枝野幸男代表と福山哲郎幹事長は23日午後、韓国大使館で李洛淵(イ・ナギョン/イ・ナクヨン)首相(国務総理)と会談。会談の冒頭、枝野代表からは次のような発言がありました。

(1)即位礼正殿の儀への出席のお礼
(2)日韓関係が残念な状況だが、2国の問題だけではなく東アジア全体の平和と繁栄、世界の平和と安定のために日韓関係が悪い方向に進まないようにすることが重要
(3)元徴用工の問題について、日韓請求権協定という重たい歴史があることを踏まえ、解決策をしっかりと導いていただきたい
(4)軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の問題について、できるだけ早く良い報告での解決を期待
(5)2国間の、特に若い世代で両国に対するシンパシーは高まっていた側面があったが、残念ながらここ一連の動きの中で、文化、国民相互の交流、経済など、さまざまな分野に悪影響が出ていることを大変残念に思う
(6)両国の政治外交以外の部分で関係を悪化させることなく、相互の信頼度を高めていけるよう、われわれも努力をして参りたい。また韓国政府におかれても、そうした思いを示していただきながら政府と交渉していただきたい

 これを受けて李首相から、次のような言葉がありました。

(1)今上天皇のご即位へのお祝い
(2)日本国民の皆さまがさらに隆盛に向かい、幸せになることを祈っております
(3)台風19号の豪雨により家族や財産の被害に遭われた日本国民の皆さまに韓国国民を代表してお見舞いを申し上げます
(4)韓日関係において大きな進展をもたらしてくれた菅直人談話に感謝し、そのことを覚えています
(5)その当時、日韓議員連盟会長は渡部恒三先生で、私は韓日議連幹事長だったことを覚えています
(6)枝野代表がおっしゃった通り、韓日の間では円満ではない状況が形成されてる
(7)日本国民の大多数が日本政府が現在取っている政策に対して支持をしている反面、日韓関係・韓日関係をこのままにしてはならないと多くの人々が同意していることと承知している
(8)現在の韓日関係は1965年の条約・協定の上に立っています
(9)日本がそうであったように、韓国政府もその条約・協定を尊重し遵守してきたし、これからも尊重し遵守していく
(10)現在、立場の違いが表れているが、過去の2国間がそうだったように、現在の問題に対しても知恵を絞って対話を通じて解決していかなければならないし、そうすることが出来ると考えている
(11)枝野代表におかれましても、知恵を出し、政府間の協議に協力いただきたい
(12)いくつかの問題が同時にあり、その問題を互いに最大限の努力を通じて解決していきたい。
(13)特に、このような両国間の政治外交的の問題で若者の心に傷付くことがないようにしたい。青少年がさまざまな偏見にこだわらず、こだわりのなく相手国を見つめ合い未来を創造し関係を構築していくことができるよう、政府の立場から目に見えない方向で支援を行っていくことが必要だと考えている
(14)その過程で、枝野代表のご指導をお願い申し上げたく、また私の長い友人でもある福山さんとも努力していきたい

 その後の懇談では、将来の日韓関係をより明るくするために、自制的でないさまざまな意見・論評に流されないよう、対話を重ねていくことが必要との意見が交わされました。

 会談には韓国側から、チョ・セヨン外交部第一次官、ナム・グァンピョ駐日韓国大使、チェ・ビョンファン国務調整室第一次長、チュ・ジョンヨン総理外交補佐官、イ・サンリョル外交部アジア太平洋局審議官が同席しました。

 会談後、記者団の取材に応じた枝野代表は会談内容について報告しました。記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。

Q:徴用工問題に関して、先方から知恵を絞っていきたいとのことですが、具体的にこう協力してほしいといった要望はあったのでしょうか

 具体的な話はありませんでしたが、請求権協定を踏まえてと私から申し上げたことに対して、今のようなご発言があったということは、一つのきっかけになりうるのではないかなと期待したいと思います。

Q:GSOMIAの問題についても今、日韓で問題があると思いますが、これについては何か話題にのぼったでしょうか

 具体的な交渉そのものは2元外交的になってはいけないので、野党の立場から申し上げませんがと申し上げましたし、むしろ全体的にどうやって相互の対話を進め、信頼関係を取り戻していくのかという話をさせていただきました。

Q:今回は先方から今日呼びかけがあったのでしょうか

 最終的には、一昨日正式に先方から話がありました。

Q:マスコミクローズになってからはどういった分野を中心に話をされたのでしょうか

 日韓関係全体についてです。非常に難しい問題が横たわっているけれども、悪化をさせずに良い方向につなげていくために努力をしていきましょうという話に尽きます。われわれからも国民世論含めて、しっかりとマネージメントしながら両国関係を悪化させないよう、政治がしっかりやっていく必要があると。それについての認識を共有できたと思います。

Q:事務的な質問ですが、会談は何分くらいだったのか、それと通訳を介してだったのでしょうか

 時間は30分弱です。国務総理(李首相)は日本語がお出来になるんだと思いますが、こういう場ですので通訳を介してお話をさせていただきました。

Q:出席したのは代表幹事長のお二人でしょうか

 はい。

Q:別件で、安定的な皇位継承の議論について、一部報道で政府が年内に予定していた議論入りを先送りにすると。特例法では付帯決議で速やかに議論に入ることになっているのですが、そのあたりの受け止めを

 政府として正式に本当におっしゃったのかどうか、われわれは現時点で確認できておりません。ただ皇室典範の特例法の中にもありますし、実際に新しい陛下の即位の儀式が滞りなく進み、その中心的な式典が昨日済んだわけですので、安定的な皇位継承をほとんどの国民の皆さんが望んでいることでありますし、今の時代に政治を司る者の責任だと思っていますので、簡単に結論が出せる問題だとは思っていないだけに、1日も早く議論を始めていくことは、歴史に対する責任だと思っています。

Q:関連で、政府が有識者会議の設置ではなく、専門家から個別にヒアリングをするような形での議論の進め方をしようとしているとの話もありますが、そのあたりについて方向としてどのようにお考えか

 断片的な話よりも、全体像としてこういう形で議論を進めていきたいということをまず示していただかないと。断片的に部分部分をとって、良いとか悪いという議論ができる話ではないと思います。

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撮影に応じる枝野代表ら。枝野代表の隣から右にイ首相、ナム駐日韓国大使、チョ外交部第一次官、チェ国務調整室第一次長