2017年12月7日
立憲民主党

◎ 基本姿勢

「国家権力の正当性の根拠は憲法にあり、あらゆる国家権力は憲法によって制約、拘束される。」という立憲主義を守り回復させる。憲法に関する議論は、立憲主義をより深化・徹底する観点から進める。

日本国憲法を一切改定しないという立場は採らない。立憲主義に基づき権力を制約し、国民の権利の拡大に寄与するとの観点から、憲法に限らず、関連法も含め、国民にとって真に必要な改定があるならば、積極的に議論、検討する。

いわゆる護憲と改憲の二元論とは異なる、「立憲的憲法論議」を基本スタンスとする。

○ いわゆる安全保障法制について

日本国憲法9条は、平和主義の理念に基づき、個別的自衛権の行使を容認する一方、日本が攻撃されていない場合の集団的自衛権行使は認めていない。この解釈は、自衛権行使の限界が明確で、内容的にも適切なものである。また、この解釈は、政府みずからが幾多の国会答弁などを通じて積み重ね、規範性を持つまでに定着したものである。

集団的自衛権の一部の行使を容認した閣議決定及び安全保障法制は、憲法違反であり、憲法によって制約される当事者である内閣が、みずから積み重ねてきた解釈を論理的整合性なく変更するものであり、立憲主義に反する。

○ いわゆる自衛隊加憲論について

現行の憲法9条を残し、自衛隊を明記する規定を追加することには、以下の理由により反対する。

1 「後法は前法に優越する」という法解釈の基本原則により、9条1項2項の規定が空文化する注1。この場合、自衛隊の権限は法律に委ねられ、憲法上は、いわゆるフルスペックの集団的自衛権行使が可能となりかねない。これでは、専守防衛を旨とした平和主義という日本国憲法の基本原理が覆る。

2 現在の安全保障法制を前提に自衛隊を明記すれば、少なくとも集団的自衛権の一部行使容認を追認することになる。集団的自衛権の行使要件注2は、広範かつ曖昧であり、専守防衛を旨とした平和主義という日本国憲法の基本原理に反する。

3 権力が立憲主義に反しても、事後的に追認することで正当化される前例となり、権力を拘束するという立憲主義そのものが空洞化する。

注1 従前の解釈を維持しようとするならば、明確かつ詳細にそれを明記する必要がある。これは相当大部かつ厳格な規定が必要となる。また、その際には、集団的自衛権一部行使容認という立憲主義違反について、容認する規定とするのか、否定する規定とするのか、明確にされなければならない。

注2 我が国に対する武力攻撃が発生していないにもかかわらず、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」という要件

○臨時会召集要求について

憲法53条後段には、衆議院か参議院のいずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならないとされているが、期限が切られていない。

第194国会は、3ケ月も前に野党が要求していたにもかかわらず放置され、要求テーマに関する審議はまったく行われず、臨時会冒頭での解散が行われた。このような臨時会の召集の仕方は憲法53条後段に基づくものではなく、同条前段の内閣の発意に基づくものとみるべきで注3、少数会派の要求を無視した違憲状態の下で解散が行われたと言える注4

衆議院総選挙後の特別会は選挙の日から30日以内に召集しなければならないことが憲法54条に規定されており、このバランスからも、臨時会についても期限を記述すべきかどうかについての議論を進める。

注3 政府は要求書送付の日から召集日の前日までの期間は98日間としているが、53条後段の趣旨からすると、要求に応じた審議ができるようになったのは特別会であり、要求書送付日から特別会の召集日(平29.11.1)前日までの期間は実に132日間。

注4 臨時会の召集要求書提出後、臨時会の冒頭で解散が行われたのは、第105国会(昭和61年、第2次中曽根康弘内閣)、第137国会(平成8年、第1次橋本龍太郎内閣)についで3回目。

○衆議院の解散について

衆議院の解散については、内閣不信任案の可決あるいは信任案の否決の場

合についての規定が69条にあるのみで、実質的な解散権が内閣にあることすら明文で規定されていない。このことから、第2回の解散以来、天皇の国事行為に関する7条を理由に解散が行われている。

解散は、選挙で選ばれている衆議院議員を任期満了前にその任期を終わらせるものである以上、相応の理由が必要なはずで、大義なき解散は許されることではない。しかし実際には、政権は自身に都合のよい時期に自由に解散権を行使できてしまっている。

そもそも議会の解散制度は、君主側が民選議会に対する抑制手段として行使してきたという歴史があり、民主政治の発達とともに解散権の行使は抑制されるようになってきている 注5。内閣が恣意的に総選挙のタイミングを選べるような運用は是正されるべきであり、この点についての憲法論議を進める。

注5 イギリスでも、2011年議会任期固定法が成立し、下院の解散を行うことには縛りがかかった。

○知る権利などについて

基本的人権の中でも、表現の自由は特に重要な人権であるとされている。

たとえば、権力の行使に行き過ぎがあったとしても、表現の自由が確保されていればそれを是正することができるからである。すなわち、表現の自由は、説得と投票箱の過程、民主主義のプロセスを担保する重要な人権ということができる。

しかし、表現の自由が民主主義のプロセスにとって有効に機能するためには、その前提として十分かつ正確な情報に接していることが必要である。不十分な情報や誤った情報に基づいて議論を重ねても、正しい結論を得ることはできない。

南スーダンPKOの防衛省の日報のように、破棄してしまって存在が確認できないとか、森友学園や加計学園の問題のように、政権に不都合な情報は知らぬ、存ぜぬを重ねるだけでなく、怪文書扱いするような振る舞いは、議会による行政統制にとって妨害行為に等しい。

公文書管理や情報公開の在り方は、民主主義の前提となる「知る権利」を担保するものである。知る権利をはじめとする新しい人権について、議論を深める。

○国民投票について

憲法改正は国会のみでなしうることではなく、主権者国民による投票が必要である。その手続を定める国民投票法のあり方について、さらに議論を深める。附則の規定に従い、一般的国民投票制度について、その意義及び必要性についての検討を行う。

なお、最低投票率を国民投票法に導入すべきという意見も根強いが、法制定時に検討の結果見送られたものである。この点について、法律事項なのか、憲法問題なのか注6、その必要性の有無も含めて検討を行う。

注6 法律で憲法を書き換えることができないのと同様に、国民投票によって憲法となるべきとされた規範を法律で無効とすることはできないとも考えられるからである。ただし、憲法96条を改めて憲法上の規範とすることは否定されていないと考えられる。

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