県外から業者を依頼する場合の宿泊費などの移動費を行政が補助して地元企業と同価格帯にしていく内容も含めて提案したいと述べました。

 1日からは北海道に入り、北方領土の旧島民らと意見交換をしたことにも触れ、環境省のマイクオフ問題について、「当事者から話を聞くときに途中でマイクを切るなんて、本当に考えられない話」と批判しました。

 泉代表は、その後、青森県、兵庫県、岡山県、福岡県を訪問したと報告しました。

■食料農業農村基本法

 食料農業農村基本法について、立憲民主党は対案を提出するも、与野党協議では衆院補欠選挙前で自民党が応じなかった経緯を振り返りました。今後、参院での議論、関連法案の重要なものが控えているとし、食料供給困難事態対策法案について言及。法案は、緊急事態時に食糧不足が生じた場合、どの程度の食料確保が可能かを把握するため、農家から計画を政府へ提出させるといった義務を課し、計画の提出を怠った場合は刑罰を科すとしたもの。これに関し泉代表は「ただでさえ経営も厳しいなかで農家を犯罪者にするような法律は絶対ダメ。撤回するべき」と強調しました。

■護衛艦「いずも」のドローン撮影動画

 海上自衛隊の防衛艦「いずも」をドローンで空撮したとする動画がSNSサイト上で拡散されている問題について、泉代表は本日、防衛省からヒアリングを行うと述べました。その上で、立憲民主党は「わが国の防衛を当然重視している党」として、今回の事例において「各駐屯地や各港でどういった対策が必要なのか、党でしっかりまとめていきたい」と述べました。

■政治改革

 政治資金規正法の改正をめぐり、自民党が自公案の情報を毎日小出しにし、仰々しい対応を取っていることについて、「『構えは大きく中身は小さく』が彼らの戦略。騙されないように」と、宣伝戦略であると指摘しました。政策活動費の公開については、「透明性の低い新たなカネの流れをつくるものであり、第2の旧文書通信交通滞在費のようなもの」と主張。「旧文通費も中身の公開だ、領収書を付けろ」といった流れであるのに、政策活動費で領収書のいらない世界を新たに作るといった自民党の議論は逆行していると批判しました。その上で、衆院3補選で立憲民主党がすべて勝利したのは非常に大きな成果とし、「政治倫理審査会の申し立てが行えるようになった」「今の自民党案ではダメだという世論をしっかり、われわれでつくっていかなければならない」と述べました。


泉健太代表記者会見

2024年5月10日(金)10時30分~11時15分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/1W3vjpLuoBU


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○全国行脚(1) 能登半島被災地の復旧・復興について

【代表】
 おはようございます。
 まず、連休明けの最初の会見になりますので、少し連休中のことをお話ししたいと思います。
 28日の補選の三つの勝利を受けて、その次の日から、この補選の勝利ということは一つ区切りとして、早速全国行脚をスタートさせていきました。
 特に29、30は能登半島を訪問しました。やはりここで、近藤和也議員、そして我が党の森山浩行(災害・)緊急事態局長と、能登半島各地、奥能登を回ったわけですが、やはり非常に復旧・復興が進んでいないという深刻な状況を目の当たりにしました。倒壊した建物の解体も非常に遅れているし、一生懸命仮設住宅を整備して、だいぶ仮設はあちらこちらに設置はされつつあるということではありましたが、やはり住宅の解体・再建、また水道の、家の前までは水道が来ているけれども、そこからの住宅の実際の水道復旧に至っていないケースなど、数多く見られました。
 それで、当日その場でのぶら下がりでもお話ししたのですが、特に今、県内で、能登半島で活動できる業者の数が圧倒的に足りないという現状ですね。これに対して、私は県なり国土交通省や厚生労働省や、いろいろな各役所に対して、外部、県外からの業者さんに頼むと、これは地元の被災者の方々にお話を聞くと、その出張費から何から全て上乗せで料金が取られてしまうので、やはり地元の業者に頼まざるを得ないと。もう価格が変わってしまいますよね。名古屋から来たとか、岐阜から来たとか、京都から来たという業者に頼りたいところなのだけれども、しかし、追加経費を全部負担するとなると、これはとてもではないけれどもやはり地元の人に頼むしかないので、そうすると3カ月待ち、5カ月待ち、下手したら1年待ちと。もう瓦の業者、解体の業者、水道の業者、みんなそうでした。
 やはりそういうものに対して行政がいかに補助を出すのかということが非常に大事ではないかと思っておりまして、そういうことで、改めてですが、来週、我が党としてもまた改めて政府に、第4次ですかね、申入れを行うことになっているのですが、こうした県外業者がやってきて、何も法外な報酬を得るということではなく、地元と同じような報酬を得る。しかしながら、当然ながら宿泊費がかかったり移動費がかかったりするわけですから、そういった分については行政が補助して同じ価格帯にしていくべきだということも含めて、ぜひ提案をしていきたいと考えております。

○全国行脚(2) 農業基本法改正案について

【代表】
 その後、1日からは、北海道。北海道でも、札幌と、釧路・根室の地域ですね。ここでは北方領土の旧島民の皆様とも意見交換をしました。
 当然、今になって考えれば、マイクを切るなんていうのは考えられないですよね。当事者の方からお話を聞くときにマイクを途中で切るなんていうのは本当に考えられない話でして、時間がオーバーしようが、やはりお話を承るためにその話合いというのは設定されているわけですから、本当に環境大臣は何を考えているんだというふうに私も感じました。
 それで、北海道から、さらに青森、そして兵庫、岡山、福岡というふうに回ってきたわけであります。
 そういう中で、北海道では農民連盟の皆様から意見交換、これまた懇談会を持っていただいて意見を聞きました。そこで、我が党としても今取り組んでいるのが、食料・農業・農村基本法(改正案)、ここでは立憲民主党として明確に対案を出して、非常に農家の皆さんには好評な対案なのですが、補欠選挙の前だったということもあって自民党が政治的にこれをはねつけたという経緯があって、大変残念な与野党協議でしたが、しかしながら、まだまだこれは参議院の議論でも、そして関連法案でも、重要なものが待っています。
 そのうちの一つが、この基本法の関連で食料供給困難事態対策法案というのがあって、この中で、農家が、もし緊急事態の場合に食料不足が生じると、その場合にどれくらい食料を確保できるかを把握するために計画を政府に出させると。その計画を出さなければ刑罰を科すと、罰金を科すというのですね。これはやり過ぎではないのかと。日頃一生懸命農業をやっている皆さんが、国の増産計画に従わなかったというか、その計画を出さなければ前科がつく罰則というのは、余りに厳しいのではないか。
 これはなぜそんな厳しいものを、これは例えばコロナ(禍)のときに我々も罰金か過料かと話題になったではないですか。やはり個人に罰金まで科して前科者にするのは、外を出歩いたら罰金みたいな話はこれはやり過ぎでしょうということを言って、当時政府も受け入れて、これを過料に落としたということがありました。これは前科になりませんね。
 そういうものがある中で、今回農水省が何でそれでも罰則をかけてこようとしているかというと、オイルショックのときに大手石油会社だとか日用品を作る企業に対して生産計画を出させて、それを出さなければ罰金を科していた過去の法律があるのですね。ただ、我々が言うのは、それは大手企業、基本的には企業に対しての話でしょうと。農家さん個人に対して罰則を、罰金を科すというのは、これは余りにやり過ぎだということを今言っていまして、ただでさえ経営も厳しい中で、この農家の皆さんを犯罪者にするような、そんな法律はやはりこれは絶対駄目だということで、今、我々はやはりこの罰金ということを撤回すべきだと。やるとしても、コロナのときにもやったような過料という形に落とすべきであるということも訴えさせていただいています。
 ですから、こういう、ゴールデンウィーク中の、連休中の全国行脚の中でも実際に伺った声なり見てきた現場があって、そういうものをこの後半国会で、裏金の問題だけではなく、我々としてはさまざまに取り組む、今、やり取りをしているということをぜひ皆さんにもお伝えしたいと思っています。

○防衛施設等におけるドローン対策について

【代表】
 そして、きょう、私はこの後だったかな、防衛省からもヒアリングをします。いわゆる「いずも」の上をドローンが通ったのではないかということについて、私も数日前に防衛省にはヒアリングの要請をしていて、日程調整の関係で一応きょうということになっていますが、これが本当の映像であればということで、大変由々しき事態であるということが言えるわけでして、その辺は真相をよく聞きますが、基地それぞれにおけるドローンなどの物体に対する防護方策ですね。これは電波を出す方法もあれば、ネットをかぶせるという方法もあれば、ぶつかって両方墜落させるだとか、いろいろな手法があって、私もこれは党の代表として防衛装備品の大きな展示会などにも私自身も行っていますので、いろいろと先進的な技術については聞いています。
 立憲民主党はやはり我が国の防衛を当然重視している政党ですから、今回のこの事例において、各駐屯地なり各港でどういった対策がやはり必要であるのかということについては、我が党もこれをしっかりまとめていきたいと考えております。

○政治改革 与党案の概要について

【代表】
 さて、政治改革ですよ。政治改革。
 自公案は、毎日情報を小出しにして、そして、わざわざ小さな論点しかやっていないにもかかわらず、何かテーブルをセットして覚書を交わすようなふりをして一つ一つ仰々しくやっていますから、特に野党担当の記者さんはだまされていないと思いますが、そういったそのセレモニーに乗せられないようにしていただきたいと。本当にこれは、彼らは今、宣伝戦略としてやっていますから。政治刷新会議なんていうのもそうでしたね。政治刷新本部でしたか、自民党のああいうのもそうですが、とにかく構えは大きく中身は小さくというのが自民党の基本戦略ですから、ここにだまされないようにしなければいけないということですね。
 特に思うのは、政策活動費についてなのです。ですから、本丸ではない、パーティーの資金(購入者)の公開基準が20万か10万か5万かみたいなところで、さも非常に厳しい折衝をしているかのように見せて、そちらのほうに話題を振り向けようとかしていますが、そんなものはやって当たり前の話だし、大した改革ではないのです。そもそもお金を集める仕組みを全くいじっている話ではなく、集めた金の透明性をどう高めるかくらいの話ですから、これは全然裏金とも関係ないし、本当に微々たる改革ですよ。そんなものではなく、政策活動費。もう自民党で年10億、5年で50億、こういう政策活動費について、ざるになっているわけですよね。
 この間、(旧)文書通信費の改革だとか内閣官房機密費の問題だとか、こういうその使い方が明らかにならない問題について国民は高い関心を持ってきたし、それはおかしいのではないかという声を上げてきたわけです。では、今回の自民党の「政策活動費の公開」とは何なのかと、皆さん冷静に考えていただくと、これは第2文通費をつくるような話ではないのと、そう思っていただいていいのではないですかね。だって、何か最近の報道だと「党本部から議員に支給される政策活動費は」というふうにテレビでもよく流れるわけですよ。いやいや、そんな元々支給されるルールなんかもないし、そもそも党本部から各議員の活動には政党交付金、支部交付金が支給されていて、それは全て公開されることになっているではないですか。これが透明性の高い普通の流れですよ。にもかかわらず、そこに透明性の低い新たな金を流す仕組みをつくろうとしているのが今回の政策活動費の仕組みですからね。そんなものを認めたらおかしいですよ。
 それはもちろん一人ひとりに支給される額は違うかもしれないし、幹事長に50億とか10億とか1000万とか行くかもしれないけれども、その中身については全然領収書を出す話になっていないではないですか。政党交付金とは全然扱いが違いますよね。今、(旧)文通費でも、やはり政治活動のほかのお金に比べると透明度が低いのではないかと、公開度が低いのではないかと言われて、(旧)文通費も中身の公開だ、領収書だと、こちらは領収書をつけろつけろと言っているのに、政策活動費の今回新たな仕組みみたいに何か捉えられて、公開ということで政策活動費が許されるみたいな話になっているけれども、これは全然逆行しているではないですか。領収書の要らない世界を新たにつくるんですよ。領収書を出さなくていい世界を新たにつくる。第2文通費をつくってどうするんですかと。
 ここは本当に真っ向戦わなければいけないところですから、ぜひ、これは政策活動費そのものをやはりなくすということがあるべき姿であって、透明度・解像度のものすごく低いような新たなたまり金をつくってはいけないということですよ。これは闇資金、暗闇資金、裏資金みたいなものですよ。これを新たにつくる。そんなものは許してはいけないということですよね。
 そして、政治資金パーティーも、やはり先ほど言ったようにもう微々たる改革でありますし、改めて、補欠選挙を三つ勝たせていただいたというのは非常に大きな成果があって、政倫審でも申立てができるようになった。
 ちょっと一部維新の所属議員からですか、政倫審は何か意味がないみたいな声が上がっていて、ただ、維新さんも党として政倫審にこれは賛成したわけですから、やはり執行部としてはちゃんとこの政倫審を機能させるということに努力すべきだと思いますから、何の効果があるのかという党内のもし声があるとしたら、それは党としてちゃんと整理をしていただいて、政倫審でやはり弁明をちゃんとさせるということは一致結束をしていただきたいなと思いますけれども。
 改めて、こうした政治改革は、政倫審でも申立てができるようになったし、そして、自民党は確かに案は出し直す、まだ足りないけれども案は出し直すということになったわけなので、これはぜひ更に、今の自民党案では駄目だという世論をしっかり我々としてはつくっていかねばならないと考えております。


■質疑

○政治改革について(1)

【NHK】
 今お話があった与党案について、概要がまとまったが、まだ不十分ということもあり、法案の形にもなっていない。かねてから言っている野党案をのませるために、より充実したものにしていくために、与野党協議を現時点で行う考えがあるか。また、どのタイミングでどのように協議を進めていくというふうにお考えかお聞きしたい。

【代表】
 もう立憲民主党としては早く案を出せと言ってきたし、与野党協議でも何でもそれはやるよと、やりますよということは言ってきているので、遅いし、早く向こうからの呼びかけをしてくれという話です。
 自民党の一部にも、自公案を出す前に与野党協議をすべきだという声もありますから、ぜひ、それであればそれでしっかりとその自公案を我々に示してもらって、我々としても当然、国民が求める政治改革案をぶつけて戦いますから、そういったところも自民党にはっきりしてもらいたいですね。

【時事通信】
 政治改革について、昨日、立憲民主党は国民民主党の実務者と共に改正案の話合い、協議を行ったわけだが、野党全てがまとまって改革案をつくるという状況には至っていないが、一部の野党でまとまって法律をまとめようとする動きについて、どういう狙いがあるのか、期待することを教えていただきたい。

【代表】
 実はこの会見の前に私から、朝、玉木代表に電話をして、ちょっとつながらなかったのでというときに、会見中に先ほどかかってきたのは玉木さんからだったので、まさにまたこの後やり取りもするのですが。
 それぞれの政党が、まず、それぞれの案を考え、そろえ、それを表明していく、発信していくというのは当然あることだなと思っています。その中で、きのう夕方、立憲民主党と国民民主党で協議ができて、一緒にまとめていく方向性で合意をしたということですから、それが何か一部の野党みたいなふうに捉える必要はないのかなと。できるところはそういった形でやっていくということに尽きるので、今後もいろいろな与野党の動きがあると、そんなふうに考えています。

○水俣病懇談会での発言遮断問題について(1)

【共同通信】
 環境省のマイクオフ問題の関係で、環境省が作成した懇談の想定を書いた資料に「時間を短くしたから後でしゃべらせろと言われた場合」などと記載をしていた。この一連の問題とあわせて、こういった環境省の内々の資料の話ではあるが、「しゃべらせろと言われた場合」などと記載していたことについて代表のご見解をお願いしたい。

【代表】
 「しゃべらせろと言われた場合」というのが環境省の文書の中にあったということですね。やはりそういう姿勢で、ですから、本来なぜ当事者の皆様の意見を聞く場をセットするのかというところは、やはり一つの事象が起きてから毎年同じことを言うわけではないんですよ。やはり20年前、10年前、5年前、1年前、常に、その発表される方が替わることもあれば、そして、それぞれの家庭生活の中でそのとき新たに発生する苦しみもあったり、今回も奥様が本当に痛い痛いと言いながら亡くなられていったというお話だったと思うのですが、そういうことというのを本当に日々気持ちを新たにして謙虚に聞く、そして行政に生かしていく、施策に生かしていくために意見交換会があるのであって、それをどうも役所の側は毎年恒例のルーティンのことという非常にドライな設定の仕方をしていたということが今回明らかになったわけです。
 大臣のほうも大臣のほうでですよ、私もよくありますが、時間がもうすぐ来そうですというときに、まだご意見がある場合には延ばすこともよくありますが、やはりその余裕を持って当然日程も見ておく必要もあるし、そういう意味での本当に心のこもった対応が役所と大臣とで双方できていなかったと感じます。

【共同通信】
 環境大臣のこの問題に対する責任の取り方についてはどのようにお考えか。

【代表】
 適任でないと本人として思うのであれば、やはりそれは身を引いていただくということになろうと思いますが、それは本人が一番自覚をしていることでしょうから、今後どういうふうに信頼を回復されるのか。それとも、もうそういったことに対して行動できないのか。そこはよく見ていきたいですね。

○次期衆院総選挙に向けて(1)

【朝日新聞】
 次の衆院選での擁立目標について確認させていただきたい。先日、徳島市内の会見で、200人で打ち止めではないというご発言があったかと思う。これは補選の結果を受けて200議席の目標を上方修正しているのか。それとも、変化なく意欲を示しているとか、その辺りはいかがか。

【代表】
 これは党大会で我々として方針として決めたものがありますから、それが変わったものではないです。
 ただ、当然のこととして、まず候補者を200そろえるということは我々の目標ですが、それが終わったからといって、一息ついて、もうこれ以上候補者は要りませんなんていう話では絶対ないですし、とにかくできる限りの候補者をそろえて、立憲民主党として政権を担える、その層を厚くしていくというのが使命だと思っていますから、これからも引き続き。
 もちろん、その200擁立というものがもし達成できて、なお総選挙まで時間があるというような環境であれば、目標の修正もあり得るというふうには考えています。

【朝日新聞】
 関連で。先日の泉さんのユーチューブの番組で、単独政権、安定政権を極力目指すというご発言もあった。単独政権ということは233の過半数を目指すとも受け取れるが、その辺りも意識はされているのか。

【代表】
 常に意識はしています。どの政党だって、それは維新さんも国民民主さんも共産党さんも、皆それは心の中では自分たちで単独政権を取りたいと、それは思っているはずですよ。ですから、立憲民主党だってそれは当たり前の話であって、それと現実の今の状況をどうバランスするかという話ですので、当然、できる限り、単独過半数を取れるだけの候補者はやはり目指していきたいですね。

【朝日新聞】
 政権交代というフレーズを最近おっしゃっていると思う。国民にとっては、選択肢として立憲を選ぶときに、233の擁立がないという中で、果たして政権選択として投票できるのかという疑問が生まれると思う。この辺りの説明というのはどういうロジックなのか。

【代表】
 国民としては、想定できますね、十分に政権交代を。というのは、やはり自民党・公明党なりが単独過半数を割るということは、政界はその後、さまざまな動きが出てきます。自民党が過半数を割れば、もしかすれば自民党も割れるかもしれませんし、そして、新たな連立政権が発足する可能性もあるので、やはりそれは立憲民主党が仮に単独過半数に届かなくても十二分に政界の再編や新政権の誕生はあり得ると考えています。

【朝日新聞】
 もう一点、別件で伺いたい。立憲民主党は9月に代表選が予定されているかと思う。もちろん次の衆院選の時期にもよると思うが、現時点での泉代表の代表選に対する考え方ないし持っている意欲の有無についてお聞きしたい。

【代表】
 考え方は全く今ないです。白紙です。これはもうとにかく、この総選挙、次期総選挙に向けて立憲民主党をやはり再建させていくということが私の就任当時からの使命ですので、今はそこに向かって、次期総選挙に向かって全力を尽くしているのみです。

【朝日新聞】
 最後に、関連だが、泉代表が就任されて2年半たったと思う。この間いろいろあったと思うが、直近でいうと補選三つ全勝という結果があったと思う。この現泉体制のまま自民党と対峙していくのがベストだというお考えはないか。

【代表】
 ベストというのは常に変わり得るものですからね。毎日毎日、考えて考えて、一手一手指していくということに尽きます。

○政治改革について(2)

【日本経済新聞】
 政治改革で伺いたい。与野党協議に前向きな意向を先ほどお話しになっていたが、昨日発表した与党の案について、与野党協議のたたき台としてふさわしい内容かどうかというところを改めて伺いたい。

【代表】
 ふさわしくないですね。ぜひ、できれば自公案を緊急世論調査にかけていただきたいですね、各マスコミの皆さんには。そうすれば国民のやはり見方がわかってくるのではないですか、世論がどうなのかということは。
 およそ、この与党案を見る限り、裏金が根絶される中身ではないし、そもそも彼らが、よく政治評論家の一部が言うように、政治には金がかかるんだと、この金がないと幹事長は機能しないとかね、何を言っているんですかという話ですよ。そんなもの玄人の中のというか自民党だけの理屈であって、政治は別に政策活動費がなくても機能しますから。それがなかったら、要は50億のどんぶり勘定の自由に使えて使い方を報告しなくていいお金がないと機能しない政治だったら、それが間違いでしょうという話ですから。
 まず、この自公案というものに対して世論は厳しい目を持っているということを彼らもよく認識をした上で、与野党協議に臨んでもらうならばもらうということだと思います。

○次期衆院総選挙に向けて(2)

【時事通信】
 もう一点、先ほどの選挙の関連で伺うが、擁立目標のところをご説明いただいたが、現状、自民党で今回不記載があった議員で、萩生田前政調会長や高木前国対委員長など、注目されるような人物のところに対抗馬が立っていないという現状もあるかと思う。今後の擁立方針の中で、特にそういった対象の方々がいる選挙区への擁立はどういう方針で考えているか。

【代表】
 特に力を入れて擁立を進め、加速させます。
 現時点で既に見えつつあるものも実はまだ水面下ではあるので、我が党としては、この裏金議員を許さないというのは当然国民に対して意思としても示していく。その意思表示の仕方が、やはりちゃんと対立候補を立てるということで政治刷新を進めていくと思っていますので、はい、立てていきます。

【時事通信】
 比例単独の方もいるが、自民党のほうだと小選挙区で40人以上いると思うが、全員に対抗馬を立てるという方針は。

【代表】
 そうですね。はい、そう考えていただいて構いません。

○静岡県知事選について

【読売新聞】
 静岡県知事選について伺いたい。昨日告示され、与野党対決の構図となっている。立憲民主党は前浜松市長の鈴木康友さんを推薦しているが、党として、この知事選にどういった姿勢で臨むのか。また、どういったことを訴えていきたいか。また、代表が現地入りする予定があるのかどうか教えていただきたい。

【代表】
 まだ日程調整の段階だとは聞いていますが、私も期間中に応援に行くという日程が今あると聞いています。そのときには、枠組みである国民民主党の幹部と共に街頭に立つなりが、今、調整されているということです。
 そして、鈴木康友前浜松市長。行政力も非常に高く、静岡県の県政運営には十分力を持っている方ですから、そういった意味での安定感ですとか先見性というものはぜひ県民の皆さんに評価をしていただきたいと。
 一方で、国政における与野党党対決とはまた、当然地元課題ということですし、静岡県政において裏金が問題になっているわけではないので、あくまで県の課題について論戦が交わされるという中で、我々としてはやはり鈴木康友さんがふさわしいということを訴えていきます。

○内閣不信任案について

【テレビ朝日】
 少し時期的には早いが、内閣不信任案について伺いたい。昨日、日本維新の会の馬場代表は、いつも毎年恒例行事だというふうに批判してきたが、今回に限っては恒例行事とは見ていないというふうに発言していた。泉代表の現状の考えをお聞きしたい。

【代表】
 あまり外から見過ぎるとというか、国会では本当に日々、国民の皆様には見えにくいことも含めて、自民党と国会の中で本当にぎりぎりのやり取りを繰り返しているわけです。政倫審でも、本当は衆議院、最初から申立てをしたかったけれども、野党の議席が8だった。できなかった。それを死に物狂いになって補欠選挙で三つ取ることによって1議席増えて申立てができるというふうに、本当に国会内における民主主義のルールの中で、できる限り、あらん限りのことをやはり日々努力するので、実は不信任案にしたって一回も恒例行事なんていうことはないんですよ、やはり。
 その都度その都度、どう戦うことが最も国民の期待に応えることか、そして自民党のおかしな政治に対して物を申すことになるのかということを、毎回毎回真剣に考えながら、唯一の切り札である不信任案を使っているわけですから、判断しているわけですから、そんなもの恒例でも何でもないですよ。
 その悩み、苦しみ、葛藤、逡巡というものを、ぜひやはり、国会にもう維新さんも長くおられる政党ですから、そういうものをもっと真剣に考えていただきたいと。決して恒例なんかで出すものではないよという、その真剣さはわかっていただきたいと思います。
 だからこそなのだけれども、今の時点でそういうふうに出すとか出さないとかということを軽々しく扱うものでもないんだということも、ぜひやはり我々野党の中で共有したいことであって、そんな何カ月も前から今後の国会がどうなるかもわからないし、場合によっては、どういう展開になるかわからないわけですから、そういうものも踏まえながら、野党側としての大変大切な切り札であるこの内閣不信任案というのは考えていかなければいけないということですね。

○憲法審査会について

【毎日新聞】
 別件で、憲法審査会について伺いたい。参院でも実質的な審議が始まり、衆院でも起草委員会の設置などについて取り沙汰され、野党の一部の会派も起草委員会の設置を求めている発言などもあるが、泉代表の現状のお考えをお願いしたい。

【代表】
 参議院でも、例えば公明党さんが、やはり任期延長については果たしてどうなのかという疑義を示されたりしています。ですから、決して与党の中でも、また野党の中でも、何か結論めいたものが導き出されている状況にはないと思いますし、国会議員の任期延長というのはもっと丁寧に議論せねばならない議題だと思いますから、ここにはやはり時間は要すだろうなと考えています。
 そして、そうしている間にもと言うとあれですが、やはり例えば憲法審査会だけ、他の、厚生労働委員会、社会保障の問題だってものすごく重要なのに、必ず開けといって開けているかというと開けていないし、拉致問題にしたって、特別委員会があるけれども、全然、もう年に数回しか開かれていないし、なぜそういう中で憲法審査会だけ必ず毎回開催とかテレビ中継という話になるのかということは、やはりこの国の国民の皆様が考える優先課題が何なのかということについての姿勢の違いもあるのではないかと思います。
 私からすれば、厚生労働委員会も国土交通委員会も、ぜひNHKでやっていただきたいですよ、それは。重要課題を抱えていますから。総務委員会だってそうですよ。これだけ地方が疲弊している中で、もっと、「チコデジ」という、なかなか国民には「チコデジって何なんだ」という委員会(地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会)もありますが、地方創生だとかデジタルだとか、いっぱい重要な議論がありますよ。そちらのほうがもう直接的に国民の生活に関わる。先ほどの農水委員会における農業者に罰則がかかるかどうかのほうが国会議員の任期延長よりよっぽど大事な話ですよ。
 そういう優先順位をよく考えていくと、我々は国会においてはやはり他の委員会をもっと活性化させなければいけないと、そんな立場です。

【毎日新聞】
 関連で、岸田総理は任期中の改憲を目指すということで、ある意味、与党はそれに合わせた動きをしているというふうに見る向きもあるが、このような動きについてはどのように分析、ご覧になっているか。

【代表】
 憲法改正の是非というのは、国民がもちろん決めることだし、国民にとっての必要性によって変わるものであって、おそらく国民の誰も総理の任期中までに答えを出すなんていうことは望んでもいないし、憲法をそこ基準で扱わないでくれと。総理がいるかいないかなんか別に関係ない話だというのが普通ではないですかね。
 ですから、政治家のための憲法改正とか手柄のための憲法改正になっているという証拠ではないですか。そのような、自らの任期に合わせて憲法改正をしようとするという動きは。

○水俣病懇談会での発言遮断問題について(2)

【共同通信】
 環境省のマイクオフ問題について、もう一点だけ。今回のこの環境省の一連の対応は、岸田政権がこれまで掲げてきた「聞く力」とは逆行するような対応かと思うが、この辺り代表のお考えをお願いしたい。

【代表】
 これは今回大きな問題になったのが水俣病に関しての環境大臣の対応だったわけですが、ちょっと振り返ってみると、では、補選の前にやっていた岸田総理の対話集会でしたか、何か国民の声を聞くってやったではないですか。車座集会。これも全く一般市民が入るようなものではなく、自民党の支部の役員とか、そういう人たちだけを集めて、そこで意見を聞くんですよね。ですから、一般国民から、当事者から声を聞くことを最も苦手にしている政権なのではないですか、実は。「聞く振りを見せる力」があるということではないですかね。

○参院比例 奥村氏の繰上げ当選について

【デイリースポーツ】
 ちょっと話題変わり、前回の会見で市井さんのことに触れていたと思うが、先ほど中央選挙管理会で奥村政佳さんの繰上げ当選が決まった。以前にも奥村さんのことに触れていたと思うが、改めて奥村さんに期待することなどを教えていただきたい。

【代表】
 奥村さんは、歌手というか、(アカペラ)グループの一員でもあったということも含めて、若い世代からも慕われて、また、近い政治家として思われていたところも前回の選挙であったと思います。そういった意味でも、新しい世代、若い世代に対しての政治の発信、「まっとうな政治」の発信というのを期待しますし、特に子育て政策ということについては本人自身もこだわりを持ってこれまで当事者として取り組んできたというところもありますので、そういったところで、ぜひ立憲民主党の掲げる、予算の優先順位を変える、もっと生活にと、「人へ 未来へ」というところを先頭に立って訴えてくれる、そんな政治家であることを期待しています。

○「インボイス制度」「重要経済安保情報保護法」等について

【フリーランス】
 インボイスのアンケート調査の結果が議員会館内で公表され、少しニュースにも出て、改めて質疑のほうも巻き起こっている状況だ。私も見せていただき、自殺することになるのではないかという方とか、借入れをして税金を払っているとか、目に見える倒産続出とか、これはもう事務をできないので廃業するという大工の皆さんとか、そういったところを非常に悲惨だなという印象を受けている。一つは、改めて立憲民主党ではこういった現場の方々に対するヒアリングの場を持つかどうかということと、それから、これは泉代表のご覧のなり方を伺いたいが、現与党はどうして超富裕層への累進課税や社会保障徴収率の増加、彼らにとって痛くもかゆくもないと思うが、なぜこれをここまで拒んで、こういった弱い方々に課税を強いるのか、その辺の見方を教えていただきたい。

【代表】
 まず、インボイスについては、立憲民主党としても引き続き、このインボイスの撤回に向けて、さまざまな意見交換を続けています。これは補欠選挙のときも多くの方々から直接声も寄せられましたし、また、その運動を続けている皆さんからも要望書を受け取ったり、また意見を聞いていますので、こういったこともこれからも続けていきます。
 なぜ自民党がこういった一人ひとりの生活者に厳しく富裕層に甘いのかというのは、やはり彼ら自身が、政治資金の獲得の手法も含めて、いわゆる大どころのところから資金提供を受けているからというところは非常に大きいのではないかと思いますね。そういう人たちに対して増税になるようなことを極力避けたいというのが見えますね。

【フリーランス】
 現与党というか現政府が超富裕層に対して相談をすることが怖いというような状況で、あらかじめ相談もしたことがないのか。それとも、実際に相談をしてはじかれるというか、悪い反応が返ってくるのでできないと。どちらだと思われるか。

【代表】
 何ていうのでしょうね、改まって相談云々というよりも、いろいろな、ある種、そういった大口献金者の関連、その周辺とはサロン的な意見交換の場というのはたくさんあるんだと思いますよ。日頃のつき合いも含めて。ある種の仲間意識というか、ある種のセレブ意識というか、そういうものの中で、俺たちの首を絞めてくれるなよというような声は受けているのではないですかね。

【フリーランス】
 経済を締めつけていくという意味では、中小企業とか新たなスタートアップの人たちの仕事もしにくくするインボイス。そして、連携して仕事を行っていく、例えば京都の伝統産業などもそういうふうに聞いているが、そういう方々を分断するような内容でもある。これと並んで、セキュリティ・クリアランス、というより経済秘密安保、例えば金属類であれば35のマテリアルを扱う、これは下請け業者まで監視の目が、そのご家族まで及ぶような書かれ方をしていて、日体大の憲法学者の清水教授が土日に講演会を開いたところ、予定の倍の人数が来てしまったと。不安を抱える中小企業者や、そのご家族などが多いかと思うが、この点について、日本の経済を収縮させていくというような印象は持たれないか。これに関して、どうしたいと思われているか教えていただきたい。

【代表】
 収縮させていくということはあってはならないし、そうはなっていかないはずだと考えているし、そのために、まさに政府はガイドラインなり運用の中身というのをよく国民に伝えていく、これは責任・義務があると考えています。
 ごくごく、やはり普段は名前の聞かないようなレアメタルを扱うとか、とはいえ、やはりその物質がなければある製品ができないという、非常に重要な役割を担いますから、そこにセキュリティ・クリアランスがかかってくるというのは、それは他国とのこともありますから、致し方ないところはあると。
 あとは、そこで働く者が不利益を受けることがないか。当然家族も不利益を受けることがないか。そして、企業が不利益を受けて萎縮することがないか。そういうことを特にやはり立憲民主党はどの政党よりもしっかり監視をして、運用に誤りがないようにしていくと。そういう立場です。

【フリーランス】
 今月あまり来られないのでもう一点だけ。政治改革案についてだが、テレビだと、やはり自民党案と公明党案を比べているという感じだ。新聞はそんなことないとは思うが。やはりここは立憲民主党の案が比較に上がらないとつまらないなと感じている。広報のほう、今、活発かと思うが、説明の番組というか、アピールの番組をつくり、こういう場合にこういう穴を塞ぐような考えでこういう規則を考えていますというような番組をつくっていただけないかと思うが。

【代表】
 既に私の「泉健太トークセッション」、ユーチューブでもそれはやっていますし、たしか「立憲ライブ」、逢坂代行にもやってもらっているはずだと思いますので、また、よりわかりやすく、いろいろな形で発信していきます。

(以上)