衆院予算委員会で2020(令和2)年度総予算の基本的質疑3日目となる5日、共同会派「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」から大串博志、篠原豪、屋良朝博、高井崇志、小川淳也、大西健介、川内博史の各議員が質問に立ち、新型コロナウイルスへの対応や、「桜を見る会」、カジノを含む統合型リゾート(IR)事業等の課題を取り上げ、安倍総理ら政府の見解をただしました。

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 大串議員は質問の冒頭、横浜港沖に停泊しているクルーズ船で新型コロナウイルスの感染が確認されたことを受け、感染の拡大や停泊の長期化、船内の医療体制などに万全の対策をとるよう政府に求めました。

 また、昨日の衆院予算委員会で同会派の黒岩宇洋議員に対し安倍総理が「嘘つき」と発言しましたが、このことについて、昨日と同じテレビ中継が入っている審議の場で撤回と謝罪をすることを委員会理事会で協議するよう棚橋委員長に求めました。

 大串議員は、安倍後援会主催の桜を見る会の前日に開催された夕食会(前夜祭)について(1)契約主体は参加者個人だというが、誰がホテル側と契約を結んだのか(2)多少のキャンセルが出ても良いと安倍事務所とホテル側で合意したとのことだが「合意」とは(3)個々の参加者が契約したというが、この「契約」は民法上の契約か――をただしましたが、求める答弁はなされず質疑は平行線に終わりました。

 大串議員は、2011年の中国で発生した高速鉄道の衝突脱線事故で事故車両を埋められたことを引き合いに出し「当時は『現代の焚書坑儒』と言われた。似たような雰囲気すら覚える」と語り、「政治資金収支報告書に載るかどうか、説明の際に立っている。これだけ答弁されているのに民法上の契約かどうかも明らかにできない」と指摘。引き続き議論していくと語りました。

■噛み合わなかった質疑(一部)

▼誰がホテル側と【契約】をしたのか
大串議員
 誰がホテル側と契約を結んだのか。
安倍総理
 (価格設定から集金、領収書発行までの経緯を80秒ほど説明)安倍事務所に収支は一切ない
大串議員
 契約了解をしたのは安倍事務所ではないのか。
安倍総理
 契約の主体は参加者である。ホテル側が話したことを事務所側が参加者に伝えた
大串議員
 先週「多少のキャンセルが出ても良いということで契約した」と答弁したが契約ではなかったのか。では何だったのか。
安倍総理
 (ホテル側と)事務所と合意をし、仲介している以上、合意して把握していなければならない。

▼多少のキャンセルが出ても良いと安倍事務所とホテル側で【合意】したとのことだが、【合意】とは
大串議員
 合意とは。
安倍総理
 ホテル側との合意に基づき事務所職員が集金。ホテル名義の領収書を手交。集金した全額をその場でホテル側に渡した。ホテルとの契約主体は参加者個人と認識している。
大串議員
 その合意の法律的な性格は
安倍総理
 ホテル側との合意、契約主体は参加者だが。金額を参加者に伝え、ホテル側に参加者が直接支払った場合、収支報告書には載せないのは当然。合意がなければ参加者に金額を伝えることができない。

▼個々の参加者が【契約】したというが、この【契約】は民法上の【契約】か
大串議員
 民法上の契約か。
安倍総理
 契約主体は参加者。ホテルがホテルの領収書を参加者に渡した。後援会宛に渡したわけではない。
大串議員
 質問に答えてください。民法上の契約ですか。
安倍総理
 ホテル側が領収書を発行し参加者が受け取った。サービスを提供する相手は参加者であり、その対価に対して支払ったのは参加者である。
大串議員
 委員長質疑時間が限られています。これで3回目の質問です。これで答えていただかなければ質疑を続行することは到底できません。民法上の契約ですか。それだけをお答えください。
安倍総理
 民法上どうかということであれば、あらかじめ質問通告を。対価を払った側は参加者。サービスを提供した側はホテル側であること明確。
大串議員
 安倍総理自らが何度も契約していると繰り返し強調しているから、その意味を熟知した上で答弁していると思い聞いている。昨日からの流れで聞いているので質問通告しているか否かの問題ではない。

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 篠原議員は質問の冒頭、クルーズ船で新型コロナウイルスの感染が確認されたことを受け、地元の横浜で不安が広がっているとして政府に対応を求めました。そして、同じ横浜で問題となっているIR誘致について質問しました。

 篠原議員は、横浜市が行ったパブリックコメントで94%がカジノに反対する意見だったことを挙げ、横浜では経済界も含め住民を真っ二つにしていると現状を訴えました。さらに、331項目が国会審議の不要な政省令や規則に委ねられており、また当時IR担当副大臣だった秋元司衆院議員(自民党を離党)の汚職事件が起き不安がさらに増しているとして、安倍総理に現況の説明を求めました。

 安倍総理は、IR整備にあたり地域における合意形成は重要であり、IR整備を行う自治体に対して実施方針を策定する際に立地市町村等との協議や、区域整備計画を作成する際に住民の意見を反映させるために必要な措置を講じること、議会の議決を得ることなどが義務付けられているとの答弁書を読み上げ、「地域の合意形成が十分に図られることを担保」していくと答弁しました。

 篠原議員は、横浜市で2020年度に4億円のカジノ関係予算がつけられていることなどを挙げ、このままでは損するのは市民だと語り、「通り一遍のお答えしかありませんでしたが、真剣に真摯に受け止めていただきたい」「このままだと大変なことになるので、いま立ち止まるべきだ」と訴えました。

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 高井議員は、かんぽ生命保険の不正販売問題を取り上げ、不正販売問題と、この問題の行政処分案の検討状況を日本郵政グループに漏らしたとして懲戒処分を受けた総務事務次官の更迭や、不正販売問題を報じたNHKの番組をめぐり、日本郵政グループからの抗議を受けた後、NHK経営委員会が上田NHK会長を厳重注意した件について質問しました。かんぽ生命保険の不正販売問題を調査した特別調査委員会(委員長・伊藤鉄男弁護士)は昨年12月18日、2018年度までの5年間で法令や社内規定に違反した疑いのある契約が1万2836件あると発表。調査報告書は、郵便局員が自分の成績を上げるため、高齢者に言葉巧みに保険商品を売りつける悪質な営業を40年以上前から行っていた可能性があると明らかにしました。

 高井議員は今回の不正問題について、郵政民営化、分社化を決めた政治に大きな責任があるのではないかと指摘。人事に関しても、2012年12月に自民党に政権が変わり官邸主導で当時の社長をわずか5カ月で退任させるなど官邸主導の人事を続け、民間の金融機関出身者がこの会社を取り仕切ってきたことにっとってきたことに、「民営化した会社の人事を公然と政府が行うのか。いろいろなひずみを生んでいる」と批判し、「郵政民営化を全否定するつもりはないが、さまざまな障害が出てきている。より良い制度にするよう取り組んでいただきたい」と求めました。

 また、更迭された鈴木総務事務次官が情報を漏らした鈴木日本郵政上級副社長は、菅官房長官の総務大臣時の情報通信局長であることから、不正販売問題を報じたNHKの番組が放送された18年4月24日以降の同氏との面会の有無や、その内容について質問。菅官房長官は「年に数回くらい(会った)」「この件についての話はまったくなかった」と答えましたが、高井議員は「日本郵政の調査を待ちたい」述べ、引き続き委員会等でただしていく考えを示しました。

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 川内議員は、(1)新型コロナウイルス対策(2)IRカジノ問題(3)関西電力幹部金品授受・コンプライアンス問題――について質問。クルーズ船に乗っていた男性が新型コロナウイルスに感染していた問題では、厚生労働省は5日午前、横浜港に停泊中のクルーズ船内の日本人3人を含む10人の新型ウイルス感染を確認したと発表。加藤勝信厚労大臣は、クルーズ船内の人に対し、原則として14日間、船内にとどまってもらうこと、感染時に重症化する恐れがある高齢者らに対しては、症状がなくてもウルス検査を行う方針を示しました。厚労省によるとクルーズ船には日本人1281人を含む乗客2666人の計3711人が乗っており、同省が発熱などの症状のある120人と、その濃厚接触者を含め計273人の検体を採取、31人分の結果が判明し、10人から陽性反応が出たとして、今後患者は増える可能性もあるとしています。

 川内議員は、乗客全員ではなく検体採取が273人に限られていることに、法令上の問題があるのかと尋ねると、加藤大臣は「入港、上陸する前の検査、『臨戦検疫』と呼ばれる段階だが、この段階ではあればいろいろな方に対しPCR検査を実施することは決してできないことはない」と法令上は検査可能だとした上で、「PCR検査をやるためのキットには上限、限定がある。本件は3700人、しかもキットの数、処理能力を考えまず必要なところから始めていくといことで当初273人をやらせていただき、(今回のウイルスが)高齢者や基礎疾患などを持っている方で重篤な病気を発症している実態があるので、そうした可能性のある方を検査すべく、いま準備をしている」と答弁。国立感染症研究所では最大、一定の数をまとめて検査すれば1回で260の検体は可能で、地方の衛生研究所でも規模はいろいろだが1回に60が可能なところ、20が可能なところがあるが、国立感染症研究所は第4便への準備等もあること、船の中での採取といった事情も影響していることから現段階では31人の結果しか判明しておらず、残りの242人の結果が判明するまでにはあと数日かかる見込みだと説明しました。

 川内議員は、クルーズ船内は閉鎖された空間であるとして、さらなる感染拡大に懸念を示し、「検査の対象者を広げるべきではないか」「オリパラに向けてウィルス対策させなければいけない」などと政府に対し万全の対策を取るよう求めました。