衆院予算委員会で21日、2019年度政府予算に関する公聴会が開かれ、午前は本多平直議員が明石順平(弁護士)、三浦瑠麗(国際政治学者)の両公述人に、午後は政務調査会長の逢坂誠二議員が、上西充子(法政大学キャリアデザイン学部教授)公述人らに質問しました(写真上は、意見を述べる上西公述人)。

 明石公述人は著書の中で、GDP改定の際、国際的GDP算出基準と関係のない「その他」という項目でアベノミクス以降かさ上げし、1990年代をかさ「下げ」していることを「ソノタノミクス」と表現。本多議員の質問の中でも同様の指摘をしました。

 その上で注目すべき点として消費を挙げ、民間最終消費支出の98%を占める家計最終消費支出と、総務省の家計調査の家計消費指数の傾向が一致していないと指摘、「2014年までは、家計最終消費支出に世帯数を掛けた数字と、GDPの家計最終消費支出が同じような推移を示しているが、2015年以降、急に鰐口が開いたかのように乖離が大きくなっている。GDPの家計最終消費支出の方がものすごく上振れしている」と述べました。

 本多議員は、こうしたデータを立法の立場からどうただしていくべきか質問すると、明石公述人は、「一つは先程申し上げた家計最終消費支出の部分。他の省庁が出している統計と一致していない。なぜこんなにズレるのか、おそらく2015年(時)何か変化を加えたのだと思うのですが、そこを突いていく必要がある。それからかさ上げ部分だけに注目していては駄目。90年代がなんでこんなに下がるのか。マイナスになっている。内閣府が公表している資料を見ても、その点に関する分析がないので原因が分からない。この点を追及したほうがいい」と指摘しました。

 立憲民主党が推薦した法政大学のキャリアデザイン学部教授の上西充子公述人は冒頭、「統計不正の問題と、統計手法への政治介入の問題、そしてこれらの問題に率直に向き合おうとしない政府・与党の、国会に臨む姿勢の問題を取り上げる」と表明。毎月勤労統計をめぐっては、「問題になっているのは、アベノミクスにとって『不都合な事実』を隠すために、調査手法が、官邸の介入によって本来の意思決定プロセスを曲げた形で、変えられたのではないか、という疑惑だ」「公的な文書もデータも、恣意的に改ざんされていて信用できないならば、これは国家的な危機。国際的な信用の失墜にもつながる」などと指摘しました。

 その上で、昨年12月から表面化した統計問題について(1) 基幹統計である毎月勤労統計で東京都の500人以上の事業所について、断りなく不適切な処理を行ってきた問題(2) 2018年1月分からの毎月勤労統計の統計手法の変更に、官邸の不当な介入があった疑いが濃いこと(3) GDP600兆円の目標達成に向けた恣意的な数値の「かさ上げ」疑惑(4) 毎月勤労統計の不正の発覚を受けて行われた自主点検によって、56の基幹統計のうち24の統計に不正が見つかった問題――の4点を列挙。問題が拡大するなか徹底した原因の究明、不正の全容解明により、膿を出し切ることが再発防止のために必要であるにもかかわらず、政府は、基本的な事実関係さえ明らかにしない答弁を続け、野党が求める基本的な資料の提出も出し渋りが続き、参考人招致もなかなか認められない状況が続いていることに、「事実解明に向けた政府と与党の消極姿勢を示すものだ」と問題視しました。

 逢坂議員は、上西公述人に対し、部分入れ替え方式によって遡及して影響を及ぼさないようにしたことでどのような課題が考えられるかを質問。上西公述人は、15年10月16日の第16回経済財政諮問会議で麻生財務大臣が提出した資料にもあるように、総入れ替え方式では事業所サンプルの入替え時の遡及改訂により過去にさかのぼって下方修正されること、過去の実績がプラスからマイナスに転じる恐れがあったと指摘しました。

 逢坂議員は、政府による公文書の廃棄や改ざん、隠ぺい、ねつ造が頻発している現状について「日本の民主主義が大きな危機にある」との認識を示し、「国民の皆さんは国会で野党が同じ質問しているとイライラしていると思うが、政府・与党が野党の求める(国会の)議論に必要な資料や事実を知っている人を参考人として出さない。その結果、議論が分かりにくく、進まない現実になっている」とあらためて訴え、すでに問題意識を述べた上西公述人以外の公述人の見解を尋ねました。

 SMBC日興証券株式会社の末澤豪謙公述人は「事実に基づいて冷静な議論を続けてもらいたい」、大阪府中央子ども家庭センター所長の江口晋公述人は「本日は児童相談所の現場の話を聞いていただきありがたい。前向きな検討をお願いしたい」、立正大学法学部准教授の浦野広明公述人は「論議は政治のプロがするので国民から見てワクワクドキドキするような話を。そのためには本当のことを言ってもらわないとそうはならない。真実を追及するなかで論議が進むことを望む」との旨それぞれ発言。逢坂議員は「これが国民の皆さんの感覚に近いのだろう」と述べ、国会が深刻な状況にあることがしっかり認識してもらえるよう伝えていく努力をすると力を込めました。

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