立憲民主党は16日、エネルギー調査会(第32回)を開催。一般社団法人 環境政策対話研究所代表理事・上智大学大学院客員教授の柳下正治さんを講師に招き、「エネルギー・環境政策における熟議のあり方とは―2012年の国民的議論と討論型世論調査(DP)の経験と課題」をテーマに話を聞きました。今回、プロセスを大事にし幅広くしっかり議論していきたいとの思いから一般の方にも参加を呼び掛け、オープンフォーラムという形での初の開催となりました。

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 冒頭のあいさつで同調査会長の近藤昭一衆院議員は、今般の台風災害に言及。「大型の台風が予想だにしなかった時期に、予想だにしなかったところを襲った。エネルギー政策はいわゆる経済政策だけでなく環境政策であり、地域主権、民主主義とも密接に結びついている。これから政策を作っていくためにも皆さんと議論していくことは重要になる」と、会の趣旨を語りました。

 講師の柳下さんは、民主党政権時代の2012年8月、政府のエネルギー・環境会議のメンバーとして討論型世論調査(DP)を実施。こうした国民的議論を踏まえ、政府は同年9月に2030年代に「原発ゼロ」とする案を決定しましたが、その後政権交代によりエネルギー環境政策はゼロベースで見直されました。

 柳下さんははじめに、フランスで温室効果ガス排出を2030年までに1990年比40%より低く抑えるための対策の政府への提言を目標に、150名のくじ引きで選ばれた市民による気候市民会議が10月4日から始動したことを紹介。こうした動きが日本でまったく報道されていないことに疑問を呈し、11月に現地に赴きヒアリングを予定していると話しました。

 フランスの気候市民会議は、昨年暮れからの燃料税の引き上げに端を発した黄色いベスト運動の広がりを受け、全国に展開された国民大討論会で示されたフランス国民の強い要求(もっと参加型民主主義を!もっとエコロジーを!)に応え、4月25日、マクロン大統領が、気候変動に立ち向かうための政策立案に市民が参画する手法として気候市民会議の創設を発表、政府によりその提言はフィルターにかけることなく、議会決議、国民投票もしくは実施に付すと確約されているとのこと。会議のプロセスや配布資料、会場のビデオ映像等すべて公開されていると言います。

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 その上で、柳下さんは「私史でDPを振り返る」として、原発事故後の2011年7月、政府がエネルギー政策の白紙からの見直しに際し掲げた国民合意の形成に向けた原則に基づき、「討論型世論調査(DP)の導入」が妥当と認識し、2012年1月から実施に向けて働きかけたと、実施に至る経緯を説明。DPについて「直感の民意から知識による民意、知識とディスカッションによってさまざまな意見があることを知った上での民意を調べ、どう変化するのか、構造的に一般的な市民の考え方を知るもの」だと述べました。

 また、DPの特徴として(1)無作為抽出を基本として参加者を募るため、パブリックコメントやタウンミーティングの動員による意見分布の歪みを回避できる(2)専門家との質疑応答等の機会や、資料による熟慮により世相に流されない熟慮を経た意見の抽出が可能である――を挙げ、パブコメ(参加の開放性)や政府世論調査(代表性)、タウンミーティング(参加の開放性や地域性)の各特徴と組み合わせることで、幅のあるさまざまな意見の聴取、傾向の把握が可能だと指摘しました。

 そうしたなか、民主党政権時に実施したDPについては、「中央政府の政策形成過程では画期的なチャレンジでありノウハウとして生かさないともったいない」と話す一方、最終判断に至る過程でとがった意見を集約するかという設計ができていなかったこと、国民意見・世論をどのように判断し意思決定に反映させたのかに関する説明が十分でなかったために強い反対、批判の声が上がったとして「意思決定の説明責任の重要性」を強調。公平性や主義・主張の均衡性をどう担保するかと言ったDPの実施から見えてきた手法的問題や、国主導のDPと民間主導のDPとの違いまで話は多岐にわたり、興味深い講演となりました。

 その後の質疑応答では、熟議の必要性や実施するときの留意点、「国民的関心を盛り上げていくには」など今後のさらなる活用を視野に意見が交わされました。