社会保障制度調査会は24日、国会内で会議を開催。公益社団法人「認知症の人と家族の会」から介護保険改定についてヒアリングしました。

 政府は2021年度の介護保険制度改定において、利用者負担の引き上げと給付範囲の必要が不可欠であるとし、財政健全化に向けて徹底した歳出削減を行うよう、求めており、現場からは多くの不安、懸念の声が上がっています。

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 冒頭のあいさつで同調査会長の長妻昭衆院議員は、政府が進める介護保険制度改正に向けた議論について「経済産業省、首相官邸主導で現場の声を聞かずに決まるのではないかという懸念があり、注意深く取り組まなければいけない」と表明。前回改正で給付サービスの一部を市町村の事業へと移行した、軽度者とされる要支援1・2の人でさえも相当な方が認知症だったとして、「ましてや要介護1・2は過半数の方が認知症だ。(要介護)1から5まであるなか、『財政的に厳しいから1・2くらいであれば軽いからいいのでないか』と現場を知らずに官邸主導で進む危険性が非常に高い。しっかりと皆さんの声を聞き、国会での議論などを通じて政府に訴えていきたい」と述べました。

 また、「乱暴にいろいろな支援を削ることは短期的には財政負担が軽くなるかも知れないが、家族の負担が重くなり親の介護のために仕事を辞めざるを得ず介護離職が増えたり、十分なサービスを受けられずに重篤化するなど、かえって財政が厳しくなる可能性がある」などと指摘。「適切なボリュームを社会保障として確保することこそが最も正しい道ではないか」と力を込めました。

 家族や介護従事者らは、今回の政府の提言にあるさまざま懸念事項のなかでも特に、介護保険サービス利用者の自己負担「原則2割」を問題視。前回改正で一定以上の所得を有する者について、介護保険の利用者負担割合が従来の1割から2割・3割へと引き上げられましたが、それを「原則2割」とすることに、今も厳しい財政状況のなかサービスを受けているものが、これ以上負担が増えれば生活が成り立たなくなるとして、「現在1割負担の人がどういう暮らしをしているのかが、ほとんど考慮されていない。言語道断だ」「前回『この人たちは対象外』と言われた所得の人たちにまで2割担を求めるのか。後期高齢者の窓口負担も上がるという話も漏れ聞いているし、10月には消費税も上がった。利用者負担が増えるだけでなく、介護保険制度以外で高齢者、特に年金生活者の生活は圧迫されてくるわけであり、負担が倍になるのは納得できない。介護保険のそもそも『1割負担』を堅持してほしい」などと悲痛な叫びを上げました。

 参加者からは他にも、「制度持続のために負担が必要だと言う人は、制度が生き残ればその間に倒れていった人はどうでもいいという考えすら持っているのではないか。そうしたものは、『津久井やまゆり園』で事件(神奈川県相模原市の知的障がい者施設で被告が入所者19人を殺害し、26人に重軽傷を負わせた)を起こした犯人の思想と通じるものがあるのではないかという気がする。若者と高齢者とを『層』として考えると対立構造のようになるのかもしれないが、一人ひとりの家庭を見れば、自分の親や祖父母たちがどういう扱いを受けているかを見ながら子どもは成長していく。自分たちの親や祖父母が大事にされない社会に希望を持てるはずがないと思う。そういう意味で、制度の持続性だけでない、社会そのものが持続していくかという考え方で臨んでほしい」「介護保険制度は2000年にできたが、いつのまにか主体がどこにあるのか分からなくなった。介護家族と本人がいるなかで、その実態を皆さんどれだけご存じなのか。そこから始まるのではないか。声を聞くだけでなく、実態を知っていただきたい」といった訴えがありました。

 最後に長妻議員は、こうした現場の声を受け止め、さらに具体的な実態の把握に努めるとともに、制度の改悪阻止に向けて国会や地域での活動で訴えていく旨述べました。