立憲民主党は21日の政調審議会で社会保障制度調査会と厚生労働部会が共同で取りまとめた「政府の社会保障改革等への対応について」(下記PDF参照)を了承しました。

 社会保障制度調査会の長妻昭会長は、今回の取りまとめについて、「政府が来年の通常国会あるいは今後法律案として出すだろう、個別具体的な政策について先取りして姿勢を明確にするものだ」と説明。「格差の大きい国は経済成長できない」という党の基本的な考え方を示した上で、年金制度については、(1)高齢者在職老齢年金制度の廃止及び要件緩和は容認できない(2)私たちは所得再配分を強化し、格差縮小と安心社会の実現を目指す(3)パート労働者への適用拡大を積極的に進める(4)受給開始時期の選択的後倒し――の4点を盛り込んだとして、「今ある受給額の格差をさらに広げるような改革案は容認できない」と述べました。

 医療・介護については、政府の議論にある、後期高齢者医療保険制度の自己負担の2割への引き上げ、介護保険の自己負担の原則2割への引き上げ及び対象拡大、また要介護度1、2の介護保険給付(生活援助・通所サービス等)からの除外、ケアプラン作成費有料化等について、「医療・介護に係る安易な自己負担の引き上げ及び給付の切り下げは、患者や医療・介護現場の実情に照らして、社会不安を増大させる。従ってその後の診療抑制や介護離職などさらなる症状の重症化や事態の悪化を招くおそれ、長期的に却って医療・介護保険財政を悪化させるおそれ等がないとの確証がない限り認められない」と明記。

 公立病院の再編・統廃合等の議論については慎重な議論を求めています。

 同調査会の小川淳也事務局長は、社会保障は非常に逆進性が強く、政府が進めるような財界等が主導する議論には乗りにくいとして、「中低所得者層への対策を重視」「所得再分配の強化」する党の立場を明確にしていると主張。

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 山井和則事務総長は特に、「働く意欲を損なっている」として政府が検討を進める、働いて一定額以上の収入がある高齢者の厚生年金を減額する「在職老齢年金制度」の見直しについて、高所得者に対する年金給付を増額させ、低中所得者等に対する年金給付を減額する「金持ち優遇」だと問題視。この高所得者層は主に今まで役員報酬を受け取っていたために年金をもらえなかった中小企業の役員らであり、厚生労働省ではなく経済産業省主導の中小企業支援策との見方を示しました。機械的計算によれば、基準額51万円への引き上げにより低中所得者等全体の年金が年700億円、100年で7兆円のマイナスに、減額者2673万人(99%)に対し、増額者はわずか28万人(1%)だとして、この28万人は主に「われわれは明確に大反対だ」と述べました。

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基準額51万円に引き上げの場合、減額者99%に対し増額者は1%

 在職老齢年金制度の見直しをめぐっては、全世代型社会保障検討会議の第1回会議で、有識者メンバーである中西宏明経団連会長が「経営者から見ると(制度は働く高齢者の)意欲を減退させることはない」などと指摘し、同制度の見直しに反対とも取れる発言をしたところ、この発言の一部が議事録に掲載されなかったことが発覚。政府は19日、野党の要求に対し参院厚生労働委員会の理事会に、議事録をまとめる際に経団連と内閣官房がやりとりしたメールの写しを提出しました。これによると、経産省の官僚が経団連との文案調整に関与したことを疑わせる記述があったため、野党はさらにメールのやりとりのあいだにあった電話などでのやりとりの開示を要求。参院厚労委員会理事の石橋通宏政調会長代理は「結論に至るプロセスがきちんと示されていなければ行政チェックができない。一連の事実関係をしっかり確認し対応していきたい」と述べました。

 立憲民主党では今後、社会保障制度に関する包括的な考え方を取りまとめる予定です。

政府の社会保障改革等への対応について.pdf
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