立憲民主党は2日、社会保障制度調査会(第3回)を開催。介護保険制度について関係団体よりヒアリングを行いました。

 政府は今年8月、社会保障審議会(厚生労働大臣の諮問機関)介護保険部会で2021年度に行われる介護保険制度の改正に向けた議論を開始。年内に具体的な案を取りまとめ、来年の通常国会で法案が審議される見込みのなか、検討項目として挙がっているのは「介護サービス利用時の自己負担(原則1割)について2、3割負担の対象者を拡大」「要介護1、2の生活援助サービスが介護保険から外れ市町村による『総合事業』へ」「毎月のケアプラン作成の有料化。年間31,200円の負担増(要介護3以上で2割負担の場合)」といった国民の負担増が予想される制度の改悪です。

 これに加え、安倍総理は9月に「全世代型社会保障検討会議」を設置、年金、医療、労働、介護など社会保障全般にわたる「持続可能な改革」を検討し、年末までに中間報告を、来年夏までに最終報告を取りまとめる方針としています。同会議の民間有識者には、労働者側の代表や医療、介護の現場の受給者や支援者の代表が入っていません。一方で政府の未来投資会議のメンバーなど政府寄りの提言を行い、働き方改革などで企業経営を擁護してきた人たちで構成されていることから、現場の声を聞かずに官邸主導で強行的な改正が進められるのではないかとの懸念が広がっています。

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 冒頭のあいさつに立った長妻昭調査会長は、年金・介護といった社会保障改革をめぐる政府の政策意思決定のあり方に懸念を表明。「必要な手当を無理に削るとどこかにしわ寄せが来る。例えば家族が負担を強いられ、いまも毎年10万人いる介護離職者がさらに増え経済成長のマイナスにもつながる。要介護1、2は『5段階のうちの1と2であれば軽いではないか』と思われる人がいるが、認知症の方や歩くのもやっとだという方もいる。現場を知らない人が感覚で決めるような意思決定に対してはもの申していかなければいけない」と述べ、当事者やその支援者らに対して忌憚のない意見をと呼びかけました。

 会合では、介護保険制度についてNPO法人ピッピ親子サポートネット、NPO法人ACT・人とまちづくり、NPO法人ワーカーズ・コレクティブたすけあい戸塚、日本労働組合総連合会(連合)、UAゼンセン日本介護クラフトユニオンから話を聞きました。介護サービス利用者本人からは、サービスの利用状況や現在の生活状況、身体状況、予想される制度改定の影響等について「デイサービスが生きがい。デイサービスに通うことによって人間らしい生活ができている。一人では外出できない。倒れたらどうなるか。厳しい状況」「病にかかり歩くのがやっと。サービスを受けないと生活が成り立たない。週1回のリハビリが社会とのつながりを持つ機会になっている」といった切実な声が上がりました。また、その支援者である介護職員らは「自立が困難だと思われる方に日々接している」「重度化を防ぐためにもサービスは必要」「要介護1、2といっても認知症がないだけだ」「通所介護支援サービスが利用できなくなるとご自身が『うつ』に陥るのではないかと不安を訴えられている」などと指摘。制度改正によって利用者の健康や生活の質の悪化が懸念されるとともに、介護職員も厳しい労働環境のなか慢性的な人材不足であると訴えました。

 出席議員は、現場の課題把握に努めるとともに、こうした現場の声をしっかり議論に反映させてもらいたいと政府に対し強く要請。現場の介護職員は「全世代型社会保障検討会議のメンバーが忖度しながら決まっていくのかもしれないが、子育てに関しても若いお母さんがツイッターでつぶやいたことで変わっていった。官邸に(声が)届かなくてもいいが市民にこの問題への理解が広まらないと決まってしまうと思う。どうやってここを打破するか、市民がやるべきことだと思っている。私たちの側も戦略を考えないといけない」と述べ、政府への要望書提出や、ウェブサイトでの署名活動など制度改悪阻止に向けて活動していく考えを示しました。