参院予算員会で15日、安倍総理ら全閣僚出席での質疑が行われ、立憲民主党から杉尾秀哉、福山哲郎、蓮舫各議員が質問に立ちました。杉尾議員は、(1)関西電力役員金品授受問題(2)かんぽ生命NHK報道問題(3)「あいちトリエンナーレ」への補助金不交付問題――等について、福山議員は(1)台風19号への政府の対応と予算委員会の開催(2)福島で除染廃棄物の袋が流出したことへの対応(3)関西電力の金品授受問題(4)あいちトリエンナーレへの補助金不交付決定――等について、蓮舫議員は行革の観点から官民ファンドについて取り上げ、安倍総理らの見解をただしました(写真上は質問に立つ蓮舫議員)。

杉尾秀哉議員

 関電問題をめぐる告発文には、関西電力株式会社の原子力事業本部で40年を超える長年にわたり不正が行われていたとして、原発の建設、運転、定期点検、再稼働工事の過程で、工事費等を水増し発注し、お金を地元有力者、及び国会議員、県会議員、市長、町長等へ還流させるとともに、原子力事業本部幹部職員が現金(億単位)を受け取っていた」と明記されていることに言及。原発事故後の再稼働が進み始めたタイミングなどと現金提供のタイミングが一致しているとして、「原子力行政の根幹にかかわる問題で、原発マネーに群がる利権の構図の一端が表に出た」と指弾しました。

 また、今回の関電問題を受けて実施した、他の電力会社への聞き取りに関し、早々に「問題はなかった」と結論付けていることを疑問視。「国として全容解明に責任をもって行うべき」と求めました。

 かんぽ生命の保険の不適切な販売問題を取り上げたNHKの番組に関連して、経営委員会がガバナンス体制の徹底を求めて上田会長を厳重注意した問題をめぐって、日本郵政の鈴木康雄上級副社長がNHKの取材手法について「まるで暴力団と一緒だ」と発言したこと、またその後の対応について「被害者のような発言をしているが加害者だ」と批判。引き続き番組でこの問題を取り上げていたら被害拡大を防げたのではないかとの指摘があることにも触れ、「公共放送としての理念、放送の自主自律やを守れるのか」と危機意識を表明しました。しかしながら上田会長は「NHKの報道番組は国内番組基準や、放送ガイドラインに則って取材を尽くした上で放送することが基本であり、今回の件で自主自律や番組編集の自由が損なわれた事実はない」と答えるにとどまりました。

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福山哲郎議員

 台風19号への対応について政府はこれを優先し、同日の参院予算委員会を延期すべきだと主張。「予算委員会を開かないで政府に(災害への)対応をさせてくれというのが総理の役割ではないか」と安倍総理に対し指摘しました。また、災害対応の要である内閣府防災担当の体制強化を求めましたが、武田防災担当大臣は、「台風15号に対して11人、台風19号に対しては4人の増員をした」と答弁。菅官房長官と安倍総理は、現地に数多くの人間を派遣していると主張、「ニーズがあれば対応していきたい。(内閣防災から)要請は来ていない」と安倍総理は答弁しました。これに対し福山議員は「災害は72時間が大事。だから予算委員会を延期し、人員の派遣などをして欲しい」と改めて中心的にやるべき人が足りていないことを指摘、要請しました。

 福島県田村市と飯舘村の仮置き場で保管していた除染廃棄物の袋(フレコンバッグ)が流出したことへの対応について小泉環境大臣にただすと、現時点で環境への影響はないとの認識を示しましたが、「(田村市では)これまでに6袋を回収済みで、さらに4袋を発見し回収作業中。ほかに流出したものがないか引き続き調査中」と述べ、いくつ流出したのかも含めて「調査中」との答弁でした。

 あいちトリエンナーレの補助金不交付について、文化庁は「補助金の申請者である愛知県が会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにも関わらず文化庁に申告しなかったことによるもの」とその理由を述べたことに対し、福山議員はもう一度不交付決定の撤回を再検討すべきと主張。「実際には無事に開催し終わっている」と語り「政府の方針に少しでも反するような表現はあらかじめ自己検閲する力が働く。今回の不透明な決定は表現の自由に大きな萎縮効果を生む。事実上の検閲として働く」と指摘、「テロ行為をすると脅しをかけただけで、自分の気に食わない表現を制限することができしてしまった。政府はそれに対して補助金を不交付にした。安倍総理は『テロに屈しない』とずっと言っておられた。こういった前例は絶対に日本の文化行政として不適切だ」と述べました。安倍総理は、「表現の自由とともに交付金の支出についての正しいかどうか」「この補助金の扱いについては、(文化庁が)答弁させていただいいたとおり」と答弁しました。

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蓮舫議員

 クールジャパン政策とクールジャパン機構、農業6次産業化政策とA-FIVE(株式会社農林漁業成長産業化支援機構)、株式会社INCJ(官民ファンドの株式会社産業革新機構から新設分割)と株式会社ジャパンディスプレイなどを挙げ、税金が投入されている官民ファンドで大きな損失が出ていることを大臣らとの答弁の中で明らかにし、「官民ファンドは、極めて難しいということが安倍内閣で分かった。政策性と収益性、二兎追うには、専門的人材がリスクが多すぎて集まらない。農林水産大臣も言いましたが、投資案件が小さすぎた。需要が低い。あるいは、クールジャパン機構に至っては、これまでの案件は監督がまったくできていませんでした。クールジャパン戦略担当大臣は、ほぼ自分の役割を放棄しています。こういう中で、まだ続けていき、さらに問題は、これらの官民ファンドの出口は、2030年や2032年。その時、誰が総理なのか、誰が担当大臣なのか、誰も責任を取らないで国民の財産が毀損された時に誰もいないとなったら国民に説明がつかない。もう6年の壮大な実験は止めて、そろそろ出口に向かうべき」と指摘しました。

 安倍総理は、「機構の原資は国の予算である以上、無駄に使われることが決してあってはならない。収益性の向上に向けてすでに経営陣の刷新等に取り組んでいるものと承知している。引き続き経済産業省には納税者の目線に立って強い危機感のもとに機構の改革に取り組ませたい」と答弁しました。

 さらに、クールジャパン機構が沖縄で吉本興業とNTTが教育コンテンツを発信するプラットフォーム事業「Laugh & Peace_Mother(ラフアンドピースマザー)powered by NTT Group」に100億円投資することを取り上げ、来年から沖縄で吉本興業がエンタメ人材人材の育成のため「沖縄ラフ&ピース専門学校」を開校すること、今年6月に沖縄の基地跡地の未来に関する懇談会を政府が設けそのメンバーに吉本興業の大崎洋代表取締役会長が加わっていると指摘。この懇談会のメンバー5人のうち、沖縄に縁のある人は1名いるが都市工学や産業振興が専門ではないこと、さらに議事録が公開されていないことを挙げ、疑われないためにも、こうした懇談会では総理に近い人をメンバーとして置かないようにしたり、沖縄の自治体関係者やまちづくりの専門家を加え、議事録を公開するよう求めました。

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