衆院予算委員会で4日、2020(令和2)年度総予算の基本的質疑の2日目、共同会派「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」から岡田克也、黒岩宇洋、大河原雅子、階猛、田嶋要、今井雅人、本多平直、前原誠司の各議員が質問に立ち、中東への自衛隊派遣、温暖化対策、桜を見る会、選択的夫婦別姓、カジノを含むIR、エネルギー政策、東京高検検事長の定年延長、新型コロナウイルス、地方創生の取り組みと課題等について取り上げ、安倍総理ら政府の見解をただしました。

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 黒岩議員は、(1)橋本聖子オリパラ担当大臣の公職選挙法違反の疑い(2)安倍後援会主催の桜を見る会の前日に開催された前夜祭(夕食会)――についてただしました。

 橋本大臣に対する疑いは、昨年の参院選で法律の規定を超える報酬を支払っていたのではないかというもの。同様の疑いが高橋はるみ参院議員にもあり、このウグイス嬢は選挙期間中に両陣営で活動しています。

 黒岩議員は、このウグイス嬢が選挙期間17日間のうち橋本大臣陣営で9日間(全日5日、半日4日)、高橋議員陣営で14日間(全日11日、半日3日)活動していたことをそれぞれの選挙運動費用収支報告書を示し指摘。橋本大臣に説明を求めました。

 橋本大臣は、「(自身の陣営で)終日5日間、半日4日間の計9日間。他陣営の勤務状況については承知はしておりません」と答弁するにとどまりました。

 前夜祭については、安倍総理はホテル側との契約主体について安倍晋三後援会ではなく参加者個人だと主張しています。今回もキャンセルなどのリスクが発生した場合、誰が負担するのかとの質問に「概ねの出席者数は判明していることから、ホテル側の了解のもと、取消料等の取り決めは特段行わなかった」「私どもとの関係においてはホテル側の判断で取り決めを行わなかった」と答弁を繰り返しました。

 黒岩議員は、リスク負担を事前に決めておくことは商取引として当たり前であり規約にも書いてあると指摘。参加者個人にリスク負担を追わせるという理解で良いかとただしました。

 安倍総理は、そうした規約はホテルにはないとして「根拠のないことをおっしゃったということが明らかになりました」「根拠がないことをおっしゃるというのは嘘をついてるということと同じこと」と批判。規約がないのだから「答えすることはできない」との認識を示しました。これに対し黒岩議員は、ホテルの規約を提示し取消料等の取り決めは行うことになっていると指摘した上で、「根拠がない」「嘘をついている」との答弁を撤回するように求めました。

 安倍総理は、仲介はしたが契約の主体は参加者との前提の上で、「規約については私いま、その契約を、規約について確認をできませんので、今すぐお答えすることはできません」と答弁。ホテル側の規約に基づき質問したこと対して、「根拠がない」と断定したにも関わらず、規約が確認できないとして撤回の意思を明確には示しませんでした。さらに安倍総理は黒岩議員が昨年11月12日の追求チームで、前夜祭に寿司が提供されたことについて、ホテル内の高級寿司店の寿司だということが事実であれば「完全なる差額供与ですので、これも公選法違反になる」と発言したことに対し、黒岩議員がその寿司店が提供したと嘘をついているとして寿司店の名前を繰り返し発言しました。

 黒岩議員は改めて、契約主体が参加者個人であることはありえないと指摘し答弁を終えました。

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 大河原議員は選択的夫婦別制度(選択的夫婦別氏制度)について質問。2015年に閣議決定された第4次男女共同参画基本計画で選択的夫婦別姓制度導入の検討を進めることとしていると指摘。「自分の元々の名字を名乗ることのどこが納得できないのか」と検討が進まない理由を安倍総理にただすと、森まさこ法務大臣がどこで検討しているかを答弁。「前任の党の女性活躍推進本部長だったのでそちらでも検討しており、旧姓の使用を拡大するということで、拡大をしている。決してまだ完全ではないが、不便を解消するようにしていきたい」と的外れな話をしました。

 安倍総理は、2017年の内閣府が行った世論調査で旧姓の通称使用の機会を広げるべきであるという意見を含め夫婦は必ず同じ氏を称するべきであるとの意見が過半数を占めており国民の意見が別れているとして、選択的夫婦別姓制度の導入について「国民の中には夫婦の氏が異なることにより子への悪影響が生じることを懸念する方も相当数いる。選択的夫婦別姓制度の導入についてはわが国の家族のあり方に深く関わる事柄であり国民の間にさまざまな意見がある。引き続き国民各層の意見を幅広く聴くとともに、国会における議論の動向を注視しながら慎重に対応を検討して参りたい」との従来の答弁を繰り返すにとどまりました。

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 本多議員は、東京高検検事長の定年延長問題を中心に質問。森友・加計問題、『桜を見る会』問題と続いてきたこの間の安倍政権の体質として、政治の私物化、公文書の隠蔽・改ざんに加え、官邸による恣意的な国家公務員人事を挙げ、「そのことがいろいろな不正、忖度の温床になってきたのではないか。逆に不正や忖度を生んできたのではないか」と提起しました。

 政府は1月31日、2月7日定年退官する予定だった東京高検検事長の黒川弘務氏について、半年後の8月7日まで勤務を延長することを閣議決定。これにより検察トップの検事総長に就く可能性が残ったことになると言われています。国家公務員法では、職務の特殊性や特別の事情から、退職により公務に支障がある場合、1年未満なら引き続き勤務させることができると定めており、この規定を適用して、東京高検検事長の勤務を延長することにしたと説明していますが、検察庁法22条は、「検事総長は、年齢が65年に達した時に、その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する。」と定めていることから、野党は恣意的な人事だと批判しています。

 本多議員は、黒川氏が報道等で「官邸の門番」「官邸の代理人」などと評価されていること、同氏が法務省の官房長、事務次官として法務行政の中枢にいたなかで、小渕元経済産業大臣の政治資金規制法違反問題で秘書2人の起訴のみで終わったことをはじめ、甘利元経済再生担当大臣のUR(都市再生機構)への口利き疑惑で、大臣室で50万円、事務所で50万円受け取った問題、下村元文科大臣が加計学園からパーティー費用として200万円を受け取ったことをめぐる政治資金収支報告書不記載容疑、森友学園問題で佐川宣寿元国税庁長官はじめ38人など、不起訴が相次いでいることを問題視。今回異例の人事を強行したことの正当性をただしましたが、森法務大臣は同氏の評判については「承知していない」、検察の仕事については「大臣として評価は控える」と答弁を避けました。

 本多議員は、国家公務員法の逐条解説書『逐条国家公務員法』によれば、東京高検検事長は勤務延長が認められる対象者に含まれず、今回の人事は違法だと指摘。世間が東京オリンピック・パラリンピックに沸く最中の8月、黒川氏が検事総長に就くことがくれぐれもないことを願うと求めました。