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2020年2月16日

#立憲フェス2020 枝野代表スピーチ全文

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 立憲民主党は16日、都内で党大会である立憲フェス2020を開催。プログラムの最後に行われた枝野幸男代表によるスピーチの全文は以下の通りです。


■フェスの意義.参加の御礼

 会場にお集まりいただいたパートナーズの皆さん、そして中継をご覧の全国の皆さん。立憲フェスに参加いただき、ありがとうございます。
 パートナーズの皆さんにも参加いただく立憲フェスは、『ボトムアップの政治』を掲げる私たち立憲民主党にとって、大切な挑戦の一つです。政治家が一方的に呼びかけるのではなく、パートナーズの皆さんと一緒になって、あるべき社会と政治について対話し、ともに前へと進んでいきたい。そんな思いで、今回もこのフェスを開催させていただきました。
 フェス開催にあたっては、多くの皆さんにご協力いただきました。働き方やジェンダーの問題などについて声を上げている皆さん、環境問題や気候変動等について活動されている皆さん、障がいをお持ちの皆さん。さまざまな皆さんに、20ものブースを出していただきました。中でも、今回初めて、パートナーズ有志の皆さんなどによる自主運営ブースを出展いただきました。こうした動きを、たいへんうれしく感じています。皆さんのご参加に、心から御礼申し上げます。
 会場を回って感じたのは、この会場に集まっていただいた課題や挑戦は、小さいながらもそのまま今の日本の縮図ではないかということです。当事者の皆さん、専門家の皆さんなどの、一つひとつの活動が、こうして一カ所に集まることで、新しい時代の社会と政治のイメージを力強く示していると感じました。それぞれの活動の背景にある問題意識を、私も、正面から受け止めてまいります。

■つながることの意義

 私たちに届けられる声は、より率直に切実さを訴えるものも少なくありません。昨年立憲民主党で実施したアンケートの中から、いくつかの声をご紹介したいと思います。

20代男性。「真面目に働いているのに、割に合わない給料で時間の叩き売りをしている。正規雇用、割に合う賃金、安定的なキャリアアップが可能な社会を実現して欲しい」。

30代女性。「生活が楽ではないと感じていても、貧困について知ると、家も食べ物もあり趣味も持てる自分は恵まれているのではないかとも感じる。一方で、結婚や出産は考えられないし、将来働けない歳になった時に、それ以上生きていける可能性も考えられない。子育てする人たちや、お年寄りを支えなければならないと思っているが、こういう『建前』の発言を支える気力がなくなった時、自分も心ない自己責任論に落ちていくのだろうな、と感じています」。

40代女性。「私たちロスジェネ世代は、生涯救済策がなく見捨てられたままなのだろうなという諦めがあります。会社に入って上から学び下に教えるという繋がりも、同期として同年代と愚痴りあう繋がりも、大学時代の友人としての繋がりも、全ての繋がりを絶たれるのが格差です」。

60代男性。「残り少ない財産を上手に使い、独り身でも何とか終の棲家を確保したいですが、今のままではケアハウスや高齢者用住宅など高嶺の花です」。

 こうした意見に接して思うのは、現在の日本に広がる「分断と孤立」。そこからくる閉塞感です。それぞれの個人は可能性を秘めているのに、孤立して力を発揮できないことから、社会全体に閉塞感が蔓延しています。そして、政治が自己責任を煽り、格差を拡大することで、その分断をさらに加速させています。
 こうした状況を変える鍵は、このフェスに象徴される『つながる』ための取り組みです。当事者や現場の声をつなぐことで可能性が生まれ、その可能性を政治が現実を動かす力へと変えていく。その繋がりの連鎖こそが、分断と孤立を超えていく、唯一の道だと思います。

■日本社会の現状

 私は、「分断と孤立」を乗り越えて閉塞感を打ち破ることができれば、日本の未来は明るいと確信しています。
 日本社会は、人口減少社会、成熟経済へと180度変化しました。にもかかわらず、昭和の成功体験にとらわれ、無理やり引っ張り続けてきた多くのことが、限界に達し、矛盾を露呈しているのが現状です。
 私が目指すのは、安倍政権を倒すことだけではありません。昭和の成功体験という呪縛を解き放ち、物質的な拡大を目指す一極集中型社会から脱却して、人口減少社会、成熟経済にふさわしい新しい社会の理念を高く掲げながら、それを着実に実現していくことのできる政権を樹立することです。
 私は、衆議院本会議における代表質問の機会に、こうした新しい社会のビジョンとして、三つの理念を示しました。

■支え合う安心

 第一に、「支え合う安心」を作ります。
 超高齢社会は、本来、人類が長年夢見てきた長寿社会であり、そのこと自体は望ましいことのはずです。老後の不安を小さくすることができれば、高齢社会は明るい社会です。
 働いても賃金が上がらないために、家庭を持ちたいとか、子どもを産み育てたいとか、そうした将来への展望を考えることすらできない若者がたくさんいます。子供を産み育てたいと希望する方が、その希望をかなえることが可能な社会を作れば、人口減少に一定程度歯止めをかけることができます。借金をせずに教育を受けることのできる社会、希望すれば正社員としてまっとうな所得を得られる社会をつくれば、若い世代を中心にさまざまな明るい未来を展望できます。
 老後も、子育てや教育も、かつては個人や家庭、地域社会の助け合いに委ねられ、押しつけられていました。しかし、私たちの国は、近代化によって戦後復興から高度成長を実現する一方で、都市化や核家族化が進み、老後も子育ても、自分や家族の力だけでは、地域の自主的なつながりだけではどうにもならない社会になっています。日本国憲法がうたう『個人の尊厳』に鑑みれば、これらを家族、特に女性のみに押し付けることは許されませんし、不可能です。それなのに、時代おくれの社会像に縛られ自己責任を強調する社会では不安と閉塞感が広がるばかり。
 今こそ、自己責任論から脱却しましょう。社会全体で「支え合う安心」の仕組みを構築することを最優先に掲げましょう。私は、老後や子育て、あるいは雇用問題など、困ったときに社会全体で「支え合う」仕組みを構築し強化することで「安心」して暮らせる日本を作り出します。

■豊かさの分かち合い

 第二に、「豊かさの分かち合い」によって経済を活性化します。
 昭和後半の日本は、規格大量生産による輸出の拡大に引っ張られて経済成長してきました。いわば「成長するから分配できる」時代でした。輸出企業を念頭に、「成長」を後押ししてきたことは、あの時代には一定の合理性がありました。
 しかし、バブル崩壊後に経済が低迷し続けている主たる原因は、輸出ではありません。新興国の追い上げなどによって国際競争力は低下をしてきましたが、今なお一定の力を持っています。ですから、輸出の成長率は、日本経済全体の成長率を大きく上回り、国際収支も黒字基調が続いてきました。日本は、国全体として貧しくなったわけではありません。
 経済の最大の問題は、国内でお金が回らない構造になってしまったことです。大企業が成長して大きな利益を上げても、賃金や下請けなどに分配される部分、国内投資に回る部分が限られ、内部留保が積み重なるばかり。適正な分配がなされないために多くの国民の可処分所得が伸びず、経済の過半を占める内需が成長しないことで、全体としての経済成長の足を引っ張っています。日本が先進国となって経済が成熟化し、人口増から人口減へと大きく前提条件が変わった以上、半世紀前の考え方が今も通用するはずないのです。この実態から目を背けても経済の安定的発展はありません。
 「分配なくして成長なし」。
 私は、社会の変化を踏まえて経済政策の根本を転換し、「豊かさの分かち合い」を進めることで、一人ひとりが豊かさを実感できる社会と、内需が着実に成長する経済を実現します。

■責任ある充実した政府

 第三に、「責任ある充実した政府」を取り戻します。
 「支え合う安心」も、適正公平に「豊かさを分かち合う」ことも、民間だけでは、市場原理だけでは、実現できません。
 昭和の終わりころから、「民間でできることは民間で」「小さな政府」などという言葉が、絶対的な正義として語られました。しかし、いつの間にか、「民間でできないことまで民間へ」。背負うべき役割まで放棄した「小さすぎて無責任な政府」になっています。
 民営化の先で生じた、かんぽ生命の問題。大学入学共通テストの民間丸投げ。公営に限定されてきたギャンブルを民間開放しようとしたカジノ。介護サービスの不足や待機児童の問題も、民間だけでは対応できない広い意味での政府の問題です。
 強く危機感を持ったのは、相次いだ自然災害の被災地を視察したときです。地方自治体は、定員削減に加えて職員の非正規非常勤化を余儀なくされ、緊急時の対応をする職員が圧倒的に足りなくなっているのです。新型コロナウイルスへの対応が後手に回っているのも、国、地方を通じて感染症に対応する体制が脆弱であることが、大きな要因の一つです。
 今こそ、「小さな政府」幻想から脱却しましょう。「責任ある充実した政府」を、そして「民間でできないことはしっかりと官が責任を持つ」「まっとうな政治」を取り戻します。もちろん、その前提として、立憲主義と法治主義を回復させ、適正な公文書管理と情報公開進めることで、政府への信頼を取り戻していきます。

■ボトムアップの政治

 この三つの理念を実現するには、政治そのものの在り方を、本質的に変えていかなければなりません。
 安倍政権の問題点は枚挙にいとまがありませんが、その中心にあるのは、国民の声を聞かない姿勢です。聞かれたことにまともに答えない。国会から逃げ回り、保身のために公文書を破棄する。子どもでも嘘だとわかることを平気で言い、その尻拭いを官僚に押し付ける。現在の政治の中心には、「権力を持っているのだから言うことを聞け」という『トップダウンの政治』で、都合の悪いことには蓋をするという政権の不誠実な態度があります。
 社会がますます複雑多様化する中で、これからのあるべき政治家像は、国民の皆さん一人ひとりと繋がっている存在です。もちろん、すべての国民の声を直接聞くことはできません。一人ひとりのご意見は千差万別ですから、すべての声に応えることもできません。それでも、「自分に聞こえていない声があるかもしれない。だから常に国民生活の現場に目を向けよう」と、そうした謙虚で誠実な姿勢を持つことが大切なのだと確信します。
 まだまだ不十分ではありますが、立憲民主党は、この立憲フェスや、各地でのパートナーズ集会や立憲カフェ、ネットでの #立憲ボイス などを通じて、参加型民主主義の実践を積み重ねていく決意です。

■野党の強い繋がり

 昨年の臨時国会で象徴的な出来事がありました。現場の声をまったく聞かず、手前勝手な都合で進められていた英語入試の民間試験の導入が、当事者である高校生の皆さんが声をあげることで止まったのです。文部科学省や官邸の前などで声をあげていた高校生たちに私たちが呼応して、院内集会などを重ねる中で世論を動かし、安倍政権を導入延期に追い込むことができました。まさに、当事者の声と、私たちがつながることで、具体的に政治を動かすことができたのです。
 英語入試に関する機敏な動きを可能にしたのは、間違いなく、昨年10月の臨時国会から新しく始まった共同会派の運営です。今の政治を変えよういう幅広い野党の連携によって、英語入試だけでなく、政権の問題点を広く国民の皆さんに訴えることができつつあります。野党が強く連携すれば、着実に政治を変えていける、そう確信します。でたらめな答弁で開き直る政権の姿勢をみれば、「政治なんてもう期待できない」と思う人が多くなるのも当たり前です。しかし、強く繋がった野党の連携で問題点を炙りだし、世論とつながっていけば、この政権を追い詰めていくことができます。
 私たちは、「すべての取り組みを政権交代のための準備へとつなげる」ことを、活動方針の柱として掲げました。政権交代に向かう一つの柱は、こうした国会内外での連携と共闘です。この連携は、今開かれている通常国会でも、引き続き大きな力を発揮しています。
 もろく大きな塊ではなく、それぞれの持ち味を生かしながら、強力に連携して「しなやか」につながっていく。それが私の目指す政権の姿です。そこに向けて、連携する各党が、声をあげる当事者や、まだ声をあげられていないさまざまな皆さんと繋がることで、国民生活からかけ離れた国会を正常化していきます。立憲民主党は、最大野党の責任として、幅広い政治勢力による、より強固なつながりをつくるため、先頭に立ってまいります。
 同時に、立憲民主党自身としては、理念政策をぶれることなく貫き、その旗をより一層高く掲げていきます。私たちの理念政策に共感し、その旗のもとで闘っていただける皆さんには、広く門戸を開いて、最大野党としての役割を発揮できる体制を強化してまいります。

■思いと教訓

 政権への道は決して容易なものではありません。これまで以上に険しいものになるでしょう。私にとっても大きな挑戦です。
 この厳しい挑戦の原点として、私が肝に銘じていることが二つあります。
 一つは、当選一回のときに直面した薬害エイズ問題です。
 長年にわたって「ない」と断言されていた、いわゆる「郡司ファイル」の公開を、当時は大学生だった川田龍平参議院議員を始めとする当事者、被害者の皆さんと連携して求め続けました。その結果、厚生省の地下に眠っていたファイルを探し出し、被害救済と再発防止への動きを飛躍的に前進させることができました。
 情報公開の重要性を強く認識し、当事者の皆さんとつながりながら諦めずに努力すれば結果につながることを経験しました。私の政治家としてのこの原体験は、あの時以上に公文書の隠蔽や改ざんで政治が歪められている今こそ生かさなければなりません。
 もう一つは、官房長官として、そして経済産業大臣として、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故への対応にあたった経験です。
 原発事故では、福島の人々が故郷を奪われただけにとどまらず、家族や友人同士ですら、立場の違いによって分断させられました。被災地では今なお、多くの皆さんが、終わりの見えない復興の途上で困難に直面しながら生活しています。
 被災者の皆さんに寄り添い続けること、そして、同じような分断や困難を、あるいは故郷を失うというような思いを、二度と繰り返してはならないということ。私はあのとき強く決意しました。あれから9年、このことは、私にとって政治家としての生涯をかけて取り組まなければならない責任だと思っています。
 2009年からの非自民政権では、震災対応を含め、至らない点、ご期待に応えられなかった点が少なからずありました。しかし、その経験と教訓があるからこそ、そしてそれを活かすからこそ、皆さんとともに、この大きな転換点の向こうに、明るい日本を切り拓くことができると確信しています。

■終わりに

 今年は、全国でさまざまな皆さんとの対話を行うキャンペーンを実施します。全国津々浦々の地域に伺い、さまざまな当事者、生活者、それぞれの現場の声をぶつけてもらいます。今日、この立憲フェスで行なった60分対話のような試みを、パートナーズの皆さんのお力もお借りしながら、各地で実現したいと考えています。私たち一人ひとりが、自分の言葉で、あるべき社会や政治について語り、その対話の先に強いつながりをつくることができるならば、必ず道は拓ける、そう信じているからです。
 今年は総選挙があるとも言われています。これまで以上に、国会での連携、選挙区での連携、そして政権構想での連携を強力に前進させます。野党をまとめ上げていくこうした努力はすべて、誰もが未来への展望を抱ける日本へと、皆さんとともに切り開いていくためのものです。
 ここに改めて、「すべての取り組みを政権交代のための準備へとつなげる」決意を。そして、「支え合う安心」を、「豊かさの分かち合い」を、そのための「責任ある充実した政府」を。こうした政権を必ずや担っていくことの決意を、会場の皆さん、中継をご覧の皆さん、すべての国民有権者の皆さんにお誓い申し上げます。
 立ち止まったり、後ろを振り返ったりするのでなく、ぜひ、私と一緒に、未来に向けて「右でも左でもなく前へ」一歩を踏み出しましょう。あなたが動けば、政治は必ず変わります。現在の政権を終わらせ、新たな政権をつくることができます。私たちは、あなたの声を受け止め、あなたとともに前へと進む政党です。ぜひ、それぞれの地域で、それぞれの現場で、この大きなうねりを共に広めてください。
 私には、あなたの力が必要です。

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