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2020年8月12日

DVかも?と思ったら、まず相談を。支援現場を知る北仲千里さんに聞く、相談から生活再建までのフロー

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新型コロナウイルス感染拡大による企業倒産や解雇のストレスなどを背景に、DV(※1ドメスティック・バイオレンス)相談件数が増えている。政府は緊急的に、24時間対応の「DV相談+(プラス)」を設けるなど相談体制を強化している。

ただ、そもそもDV被害者のうち半数ほどの人が、だれにも相談できていない(※2)。背景にはまず、「これはDVだ」と気づくハードルが高いことがある。殴る、蹴るといった身体的暴力以外にも、DVには精神的、経済的、性的など様々なものがあるが、あまり知られていない。

加害者と離れたとしても、自分自身の収入がなく生活できない不安から、相談をためらってしまうという声も聞こえてくる。国や自治体は相談から一時避難、その後の生活再建支援までそろえているが、その情報が被害当事者まで効果的に届いていない。

新型コロナによる経済的な影響がまだ止みそうにない中で、ひとまず今の制度のもとで適切なところへ相談し、支援を受けるためにはどうしたら良いのだろうか。各地のDV被害者支援団体でつくる「全国女性シェルターネット」共同代表の北仲千里さんに、話を聞いた。

※1)DV(ドメスティック・バイオレンス):配偶者や恋人など親密な関係にある/あった者から振るわれる暴力

※2)内閣府「男女間における暴力に関する調査(平成29年度調査)」より

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「これがDVかわからない…」どんなに小さなことでも相談して

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──北仲さんはこれまで、様々なDV被害相談や支援の現場を見てこられました。ただDV相談の窓口はたくさんあって、具体的にどこに相談するのが良いのか、その先どんな支援をしてもらえるのか、一般の人からはわかりにくいと感じます。DV被害から逃げる場合、どんなプロセスをたどるのですか?

被害から逃げるには、相談→加害者と別居する「一時避難」→生活再建、と進めていくのが良いです。まずは相談窓口とつながれば、状況や気持ちを整理したり、救出して一時避難先に連れて行ってくれたり、逃げるためにすべきことの優先順位をつけてくれたりと、暴力の危険度に応じて対応してくれます。

離婚しないと一時避難できないと思っている人もいますが、それは誤解です。同居したまま離婚を切り出したりすると、加害者が逆上して、さらに被害を受ける危険があります。まずは別居して、それから生活再建の手続きを進めれば、大丈夫です。

DVにはいろいろな種類があります。殴る、蹴るはよく知られていますが、性的、経済的、精神的ものも。「これってDVかな?」と思ったら、どんなに小さなことでも相談してください。

※DV支援の関係機関や、暴力の形態については内閣府のウェブサイトに詳細がある http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/shien/index.html

──相談に行くときに、持っていった方が良いものはありますか?

特に脅しや言葉の暴力では、メールやLINEのやり取りが、DVを受けた証拠になります。見返すのは怖くて削除したくなりますが、できればスクリーンショットなどを残しておいて、相談時に見せると良いでしょう。

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北仲さん

身体的な暴力や脅迫、つきまといは警察へ。生活安全課なら、DVに詳しい署員がいる

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──警察に行くのは抵抗感がある被害者もいます。警察ではどんな支援をしてくれるのですか?

刃物を持って追いかけられたとか命が危ない時には、最寄りの交番や警察署が24時間開いているので駆け込みましょう。ただ緊急性がそれほど高くないときは、生活安全課に事前に電話してから行くのをおすすめします。DV相談の経験がある署員がいるので安心です。

被害者の中には、もともとは親しかった配偶者やパートナーを逮捕させることになるので、しのびないという方もいます。でも警察に連絡したからといって、必ずしも加害者が処罰されるわけではありません。特に生活安全課の業務は、加害者の逮捕ではなく被害者を救うこと。丁寧に聞き取ってくれますから、安心してください。

つきまとい、待ち伏せなどのストーカー被害では、警察が加害者に警告を出せます。生活安全課に行けば、相談記録が残るので、その後裁判所に保護命令(※3)を出してもらう場合にも役立ちます。

※3)保護命令:DVによって生命・身体に重大な危害を受ける可能性が高い場合などに、「連絡してはならない」「近寄ってはならない」など、配偶者の行動を制限するために裁判所が出す命令。

──病院でも助けを求められますか?

DVを受けて怪我をしたり、精神的に落ち込んだり、眠れなくなったりして病院にかかった時にSOSを出せます。信頼できそうな医師がいたら、思い切って「助けて」と言ってみることが大切です。

産婦人科も同じです。避妊に協力してもらえずに妊娠・中絶を繰り返したり、妊婦健診を受けさせてもらえずに駆け込み出産をしたり、性行為を強要されたりしている場合は、相談してみましょう。

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地域の男女共同参画センターや民間支援団体は、何度相談しても大丈夫

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──逃げるか迷っている、自分が受けているのがDVか分からないから状況や気持ちを整理したいといった相談、とにかく不安を聞いてもらえるところはありますか?

一般の方が見つけやすいのは、地域にある配偶者暴力支援センターや男女共同参画センターです。何回通っても大丈夫。相談員と話す中で、逃げる、別れるのが良さそうであれば、一時避難先につないでくれます。また「DV相談証明」をもらっておくと、生活再建するにあたり、いろんな場面で役に立ちます。

▼配偶者暴力相談支援センターの一覧はこちら
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/01.html

▼男女共同参画センター一覧はこちら
http://www.gender.go.jp/research/joho/pdf/01-6.pdf

ただ対面の相談窓口は夕方には閉まることが多いので、夜間は電話相談やメール相談を使いましょう。4月に政府が始めた「DV相談+(プラス)」は24時間電話、メールで相談を受け付けていて、SNSでは正午から午後10時まで多言語対応しています。

──公的な窓口ではなく、民間支援団体もあると聞きます。

すべての都道府県ではありませんが、地域の被害者に寄り添う支援団体が、各地にあります。相談先を書いたカードが、役所など公共機関に置いてあることが多いです。ベテラン相談員もいますので、見つけたらぜひ連絡をとってみてほしい。一時避難のためのシェルターを運営している団体ならそのまま避難できる場合もあるし、シェルターを出た後も生活再建まで一貫して支援してもらえます。

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転宅資金に住民票の閲覧制限。逃げた後の生活再建には「公的支援が使える」

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──相談後、一時避難はどんなふうに進むのですか?

基本的には相談員が、適切なシェルターや施設を見つけてくれます。とにかく加害者から離れるために短期間滞在する施設と、その後生活を立て直すために中長期で使える施設の2種類があります。所在地を公表していないので、加害者に見つからず過ごせます。

空き状況や地域の事情によってまちまちなのですが、おおまかに言って短期間滞在で使えるのは、公的もしくは民間の「シェルター」と言われる施設。中長期で使える施設には、公的なものなら「婦人保護施設」や「母子生活支援施設」、民間であれば通勤・通学ができる「ステップハウス」など。こういった施設で過ごしながら、徐々に新しい生活の準備を始められます。

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──仕事をしていなかったのでお金がほとんどない場合でも、新しい生活はできるのでしょうか。

いろいろな公的支援があり、相談員がコーディネートしてくれるので、安心してください。たとえば収入がないか、少ない場合に受ける生活保護には、「転宅資金」という支援金があるので、まとまったお金がなくても新しくアパートが借りられます。住民票を移動させずに子どもの転校はできるし、住民票を移動させた場合も加害者に現住所を知られないよう、1年間は役所の窓口が閲覧を拒否することもできます。

加害者の借金を負わされている、離婚が大変そうという時には、弁護士に相談です。数十万円かかると思っている人もいますが、法テラス(※4)もあるし、DV相談窓口で紹介される弁護士など、良心的に対応してくれる弁護士もたくさんいます。

※4)法テラス:法律トラブルが起きた際に、まず何から始めたらよいのかわかるように無料で情報提供を受けられる。さらに一定の条件を満たせば、無料で法律相談をしたり費用を立て替えてもらったりできる。

苦しさを分かってくれる相談員は必ずいる。あきらめず、相談してほしい

──最後に、メッセージをお願いします。

DV被害を受けた皆さんは、相談窓口がたくさんあって悩んでしまうかもしれません。それはあなたが悪いのではなく、日本の法律、仕組みが古いのと、縦割り行政が影響しているんです。そもそも被害者の方が逃げないといけない、同じ地域に住み続けられないこともおかしいですよね。

相談員に話しても、寄り添ってくれなかった、専門的な意見がもらえなかったと思うこともあるかもしれません。公的機関の相談員は基本的に非正規雇用で、長期的に働ける保障がなく、入れ替わりが多いんです。DV相談は専門的な技能と認められていないので、キャリアに見合った労働環境が整備されていないことも原因です。

本来なら「ワンストップ」と言って、そこへ行けば警察、病院、カウンセリングなど被害者に必要なものが満たされる拠点が各地域にあるのが理想です。海外にはすでにあります。それに、DV相談を専門職として整備し、若い人もどんどん入ってこれる安定した就労環境にすべきです。わたしたちは相談を受けるとともに、もっともっと政治にはたらきかけていきます。

必ず、あなたの苦しさを分かってくれる人はいます。あきらめず、相談してみてほしいです。

▼DV被害者支援に関する立憲民主党の取り組みについての記事「被害者救済を実効的なものとするために『DV防止法改正に向けて(中間報告)』について 打越さく良参院議員」はこちら https://cdp-japan.jp/news/20200427_2881

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北仲千里 CHISATO KITANAKA

1967年生まれ。NPO法人全国女性シェルターネット共同代表、NPO法人性暴力被害者サポートひろしま代表理事、広島大学ハラスメント相談室准教授。DVやセクシュアル・ハラスメントについて研究してきた社会学者。多くのDV被害者支援現場に携わる。共著に「アカデミック・ハラスメントの解決:大学の常識を問い直す」(2017年、寿郎社)など。

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