衆院文部科学委員会で10日、「大学等における修学の支援に関する法律案」の採決が行われ、与党などの賛成多数で可決されました。委員会終了後、本法案に反対した立憲民主党は、逢坂誠二政務調査会長と同委員の菊田真紀子(筆頭理事)、初鹿明博、村上史好各議員が記者会見を開き、政府が「大学教育無償化」だと喧伝する本法案について、「内容がまったく違う」と反対理由を説明しました。本法案はその趣旨について「修学に係る経済的負担を軽減することにより、子どもを安心して生み、育てることができる環境の整備を図り、もってわが国にけるわが国における急速な少子化の進展への対処に寄与する」と明記しています。

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○本法律案の問題点について

・政府は「高等教育無償化法案」と言っているが、実際は一部の該当する学生にのみ学費の一部を負担するものにすぎず、他国と比較すると高い日本の授業料の引き下げは行われない。
・支援措置の対象範囲は住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯と限定されている。
・非課税世帯の学生だけでなく、一部の中間所得世帯の学生も現行の授業料の減免措置を受けている。本法律案によって対象を極めて限定した減免措置が実施されることになれば、現行の各大学で実施されている減免措置が後退するおそれがあり、むしろ施策が縮小する可能性がある。
・対象とする大学等に要件を設けており、例えば経済的な効果を優先し、人文系を軽視するなど、政府の偏った視点で選別される状況を作り出し、成績評価や大学運営に関する大学自治を侵害するものである。
・支援を受ける学生に対し、学部ごとに相対評価を導入し、学びたい意志を持つ学生が支援を打ち切られ中退せざるを得ない状況を生んだり、中退を回避しようとよりレベルの高い大学を目指すことを躊躇(ちゅうちょ)させ、学生の選択の幅を狭め、学生の意欲を削ぐことになる。
・ 非課税世帯の子どもの高等教育への進学率を40%から80%へと倍にすると想定し、必要予算7600億円とされているが根拠が不明確である。

○高等教育に関する日本の状況と立憲民主党の考え方について

 昭和63(1988)年と平成(2017)年を比較すると、大学卒の初任給は約1.4倍だが、小国公私立大学の授業料は、1.7倍まで上昇している。その一方、日本も批准している国連の社会権規約では、徐々に無償教育を導入するよう各国政府に求めているが、他の先進諸国と比べて高等教育機関への公的負担割合が低い。
 高等教育の無償化は貧困対策としてではなく、まずは高すぎる授業料を引き下げるなど、すべての子どもの高等教育への機会を保障するために導入するべきである。

 逢坂政調会長は、「今回の制度では、一部の学生のみが無償化されるにすぎない。もし『無償化法案』と呼ぶのであれば、今後もどういうプロセスでどんな財源によって学生全体を無償化していくのかを明確にしなければならないが、そういう手順がまったく含まれていない。何となく聞こえのいい法案に見えるが、中身はまったく違う。逆に大学や学生を差別することになる」と指摘。国際的には大学の授業料は無償化に向けた方向性にあるなか、日本の公的教育に対する税金の投入割合はOECD(経済協力開発機構)の中でも最低水準であるとして、「まずはこういったところを改善しながら、授業料の減免、無償化が受けられる制度にしていくべきだ」と力を込めました。幼児教育の無償化にも触れ、「選挙になると耳に聞こえのいいことを言い、実際ふたを開けると看板に偽りのことをやっているのが安倍政権ではないか」と批判しました。

 菊田議員は、財源として消費税増税分を使うことになっていることに、「昨今の経済状況から本当に上げられるのかどうか。政府自身もはっきりしていないなかで、不安定な財源をもとに大切な教育、子どもたちの将来に関わる法案の裏付けにするのはあってはならないこと」だと問題視。初鹿議員は、低所得者への財政支援は、世界が求めている教育の無償化、学びの機会を保障するという理念に反するものだと批判。村上議員は「少子化対策としての支援法というのは、そもそも法律の立て付け、方向性が根本的に間違っている」などと指摘しました。

 逢坂議員は、本法案に対し反対の立場を述べたうえで、「参院選挙に向けた政策『立憲ビジョン2019』のなかでもわれわれの考え方を明確にした政策を打ち出していきたい」との考えを示しました。

政府案の概要.pdf

政府案の反対理由.pdf

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