2024年衆院選
主な政策項目
7つの約束
政治改革・行政改革等
政治改革・選挙制度
- 「抜け穴」だらけの政治資金規正法を再改正し、政治資金の徹底的な透明化を実現します。政治資金収支報告書に関する政治家本人の責任・罰則を強化します。政治資金収支報告書等の公開時期を前倒しするとともに、保存・公表期間を延長します。政治資金収支報告書のオンライン提出、インターネットによる公開の義務付け、データベースの提供を行います。
- 登録政治資金監査人による外部監査の対象を拡大するとともに、収入についても監査を義務付けます。政治資金に関する独立の第三者機関を設置します。
- 国会議員関係政治団体から100万円以上の寄附を受けた政治団体の収支報告は、国会議員関係政治団体並に厳しい規制を適用します。
- 自らが代表となる選挙区支部への寄附については、法律で寄附金控除の適用を禁止します。
- まず、企業・団体や外国人による政治資金パーティー券の購入を禁止します。政治資金パーティー収入の公開規制を強化します。オンラインパーティーも政治資金パーティーに位置づけます。
- 個人の政治献金の控除を抜本的に拡充し、個人献金を促進します。
- 選挙制度、議員定数、衆議院と参議院の在り方などについて、不断の見直しにより、国民の声がより反映される政治を実現します。
- 仕事を辞めなくても立候補を可能にする立候補休暇制度の創設など、より幅広い人材が公職に立候補できる環境を整備していきます。
- 参議院では、合区を解消し、各都道府県選挙区で議員が選挙されるよう、選挙制度の抜本的な見直しを行います。
- 選挙の公平・公正や民主主義への信頼の確保の観点から、表現の自由や選挙運動の自由を尊重しつつ、公職選挙法の改正に取り組みます。
- 国会での虚偽答弁やねつ造資料の提出には、刑事告発を行うなど厳格に対応します。
- 選挙買収等の罪で起訴された国会議員への歳費は支給停止し返納させます。選挙買収等に政党交付金が使用された疑いがある場合には政党に調査や返納をさせます。
行政改革・行政監視
- 内閣官房に総理直轄の真相究明チームをつくり、森友・加計問題や桜を見る会問題などについて、タブーなく情報をすべて開示し、真実を明らかにします。
- 隠ぺい、改ざんを根絶するため、公文書管理制度と情報公開制度を抜本的に強化し、独立性及び専門性を持った新たな機関として、「公文書院」を設置します。
- 情報公開法を改正し、行政機関の長に、自発的に分かりやすい情報提供を行うことを義務付けます。
- 深刻さを増す放漫財政を健全化し、行財政運営の適正化・効率化を図るため、膨大な予算の無駄遣いの排除や、EBPM(証拠に基づく政策立案)の徹底に努めます。
- 既得権や癒着の構造を断ち切り、国民本位で時代に即した質の高い行政の実現のために、常に行政構造の見直しを続けます。コロナ禍で機能不全が明らかになった中央省庁の再編を含む抜本的な改革を進めます。
- 内閣人事局による幹部職員人事制度を見直し、官邸による強すぎる人事介入を改めます。
- 国会による行政の監視及び立法に関する機能の充実・強化を図り、民意を反映した国政の健全な発展に寄与するため、「行政監視院」を国会に設置します。
- 法律の制定・改廃を国民が発議できる国民発案権(イニシアティブ)制度を導入します。
- 問題があると思われる国の財務行為について、国民が、会計検査院に対して監査を請求し、会計検査院の対応が不十分なときは、国などを被告として必要な措置を取るよう請求する訴訟を提起できるよう、公金検査請求訴訟制度を創設します。
- 我々が目指す行政改革は、あくまでも無駄遣いの廃止にあり、いわゆる「小さな政府」や「身を切る改革」による住民サービスの切り捨ては論外です。国民の命と暮らしを守り抜き、ベーシックサービスを充実させます。
内閣
- 公務員の労働基本権の回復・保障を図り、労働条件を交渉で決める仕組みを構築します。
- ハローワークの職員や消費生活相談員、図書館司書など国家公務員・地方公務員の正規雇用化を進め、期待される役割を担える体制を取り戻します。
- 職員OBを介した再就職あっせん行為等の規制の新設など「天下り規制法」を制定し、「天下り」によって政策決定過程が歪められることを防止します。
- 国民の知る権利を守るため特定秘密保護法を見直し、国会や第三者機関の権限強化も含め行政に対する監視と検証を強化します。
- 学問の自由を尊重するため、科学者の代表機関である日本学術会議の組織・制度については政府からの自律性・独立性を担保します。会員選考等については、透明性の向上を図りながらコ・オプテーション方式を維持し、日本学術会議が推薦した候補者をそのまま任命します。
- 規制改革推進会議や国家戦略特別区域諮問会議を廃止し、法規制は国会議員が責任を持って議論・検討できる仕組みを整えます。
- NPOなどの多様な主体を支援し、ソーシャルビジネス、コミュニティビジネスや協同労働をさらに推進し、官民で雇用創出・社会的課題の解決に取り組みます。
- 「IR(統合型リゾート施設)推進法・整備法」を廃止し、賭博性が高く、治安の悪化が懸念されるカジノ事業は中止します。
- 悪質ホストクラブ被害の防止・救済を図ります。
デジタル・IT
- ①政府による国民の監視手段にしない、②個人情報保護の徹底、③セキュリティの確主な政策項目15保、④利便性の向上、⑤苦手な人も含め誰も取り残さず、使わない人が不利にならない――の5原則をもとに、行政のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進します。
- 情報インフラである通信の基盤を強化し、誰もがアクセス可能な環境の整備を進め、真に「人にやさしいデジタル化」による「誰ひとり取り残されないデジタル社会」を目指します。
- 個人情報保護法など国内関連法を、EU一般データ保護規則(GDPR)など海外の法制度を基準に改正し、自己情報コントロール権等について明確化します。
- インターネットのターゲット広告、投資詐欺等に誘導する著名人のなりすまし広告の規制など、個人情報保護や広告審査基準の明確化の促進を強化します。
- デジタル技術を活用したプッシュ型支援の促進など、行政サービスの利便性向上を図ります。
- 国産クラウドの確立、データセンターの国内立地化を一層進めることで、企業・個人・政府の情報を守ります。
災害対策・復興政策
- 令和6年能登半島地震からの復旧・復興を迅速に進めるため、裁判により、共有者の同意を得ることなく、その建物の解体・撤去を行うことができるようにし、公費解体を促進します。
- 準半壊・一部損壊の住宅再建の支援がなく、大きな家屋の修理には多額の費用がかかることから、準半壊・一部損壊であっても、求めがあれば公費解体できるように取り組みます。
- 復旧・復興対応は、閣議決定だけで使い道を決める予備費ではなく、被災状況の全容把握に努め、財政需要を積み上げた上で、補正予算を編成するよう働きかけます。
- 首都直下地震、南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝地震や大規模な津波に備え、耐震化、地震係数の考え方等について総括と更新を行い、新たな地震防災戦略を策定します。
- 国と地方の連携強化、災害時に被災自治体へ権限・予算を移譲する法整備の検討、事業再建・社会インフラ復旧への支援などを進めます。
- 首都直下地震に備え、首都機能の分散移転を進めるとともに、発災時のバックアップ拠点を検討します。
- 被災者生活再建支援政策の拡充、個人対象の「災害損失控除」の創設、法人の災害損失特別勘定の適用要件の緩和、消防団・ボランティアへの支援などを図ります。
- 河道拡張や堤防補強、遊水池の設置など、総合的な流域治水により、できる限りダムに頼らない治水を推進します。
- 交付金交付、雪下ろし作業用の命綱固定アンカーの普及・促進などが盛り込まれた改正豪雪対策特別措置法を活用し、除排雪の人材確保、高齢者・障がい者への配慮、雪冷熱エネルギーの活用、情報システムの改善などに一層取り組みます。
東日本大震災からの復興
- 被災地域に対する海外からの誘客、修学旅行等の団体旅行誘致などの地方の取り組みを支援し、「東北観光」を重点的に位置付けるとともに、国際会議やスポーツ大会等の大規模イベントの東北開催について特段の配慮を行い、被災地域全体への来訪を促進します。
財務金融・税制
持続可能な財政の実現に向けて
- 格差を是正する税制改革による財源確保や、行政需要の変化に応じた予算配分、適切な執行、成長力の強化による税収増など、歳出・歳入両面の改革を行い、中長期的に財政の健全化を目指します。
- 国会の下に独立財政機関を設置して、主要政策の費用対効果や財政の見通しを客観的・中立的に試算・公表するとともに、その試算に基づき「中期財政フレーム」(3カ年度にわたる予算編成の基本的な方針)を策定することを政府に義務付けることで、放漫財政を改めます。
- 国家財政におけるPDCAサイクルを確立するため、決算の国会提出と国会審議の更なる早期化を図り、その審議の内容と結果を直近(当該決算の翌々年度)の予算編成に反映させます。
「新しい金融政策」への転換
- 日銀の物価安定目標を「2%」から「0%超」に変更するとともに、政府・日銀の共同目標として、「実質賃金の上昇」を掲げます。
- 日銀が保有するETFは、簿価で政府に移管した上で、その分配金収入と売却益を、少子化対策等の財源に充当します。
金融の健全な発展
- 成長資金が必要な主体に対して、円滑、効率的かつ効果的に資金が供給されるよう、民間・公的金融の役割を踏まえつつ、調達手段の多様化など、わが国の金融・資本市場の機能向上を図ります。
- 地域経済の発展に欠くことのできない地方銀行・信用金庫等について、経営の安定化・収益源の多様化を図ります。
- 金融教育を充実させることで、個々人の経済力やライフプランに即した適切な資産運用を促し、投機的な取引等によって損失を被ることを防ぎます。
税制
- 所得税については、「分厚い中間層」を復活させるため、勤労意欲の減退や人材の海外流出等の懸念に十分配慮した上で、累進性を強化します。
- 名目賃金の上昇を踏まえ、課税最低限の引き上げなど、必要な措置を講じます。
- 金融所得課税について、当面は分離課税のまま超過累進税率を導入し、中長期的には総合課税化します。
- 法人税については、「租特透明化法」に基づき精査を行い、租特の抜本的な見直しを実行した上で、法人の収益に応じて応分の負担を求める税制に改革します。
- 中小企業者等の法人税率の軽減措置(15%)を本則化します。
- 消費税の逆進性対策については、軽減税率制度に代えて、中低所得者が負担する消費税の一部を税額控除し、控除しきれない分は給付する「給付付き税額控除」(消費税還付制度)の導入により行います。
- インボイス制度(適格請求書等保存方式)については、免税事業者が取引過程から排除されたり、廃業を迫られたりする等の問題がある上に、従前の「区分記載請求書等保存方式」でも適正課税は可能であることから、速やかに廃止します。また、既にインボイス発行事業者(課税事業者)に転換した免税事業者等に対しては、必要な支援措16置を実施します。
- 資産格差が拡大・固定化している現状に鑑み、税率構造や非課税措置の見直しなどにより、相続税・贈与税の累進性を高めます。
- 揮発油税等のトリガー条項については、復興財源に配慮し、必要な期間にわたり一時的に凍結を解除して、原油価格高騰時には確実に発動できるようにします。発動により減収する地方税(地方揮発油税、軽油引取税)については国が補填します。
- 巨大IT企業等のいわゆる国際プラットフォーム企業が、ビジネスを展開し利益を上げている国でほとんど納税していない実態に対し、法人税の最低税率に関する国際合意が実現したことも踏まえ、国際課税の枠組みをさらに強化します。
- 近年、大規模な災害が多発していることを踏まえ、雑損控除から災害による損失控除を独立させ、「災害損失控除」を創設します。
- 同様の内容でも電子文書の場合は課税されない、金額が同じであっても契約の種類により税額が異なり、契約書作成時に大きな負担となるなど、様々な不合理・不公平な現象が生じており、生産性の向上を阻害していると考えられることから、印紙税制度は廃止します。
人権
ジェンダー平等
- 男女の経済的格差を、「同一価値労働同一賃金」の法定化や正規雇用化、女性役員登用についての目標引上げなどにより解消します。
- 個人通報制度や調査制度を定める女性差別撤廃条約の選択議定書を批准し、ジェンダー平等を実現するための法整備を進めます。
- DV対策や性暴力被害者支援など、困難を抱える女性への支援を充実させます。
- 若年期からの包括的性教育を充実させ、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)を尊重します。
- 事実婚カップルに対しても法律婚と同等の支援が受けられる制度を検討します。
SOGI
- 「LGBT差別解消法」を制定します。
- トランスジェンダーの戸籍上の性別変更要件を緩和します。
多文化共生
- 「多文化共生社会基本法」を制定し、国民及び在留外国人が、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生することのできる社会を形成します。
- 難民等の認定と保護、出入国管理・収容制度の問題を抜本的に改善・透明化する「難民等保護法・入管法等改正法」の制定を目指します。
- 在留制度全般を見直すとともに、外国人一般労働者雇用制度の整備を推進します。
差別解消
- あらゆる差別の解消を目指し、「包括的差別禁止法」を制定します。
- 国連の「パリ原則」に基づいた、人権侵害からの救済、立法・政策提言、人権教育の推進や、人権侵害に対する調査や勧告など、既存の司法制度を補完し、より包括的な人権保護を実現するため、独立した人権救済機関を設置します。
- 「ヘイトスピーチ解消法」における取り組みを拡大し、国際人権基準に基づいて、人種などを理由とする差別的言動を禁止する法律の制定など、あらゆる差別撤廃に向けた動きを加速させます。
- インターネットやSNS上の差別や誹謗中傷、人権侵害等への対策を強化します。
法務
- えん罪被害者の速やかな救済のため、再審法を全面的に見直します。
- えん罪をなくすため、「取り調べ等の録音・録画(可視化)制度」の対象事件をさらに拡大し、取り調べ等の開始から終了までの録音・録画を実現します。
- 離婚後共同親権の導入に際し、DV被害の懸念や裁判所の体制が不十分であるといった問題があることから、父母双方の真の同意がない場合は単独親権を原則とする等の法改正を行います。
- 社会全体で子育てを支援し、子どもの貧困を防止する観点から、国が養育費の立て替えや取り立てを行う「不払養育費立替・取立制度導入法」を制定します。
消費者問題
消費者の権利実現
- 事業者と消費者との間に情報の質・量、交渉力に構造的な格差があることから、「消費者の権利の保障」を第一として、消費者行政強化と消費者保護を推進します。また、現在消費者庁では、消費者と事業者の間の情報や交渉力の格差だけでは現在発生している消費者被害を捉えることが困難との考えから、消費者法制の抜本的見直しが進められていることを評価しつつ、消費者の権利の実現に向けて後退することがないようフォローします。
消費者被害への対策強化
- 2021年特定商取引法改正で追加された契約書面等の電子化について、消費者庁検討会等で全く議論されていなかったことや消費者被害の拡大につながるとして消費者団体等から強い懸念が示されていることなどから、契約書面電子化の廃止を実現します。
- 積み残された課題である不招請勧誘対策の強化は当然として、増加傾向にあるSNS勧誘による投資被害や脱毛エステ契約トラブルなど実際の被害救済のため、特定商取引法の運用強化及び改正に向け、政府に働きかけを行います。
成年年齢引き下げに伴う消費者被害の防止
- 2022年4月から成年年齢が引き下げられましたが、同年にアダルトビデオ新法が超党派で成立したことから明らかなように十分な法整備が行われておらず、国民の理解醸成も十分ではありません。このため包括的つけ込み型勧誘取消権の創設や、いわゆるクーリング・オフ制度の期間拡大などを含む「消費者の権利実現法」の制定を目指します。
消費者行政の強化
- どこに住んでいても消費生活相談ができるよう、消費生活センターの全自治体への設置を推進します。地方消費者行政を継続的に下支えする財源を確保し、消費者行政担当者や消費生活相談員に対する研修体制の構築、消費生活相談員の雇用形態や処17遇の改善による人材確保等に取り組み、地方消費者行政の強化、消費生活相談機能の充実・強化を図ります。
食品の安全・安心の確保―機能性表示食品による健康被害を防ぐ
- 小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントの摂取による死亡事例や入院事例等の深刻な健康被害が発生したことを受け、健康被害への早急な対応と、原因が特定できていなくても速やかに報告することを義務付ける法改正や、原材料の受入れを含めた製造管理基準(GMP)の認証取得の義務化などを実現します。
- サプリメントのように濃縮した成分を定期的に摂取する医薬品に限りなく近い食品については、十分な安全対策や、被害者の救済機関の設置等の具体策を検討します。
食品ロス削減
- サプライチェーンを通じた連携やフードバンク等の取り組みを推進するため、生ごみの資源化や個人・企業によるフードバンク等への食品の現物寄付に関する税制優遇措置、意図しない不慮の食品事故についての寄付者への免責制度の導入、商慣習の見直し等による食品ロス削減に資する供給システムの確立を進めます。
エシカル消費等の推進
- 環境・社会や安全に配慮された製品や商品を優先的に購入・使用する「エシカル消費」を推進するため、企業の取り組みを後押しする仕組みを検討し、環境保護・人権保護・動物福祉など表面化しにくいさまざまな課題解決につなげます。
旧統一教会被害対策
- 2022年7月に起きた安倍元首相に対する銃撃事件から明らかとなった旧統一教会(世界平和統一家庭連合)による悪質な高額献金等による被害対策関連法について、実効的な被害者救済策とするべく、弾力的な改正を検討します。
- 旧統一教会の財産保全関連法は、確実に財産を保全するにはまだ課題があることから、被害者救済の原資が失われない方策の実現を目指します。
地域・国土交通
総務・地方分権
- 地域の多様性を尊重した自治体の自主的な取り組みを重視し、権限や財源を可能な限り自治体に移譲させる地方分権を進めます。
- 「地方自治の本旨」の具体的な議論を深化させます。時代の変化に即した地方制度の在り方についても検討を行います。
- 立法事実もなく、地方分権改革に逆行する補充的指示権については、廃止を目指します。それまでの間、補充的指示権が現実には行使されないよう、国と自治体間の事前の協議・調整、事前の国会承認など、厳重な歯止めをかけます。
- 自治体が行った処分について国等に審査請求や再審査請求をすることができる裁定的関与について、分権・自治推進の観点から見直しを行います。
- 「地方創生」政策の検証を行います。地方と連携・協力しながら、少子化や人口減少、東京一極集中の流れを食い止め、必要な対策を強力に展開するよう、国に人口戦略を総合的に推進する体制を整えます。
- 国と地方の税源配分について、当面は5対5とすることを目標として、地方税の配分割合をさらに引き上げます。
- 地方交付税を増額し、財源調整・保障機能を強化します。地方交付税の法定率引上げと臨時財政対策債の廃止を目指します。
- 地域公共サービスを維持・向上させ、住民の利便性を高めるため、自治体で働く非正規職員(会計年度任用職員など)の処遇改善などに取り組みます。必要な人員を配置できるよう地方公務員の総人件費を十分に確保するようにします。
- 「国と地方の協議の場」が実質的な決定の場となるよう、制度面の充実を図ります。
- リモートワーク環境の一層の整備により地方移住を促進するとともに、二拠点居住の課題を整理し、地域活性化を後押しします。
- 「地域おこし協力隊」の改善・充実、農林水産業、観光業、商工業、IT産業等への参入支援をはじめとする外部人材の活用、地方への移住(Uターン、Iターン、Jターン)を積極的に支援します。
- 分散している生活サービスや地域活動の拠点を集約し、役所や学校などさまざまな活動拠点をネットワークでつなぎ、人やモノ、サービスの循環を図る「小さな拠点」による地域づくりを進め、過疎地域や中山間地域などの暮らしを守り、コミュニティを維持します。
- 空き家や空き店舗等を活用して、不足するコミュニティ施設や福祉施設などに転用し、若者をはじめ住民が暮らしやすい地域づくりを進めます。
- 地方大学と産官学の連携を強化し、人口の流出防止・定着を図ります。
- 人口減少社会において、郵政事業が地域の生活を支える担い手となるよう郵便局ネットワークを活用します。
- 5Gの普及・促進、次世代の移動通信システムであるBeyond5G(6G)の研究開発を促進して、国際競争を牽引します。また、その技術を医療や介護、交通やインフラ、農業やエネルギーなどに活用して、地域の活性化や社会課題の解決、国民生活の利便性向上を図ります。
- 近年、災害が長期化・激甚化・多発化していることに鑑み、各自治体の消防職員の増員、消防資機材の整備など、消防力の維持、広域連携の強化を進めます。また、消防職員の団結権・協約締結権を回復します。
- 地域防災を担う人づくり、体制づくりを進めるため、女性団員確保策の充実、地域住民や企業・団体、消防機関や自治体との連携、消防団の処遇改善等により、消防団員の確保を図ります。
国土交通
- 地域公共交通の持続可能性を高め、移動の権利を保障するとともに、交通従事者を支援し、人と環境負荷軽減を重視した持続可能なモビリティを目指します。
- カーボンニュートラルを目指す上で、道路、鉄道、水運など多様な交通手段による地域間移動や物流を効率化します。
- 建築物のバリアフリー化や耐震化、長寿命化、省エネ化によって、不動産市場と建設市場の活性化につなげます。
- 生活密着型の事業を優先しながら公共事業の選択と集中を図ります。特に、昨今の大規模自然災害の頻発は、地域公共交通機関にも損失を与えてきました。安全性と防災力を高めるため、鉄道や道路をはじめ、港湾・橋梁・水道など老朽化が深刻な社会資18本の円滑な維持管理と、長寿命化や更新に取り組みます。
交通まちづくり政策
- 交通まちづくり政策を検討します。人口減少、高齢化、地球温暖化などの諸問題に対して持続可能なまちづくりを支えるための観点が必要です。そのため、環境負荷の少ないコンパクトシティの形成など、まちづくりと交通を一体的に考え、誰もが安全に安心して移動できる環境の構築や脱炭素社会の実現に向け、公共交通を軸とした総合交通体系の構築や計画立案を図ります。
観光政策
- エコツーリズムやグリーンツーリズムを推進し、インバウンド対策(オーバーツーリズム対策を含む)を行いながら、日本の強みである文化芸術、食文化を生かした総合的な施策を展開します。
グリーンインフラの整備
- 従来の国土強靱化だけではなく、自然と共生し、スリムでしなやかな国土を形成するため、グリーンインフラの整備を着実に進めるとともに、インフラ老朽化対策にも取り組み、豊かで多様な社会資本を再生させ、それらを有効に活用します。人に優しく思いやりのある地域密着型の社会資本整備を進め、防災力を向上させるとともに、地域の暮らしと雇用を守ります。
物流政策
- 物流業界に対して、これまで政府がどのような対策を講じてきたのかを改めて検証します。荷主企業、物流事業者(運送・倉庫等)、一般消費者が協力してわが国の物流を支えるための環境整備に向けて、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容について、将来に向けた物流の抜本的・総合的な対策を講じます。
外交・安全保障
- 現行の安保法制については、立憲主義および憲法の平和主義に基づき、違憲部分を廃止する等、必要な措置を講じ、専守防衛に基づく平和的かつ現実的な外交・安全保障政策を築きます。
- アジア太平洋地域において、大国間の緊張緩和と信頼醸成のため、日米のみならず、日中韓を含めたASEAN+3、米露豪印等も含めたEAS(東アジア首脳会議)、APECを重視し、さらにはQUAD(日米豪印)の参加国を増やし、英仏独、ASEAN、時に韓国などを加えたQUAD+(プラス)に進化させていきます。
- 自衛隊員の任務環境と処遇の改善等により、人的基盤の強化を行うとともに、無人化・省人化を進めます。
- 非核三原則を堅持し、不拡散・軍縮のための取り組みに積極的・能動的な役割を果たしていきます。唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約へのオブザーバー参加などを通じて、核廃絶に向けた働きかけを行っていきます。
- NATO型核シェアリングについては、能力的にもNPT条約に鑑みても現実的ではなく、認められません。日米拡大抑止協議を深化させていきます。
- 尖閣諸島がわが国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いがなく、現にわが国はこれを有効に支配しています。同諸島を巡って解決すべき領有権の問題は存在せず、今後とも平穏かつ安定的に維持・管理していきます。力による現状変更の試みには毅然として対処します。
- ロシアのウクライナ侵略に対しては毅然と対応する一方、わが国固有の領土である北方領土については、四島の帰属の問題を解決し平和条約を締結すべく、これまでの日露間の諸合意、法と正義の原則を基礎として、ロシアとの交渉を求め続けます。国際秩序の維持のためウクライナの支援を継続します。
- わが国固有の領土である竹島の問題は、国際法に従って平和的な解決を粘り強く求めていきます。
- 台湾海峡の平和と安定は、わが国の平和と安定に密接に関係しており、緊張が高まると、わが国に対しても大きな影響が及ぶことが想定されることから、両岸問題が平和的に解決されることが何よりも重要です。そのための外交努力、平時からの安全保障協力、わが国周辺地域の常時警戒監視、情報収集、台湾海峡情勢に関するハイレベルな情報交換を進めます。
- 日米地位協定については、改定を目指しつつ、米国側と交渉できる現実的な提案を行っていきます。米軍基地周辺ではPFAS/PFOS汚染が確認されているにもかかわらず、多くの自治体の立入調査要請が管理権を持つ米軍に拒否されています。日本側による米軍基地の管理権、立入権限、横田空域(RAPCONを含む)の縮小、基地の米軍・自衛隊との共有化の交渉のための検討委員会を設置します。
教育・子育て支援
一人ひとりの学びのための環境整備
- 一人ひとりの理解度や状況に応じた多様な学びの機会を確保します。
- いじめや虐待など子どもをめぐる問題が起きた場合に、子どもの権利を最優先に擁護し、客観的な第三者として調査権限と提言機能を備えた「子どもコミッショナー」を設置します。
- 不登校、引きこもり、いじめ、虐待の問題への取り組みを強化します。
- 市町村立の小規模高校の設立や、フリースクールへの支援拡充、夜間中学の設置促進、オンライン学習等の積極的活用、周辺学校との連携強化を推進します。
- ヤングケアラーを早期発見し、関係者と情報共有する体制構築の推進、ヤングケアラー家庭への支援、教育や医療、就労など横断的な支援を実現する法律を整備します。カウンセリングなどの支援、家事支援やレスパイトケアなど、子どもと家庭への必要な支援策を拡充し、子どもの心身の発達と学びを支えます。
- 教職員定数の充実や、スタッフ職の増員、非常勤教職員の環境改善を推進し、教員が子どもとしっかりと向き合う時間を確保するとともに、教員不足に対応します。
- 給特法(教育職員の給与に関する特別措置法)の廃止を含めて教職員の処遇改善を行うとともに、部活動については地域社会への移行など抜本的な見直しを行い、教職員の長時間労働を是正します。
多様性を尊重し、自ら選択肢を見つけ、選ぶことのできる学校
- 性別・年齢・国籍の違い、障がいの有無、異なる価値観などを認め合い、多様性を尊重19し、自ら人生の選択肢を見つけ、選ぶことのできる教育を推進します。
- 多様な職業の可能性を早い段階から学習・体験することで、将来の職業を自らの意思で選択することができ、個性と能力を磨く機会が十分に得られる学校教育を目指します。
- 大学入試の在り方を大胆に見直し、学級や学年の枠に縛られず、柔軟に教育を受けられる学校にします。また、これからの時代にあった能力を身につけるための学習指導要領やICT活用を含めたカリキュラム、飛び級制度の推進、担任制の見直しなど、より自由で弾力的な学校運営ができる制度をつくります。
- GIGAスクール構想により1人1台端末環境が整備されたことを受け、健全な教育の情報化を目指し、ICTの支援員や通信環境の充実、機器更新時のフォロー、授業内容や教員養成課程の見直しを図ります。
子ども・子育て政策の拡充
- 子ども・子育て関連予算については積極的な積み上げを行い、結果として対GDP比3%台(現状の倍増)を達成し、社会全体で子どもの育ちを支えていきます。
- 児童扶養手当の支給月額を1人当たり1万円増額するとともに、ふたり親低所得世帯も支給対象に加えます。また、現行制度で18歳に達する日以後の最初の3月31日までとなっている支給期間を、20歳未満に延長します。さらに、支給は毎月に改め、月ごとの収入のばらつきをなくし、家計の安定を図ります。
育児休業給付の新制度創設
- 育児休業給付を雇用保険制度から独立させ、国の負担による新たな制度を創設します。これにより、これまで雇用保険に加入できなかった非正規雇用者やフリーランスも育児休業給付を受けられるようにします。
若者の居場所づくり
- 気軽に立ち寄れる安全な居場所を確保するため、若者の交流場所、勉強場所、食事などを提供する拠点をつくります。
- 若者の自殺防止のため、相談・支援・見守りを強化し、直面する困難や孤独の解消を目指します。
文化芸術の振興
- 文化芸術振興基本法の支援対象に「場」や「担い手」を加えることや、劇場法(劇場、音楽堂等の活性化に関する法律)の支援対象に映画館や小規模音楽会場を加えること等を含めた、さらなる文化芸術振興の在り方を検討します。また、芸術家の地位と権利を守り、生活基盤を支える「芸術家福祉法」を制定します。
- 日本の伝統的な文化芸術を継承し発展させるとともに、新たな文化芸術の創造を振興します。また文化財保護を強化します。
- 文化芸術の振興を図る目的で、基金の公的資金の増額および民間からの資金増加を図る仕組みを検討するとともに、若年層が文化芸術に触れる機会を増やす施策を検討します。
社会保障
介護
- 家族を介護する期間が長期化した場合に介護休業の通算期間を延長するなど、介護する家族の立場に立って、仕事と介護を両立できる環境を整えます。
障がい・難病
- 障がい福祉事業所の安定的な運営のために、次期改定を待たずに令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定を見直します。現場の支援実態を顧みない報酬体系の導入や基本報酬の減額等を見直し、事業所に対する適切な評価や基本報酬の引上げを行います。
- 障害者虐待防止法を改正し、学校や病院等での虐待防止を進めます。精神保健福祉法の改正で義務化された精神科病院における虐待の通報の実施状況を踏まえ、虐待防止と報告を確保するためのさらなる取り組みを検討します。
- 自治体での手話言語条例の制定を推進するとともに、聴覚障がい者が安心して日常生活や社会参加を進められるよう、手話習得の機会の拡大や手話文化の継承・発展を図る施策を推進する「手話言語法」を制定します。
- 包括的な難病対策の促進に向け、難病等に対する有効な新規治療薬・治療方法の開発を進めるとともに、新たな治療薬の実用化に当たっては早期診断や早期治療が可能となるよう医療提供体制を早急に整備します。
ベーシックサービスの拡充
- 誰もが必要な医療・介護・障がい福祉・子育て支援などのベーシックサービスについて、必要なときにためらうことなくサービスが受けられるよう窓口などでの自己負担を適正化します。その際、医療・介護・障がい福祉等に関する社会保障サービスの自己負担の合計額について、所得に応じて上限を設ける総合合算制度を創設します。
家賃支援
- 住まいの安心を確保するために、新たな家賃補助制度を創設します。
社会保険料
- 社会保険料負担の上限額を見直し、富裕層に応分の負担を求めます。
孤独・孤立対策
- 孤独を理由に自死する人が絶えないなか、自殺統計原票の調査項目を増やすなどして、自殺の原因・動機の究明を進め、対策を講じます。
- 「身近な相談員」である民生委員(特別職の地方公務員・非常勤、給与なし)の処遇を改善するとともに増員し、現場の実態把握を進めます。
- 感染症流行時に家族や知人と会えない高齢者施設利用者の心のケアのため、カウンセリングなどの支援を拡充します。
医薬品
- 医薬品の安定供給、イノベーション創出の基盤を強固にして、国民に品質の高い医薬品を安定して供給できるようにするため、中間年薬価改定を廃止し、2年に1度の改定とします。
- 国内でワクチン・治療薬を開発できるよう、支援体制を強化します。治療に有効な医薬品を国主導で迅速に確保するための仕組みをつくります。
働き方
- 労働基本法(仮称)を制定し、雇用の基本20原則を「期間の定めのない直接雇用」とします。
- 毎日の睡眠時間と生活時間を確保するため、勤務間インターバル(休息)規制(原則11時間以上)を義務化して、「過労死ゼロ」社会を実現します。
- フリーランス、就活中の学生などへのセクハラも含めた「セクハラ禁止法」を制定します。
- 消費者の権利である正当なクレームの機会を確保しつつ、労働者保護のためのカスタマーハラスメント対策を講じます。
- 「職業訓練・訓練中の生活保障・マッチング」をパッケージ化した雇用の総合的セーフティネットを創設します。
- 新たに増やした正社員の人数に応じて中小企業の社会保険料負担を軽減します。
- 派遣労働者保護の観点から、マージン率の適正化に取り組みます。
- フリーランスが働き方の実態に応じて、労働者として保護されるように、労働関係法令等を見直します。
- 「就職氷河期世代支援基本法」の制定を目指します。
- 雇用保険の国庫負担は、雇用政策に対する政府の責任を示すものであることから、失業等給付の国庫負担を従来の本則である4分の1に戻します。
経済・産業
- 創薬・バイオ、ゲノム医療、次世代通信技術、光電融合、量子暗号、AI、メタバース、航空宇宙、超電導、次世代モビリティの分野などを大規模かつ中長期的・計画的に推進します。
- 標準、規格、特許の分野での人材育成を強化し、国際標準を主導します。
- 中小企業憲章の理念に基づき、産業・雇用の中核的な役割を担う地域の中小企業を育て、地域資源を生かした事業への投資を促進し、事業継続、生産性向上、新事業の創出、事業承継などへの支援・拡充を総合的に行います。
- 鉄鋼分野での水素還元技術を世界に先駆けて実用化するため、国の財政支援を行うこと等により、カーボンニュートラルを進めるなかにおいても、鉄鋼産業の競争力・持続可能性の確保と雇用維持を図ります。
- わが国の基幹産業である自動車産業の脱炭素化を推進し、国際競争力の維持・強化を図るべく、電動自動車の普及や脱炭素化に資する自動車開発等を支援する税制上の措置を講じます。
- 電気自動車(EV)の充電ポイントや燃料電池車の水素スタンドの設置支援、EV・燃料電池車の開発・普及促進、次世代の蓄電技術の開発・製造支援、燃料の脱炭素化推進など、自動車産業の脱炭素化の基盤整備を強力に進めます。
- 特定条件下での完全自動運転(レベル4)・完全自動運転(レベル5)を世界に先駆けて社会実装するため、研究・開発の支援と道路交通法など関連する法整備を総合的に進めます。
- 地域ごとの伝統文化について活性化を図ることで産業として確立させ、それら日本文化を観光コンテンツとして活用することを通じ、コロナ禍により重要性が高まったマイクロツーリズム市場の拡大を図ります。
- グリーンインフラの活用により、グリーン成長を社会の大変革につなげ、関連する分野をわが国の主要産業へと育成します。
- 適切な価格転嫁対策を推進し賃上げにつなげるため、政府と公正取引委員会が定める「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の運用状況を不断に点検し、改善を促します。
- 「宇宙資源法」の執行も含め、新型基幹ロケット「H3」の開発を促進し、世界トップクラスの宇宙開発能力を維持・強化するための先端的研究開発を推進します。
- 過疎や人口減少・高齢化による地方の課題に対して、解決につなげるための新しい技術を導入する自治体や中小企業の取り組みを支援します。
- コロナ禍により多額の借入れを余儀なくされた中小企業の事業再生と雇用維持を図るため、過剰債務について、減免の法的整備等や資本性資金への転換促進を金融機関の理解・協力を得て行い、地域経済を守ります。
ビジネスと人権
- ビジネスと人権をテーマに政府の政策を見直し、企業やNGOなどステークホルダーとの意見交換を行い、有効な政策や法整備について検討します。これにより、男女平等政策の促進やLGBTQI+の権利保障、人種差別に対する断固とした対応、気候正義の観点による政策転換等の人権保護・尊重の取り組みを促進し、企業価値の毀損や収益減少のリスクを回避するとともに、消費者や投資家からの理解を得て、収益の増加や企業価値の向上等につなげます。
- 人権問題による企業イメージ低下や訴訟リスクを回避し、グローバル企業として人権尊重の責任を果たすことで持続可能な社会の実現に貢献するとともに、サプライチェーン全体の改善と、国際競争力の強化につながる人権デューデリジェンス(自社やサプライチェーンにおける人権侵害リスクを特定し、予防・軽減策を講ずる)の法制化を検討します。
エネルギー
気候危機・気候変動対策
- 気候変動は人類存亡につながる人類共通かつ最大の脅威であり、その影響はこれまでにない厳しい気象現象や自然環境へのダメージなどの形で顕在化し、気候危機といわれる時代を迎えています。将来世代への責任を果たすため、あらゆる施策を総動員し、気候危機からの脱却を実現します。
- 気候変動対策推進のため、国民の意見を気候変動対策・エネルギー政策に反映させる仕組み(抽選による国民会議の設置=くじ引き民主主義)の創出や法律名の変更など、地球温暖化対策推進法を抜本的に見直します。
- 将来世代への影響を長期的観点から検討する「未来世代委員会」を創設し、公平公正で開かれた科学的な政策議論を行い、国会や政府に対して提言・勧告を行うことができるようにする、「未来世代法」の制定を目指します。
- 全体としての税負担の軽減を図りつつ、気候危機対策を推進するためのカーボンプライシング、炭素税の在り方について、税制全体の見直しのなかで検討を進めます。
- 各産業の脱炭素化を進めるにあたり、地域振興、新産業育成、雇用の公正な移行を強力に支援します。
エネルギー
- 気候危機対策を強力に推進し、2030年の再生可能エネルギーによる発電割合50%お21よび2050年100%を目指し、2050年までのできる限り早い時期に化石燃料にも原子力発電にも依存しないカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成を目指します。
- 省エネルギーの取り組みを強化して、2030年に最終エネルギー消費30%削減(2013年比)、2050年には同60%削減を目指します。
- 2030年までに省エネ・再エネに200兆円(公的資金50兆円)を投入し、年間250万人の雇用創出、年間50兆円の経済効果を実現します。
- 省エネルギーのさらなる推進と合わせて、日本の資源である再生可能エネルギーを最大限活用することで、年間20兆円を超える資源輸入のための国富流出を止め、日本経済の成長につなげるとともに、再生可能エネルギー中心の災害に強い地域分散型エネルギー社会を実現します。
- 日本では多くの熱が利用されていないことから、熱利用の拡大を目指します。地中熱や河川熱などの再生可能熱や廃熱利用の拡大、電熱併給のコジェネレーションの導入、熱エネルギーの面的利用(地域熱供給等)、コミュニティ単位での活用、廃熱のカスケード利用、断熱の徹底などにより、熱エネルギーの効率的な利用を進めます。
- 遅れている建物の断熱化・ゼロエミッション化を推進します。建て替えや改修の際の補助金・税制優遇、金融支援、省エネ努力の「見える化」等により、2030年に全建物の10%のゼロエミッション化(リアルZEB、ZEH)を実現します。地域の工務店・建設会社の参入を促進して地域経済の活性化につなげます。
- 太陽光発電については、環境破壊につながる大規模開発を抑制し、屋根置き太陽光発電、大規模駐車場への設置、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)を普及させます。公共施設の太陽光発電設置の義務化、ソーラーシェアリング向けFITの導入などにより太陽光発電事業を支援します。
- コストが下がってきた大型蓄電池の導入を加速し、調整電源とします。また、次世代の蓄電技術(全固体電池等)の開発を支援します。
- 環境に配慮した農業生産・経営を支える多様な設備・機械装置等の導入およびソーラーシェアリング等を促進するための税制上の措置を創設します。
原子力発電
- 原子力発電所の新増設は認めません。廃炉作業を国の管理下に置いて実施する体制を構築します。
- 実効性のある避難計画の策定、地元合意がないままの原子力発電所の再稼働は認めません。
環境
- 強力な台風や線状降水帯などの発生による自然災害が激化していることから明らかなように、地球温暖化による気候変動は、人が豊かに生きる地球環境を破壊する最も重要な要因の一つです。また、環境省の前身である環境庁の原点、水俣病問題は解決しておらず、それどころかPFAS汚染問題など新たな公害が発生しています。これまで続く経済優先一辺倒ではなく、人命や環境を重視し、環境と経済の好循環を目指します。
- 専門家だけでなく、NGO・NPO、将来世代である若者や関係者の意見を丁寧に聞き、環境分野での政策立案をともに進めるとともに、委員会等への参考人として積極的に招致します。
環境健康被害救済・公害政策―水俣病
- 2024年5月1日の環境大臣と水俣病被害者団体との懇談の場で起きた発言遮断はあってはならないことです。現地の皆さんと環境省との信頼関係の改善を図るとともに、水俣病特措法の再開(未申請者)と、疫学を含む健康調査の2年以内の実施、健康調査の結果などを受けての水俣病特措法の抜本的な見直しを目指します。
- 水俣病問題の解決には現行法の運用で対応できることもあることから、療養費の充実、離島加算の増額、柔軟な認定ランクの変更などを進めるとともに、汚染者負担の原則に委ねていては被害者が不利益を被ることになる場合の救済の在り方について検討します。
環境健康被害救済・公害政策―PFAS汚染
- PFAS汚染問題は、生きる上で基本となる安全な水の確保の問題です。国民の健康と安全を守る立場として、汚染源特定のために土壌調査を実施するとともに、広く血液検査を行い、PFASの血中濃度が高い場合に相談や支援につながる仕組みを設けることで、これ以上のPFAS汚染の拡大防止と市民の不安の解消を目指します。
生物多様性
- 豊かな生物多様性を守るため、2030年「昆明・モントリオール生物多様性枠組」に定められたネイチャー・ポジティブの実現を目指します。
- 地域ごとの生物多様性の取り組みが重要であることから、「生物多様性地域戦略」の策定を促進します。
- 日本の美しい自然、豊かな生態系を後世に引き継ぐため、民間が行うナショナル・トラスト活動に対し支援を行う法制度(ナショナル・トラスト法案)の検討を進めます。
- 伐採木材の有効活用(国産材の利用促進、C・D材のバイオマス資源としての活用など)を充実させます。海外から流入し日本の木材市場に悪影響を及ぼす違法伐採木材を日本の市場から排除するため、合法性の確認を徹底する仕組みや、違法伐採木材である可能性を否定できない木材流通の在り方について検討します。
- 人と動物が幸せに暮らす社会に向け、動物を飼養・管理する者の責務と動物取扱業者の責任の強化、動物に不必要な苦痛を与える虐待行為に対する罰則の強化などに取り組みます。
資源循環・脱使い捨てプラスチック
- プラスチック汚染に関する法的拘束力ある国際条約の策定に向け、実効的な国際条約となるよう後押しします。
- 省資源型の循環型社会への転換を実現し、廃棄物の不適正処理や不法投棄を防ぐため、廃棄物に関連する法制度を抜本的に見直します。
- 廃棄物を有価物であると称するなどの不適正事例によって、環境や地域住民の健康への悪影響の懸念が生じるとともに、対応する自治体の負担も増加していることから、廃22棄物の定義を明確化し、排出者責任を徹底させるとともに、国として責任ある対応を行います。
- 大量生産・大量消費型社会による環境負荷を低減するため、動静脈産業の連携を促しつつ、拡大生産者責任の趣旨に則って動脈産業における資源循環と廃棄物の発生抑制に関する施策の充実・強化を促進します。
農林水産
食料・農業・農村政策
- わが国の農林水産業は、食料安全保障の基盤をなし、国土・自然環境の保全等、多面にわたる機能を発揮しています。こうした農林水産業の持続的、安定的発展を通じ、食料安全保障の強化と多面的機能の発揮を図ることを基本として諸施策を展開します。
- かつて実施された農業者戸別所得補償制度を、食料安全保障の確保と多面的機能の発揮に貢献する農業者の所得向上等に資する農地に着目した直接支払制度に転換します。農山漁村を再生し、「食料自給率50%」を目指します。
- 現政権が講じてきた官邸主導の「新自由主義的な政策」から転換し、農林水産業固有の特性やわが国の農山漁村社会の歴史に根ざした地域政策を経営安定対策と一体的に推進します。
- 規模拡大を進める農業者も、小規模兼業の農業者も、わが国の農業を支える重要な担い手です。このため、各種施策において、一律に「規模拡大」を要件とはせず、多様な農業者のニーズに即したきめ細かな支援策を講じていきます。
- 今後20年で個人農家(基幹的農業従事者)が120万人から30万人に激減すると推計されています。新規就農を一層促進するため、現行の仕組みでは不十分な支援策を抜本的に見直し、農業技術等を習得するための研修の拡充・強化や、経営確立を支援する仕組みを検討します。これにより、地方への移住、農業への就労・転職を促進し、中山間地域を含む地域コミュニティを再生させます。
- 農業生産に欠くことのできない重要な生産資材である種子を守ります。国民全体の財産である国産の種子の開発・普及を進め、安価で安定的に農業者に供給できる環境を整備します。
- 肥料・飼料・燃油など生産資材の高騰対策の強化と、供給体制の整備・安定を図ります。
- 農業従事者の人権への適切な配慮など、雇用環境の整備を図るとともに、農産物等の輸入に際して、輸入元の農業従事者等の人権が尊重されるよう相手国に求めます。
- 近年の野生鳥獣の出没急増、それに伴う人的被害や農作物被害の深刻化といった実態を十分に踏まえ、個体群管理、侵入防止対策、生息環境管理を3本柱とする鳥獣被害対策・予算のさらなる充実を図ります。捕獲後の鳥獣の利活用を推進します。
森林・林業政策
- 適切な森林管理の支援、国産材の安定供給体制の整備などにより、「木材自給率50%」を目指します。適正に管理された森林から産出した木材を認証する制度を推進し、違法伐採木材の国内流通を阻止する実効性ある施策の検討を行います。
- 花粉症対策として、無花粉・低花粉の苗木の生産拡大を進め、建築分野における需要創出策とともに、伐採加速化計画を策定・実行します。花粉飛散防止剤の実用化等を進めます。
水産政策
- 水産関係者が地域の実情に即した対応策を自ら考え合意する「浜の活力再生プラン」の目標達成に必要な資源管理、生産基盤整備、流通・加工対策、魚価対策等の支援を行います。
- 水産資源の管理にあたっては、科学的調査を一層進め、資源評価の精度を高めるとともに、漁業者の意見を十分に聞いて、その経験と知識を生かします。TAC制度の適用や地球規模での資源変動などによって漁業者の収入が減少する場合には、十分な補塡措置を講じます。
憲法・皇位継承
「論憲」を進める
- 現行憲法の基本理念と立憲主義に基づき「論憲」を進めます。国家権力を制約し、国民の権利の拡大に資する議論を積極的に行います。
- 内閣による衆議院解散の制約、臨時国会召集の期限の明記、各議院の国政調査権の強化、政府の情報公開義務、地方自治の充実について議論を深めます。
- 現行の9条を残した上で自衛隊を明記する自民党案では、前法より後法が優先するという法解釈の基本原理が働き、戦力不保持・交戦権否認を定めた9条2項の法的拘束力が失われ、フルスペックの集団的自衛権まで行使可能となりかねません。これは、平和主義を空文化させるものであり、反対します。
公平・公正な国民投票の実現
- 国民投票の公平及び公正を確保し、国民が正確な情報に基づいて判断できる環境を整備するため、広告放送、インターネット有料広告、運動資金、外国人からの寄附等を規制するとともに、国民投票に関するインターネットの適正な利用の確保を図るための方策を盛り込む国民投票法改正を行います。
国会議員の任期延長について
- 衆議院の解散や任期満了による衆議院議員の不在時に発生した緊急事態に対しては、憲法54条2項で参議院の緊急集会が国会機能を代行できると規定されている上、災害対策基本法など、緊急事態に応じた個別法令が整備されており、議員任期延長を含む新たな緊急事態条項を憲法に定める必要はありません。
皇位の安定的継承
- 皇位の安定的継承と女性宮家の創設に向けて、立憲民主党「安定的な皇位継承に関する検討委員会」の「論点整理」に基づいて、拙速にではなく、丁寧に国民の総意を作っていくための議論を行います。