パリテ・ナウ

男女平等から、ジェンダー平等へ。女性議員を増やすために、地域と党の動きがひとつに。「パリテ・ナウ in 久留米」レポート

2019年3月31日

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パリテ。まだ聞き慣れない言葉だが、「同等、同一」を意味するフランス語だ。フランスでは2000年に、男女の政治参加の平等を実現するために通称「パリテ法」を制定。選挙の際に政党の候補者を男女同数にすること、比例候補者名簿の記載順を男女交互とすることなどが義務付けられている。日本でも昨年5月、「政治分野における男女共同参画推進法」が制定されたが、罰則がない理念法にとどまっている。

そんな中、立憲民主党は女性の政治参加を促すべく、『パリテ・ナウ』というイベントを各地で開催。今回は、2019年2月16日に福岡県の久留米で行われた『パリテ・ナウ in 久留米 女性議員を増やすために』の模様をレポートする。

男女平等を推進してきた久留米の女性たち、そして男性も!

まず、会場を訪れて気づいたのは、男性の姿がちらほら見られることだ。実は久留米には、男女平等を推進する活動が展開されてきた歴史がある。1985年の女性差別撤廃条約批准に向けて始まった動きはやがて、さらなる男女平等法を求める運動に。1999年の男女共同参画社会基本法施行後は『久留米女性会議』が設立され、男女平等推進条例の制定に向けての活動や、女性センターの名称を『男女平等推進センター』にするなど活発な動きがあった。

そして近年ではDVや性暴力被害女性のシェルター活動などにも力を入れている。今回のイベントにも、数十年にわたるこうした活動に関わってきたメンバーが、男女ともに何人か参加していた。

そんな久留米でのパリテ・ナウは、立憲民主党福岡県連合幹事長である藤田一枝の挨拶からスタートした。

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立憲民主党は草の根政治、ボトムアップの政治を目指していますが、その一環として、女性議員を増やすための取り組みを行っています。

今日は久留米から政治に挑戦する新井富美子さんにも出席していただいています。女性の政治参加を進めていくということは今とても大事な課題になってきています。

今日は皆さまと一緒に、どうやったら女性の政治参加を進めることができるのか、考えていきたいと思っています。

続いて山内康一衆院議員、野田国義参院議員からも声が寄せられた。

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「地方議会の議員も男女半々まで持っていきたい」と山内

多様性は立憲民主党の政策綱領の一つになっています。国際的なジェンダー・ギャップ指数で日本はいつも先進国のうち下の方ですが、最大の原因は国会議員に女性議員が少ないことです。国会はもちろん、地方議会でもなんとか男女半々まで持っていきたい。そんな思いで結党以来、頑張っています。

多くの先進国ではダイバーシティが進んでいて、大学進学率は女性の方が高い国もあります。

多様な価値観を生かす社会を実現するには、政治からも動きをつくっていくことが大事です。そのために、今日のようなイベントを全国に広め、女性政治家の数を増やすために何ができるかを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

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「政治に挑戦する女性を周囲がどう支えるかが大事」と野田

私の人生を振り返ってみますと、26年前に八女市長になったときは、女性課長すら1人もいない状況でした。そこでその年にやっと女性課長の第1号となる方が出てきまして、そこから増やしていきたいと思ったんですけど、なかなか手を挙げてくれる方が少なかった。やっぱりお子さんの送り迎えをしなくちゃいけないとか、塾に連れてかないといけないとか、いろいろと子育ての分野で苦労があったんですね。

選挙というものは、精神的にも体力的にも本当に大変です。女性が政治に挑戦するとなると、男性とはまた違った重圧があります。政治活動する女性を、周りがどうやって支えていくか。そこが非常に重要になってきます。今日の集会が、女性議員を増やす活動が広がる機会となるようお祈り申し上げます。

女性の政治進出を阻むものは…

今日のイベントへの期待が高まったところで、いよいよプログラム第1部のトーク・セッションに。

2015年に「社会のあらゆる分野で指導的地位に女性が占める割合を2020年末までに少なくとも30%にする」という目標が閣議決定されたものの、その期限が迫る2019年の今、あらゆる分野の意思決定の場に女性がいると言えるだろうか。残念ながら、まだまだ。そんな今、立憲民主党ではどんな取り組みを行っているのか。立憲民主党のジェンダー平等推進本部長で参議院議員の神本美恵子が語った。

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「男性中心の従来の選挙スタイルだと、女性候補者が困ってしまう」と神本

ジェンダー平等について、以前は『男女平等』とか『男女共同参画』として進められていました。男女共同参画社会基本法という法律ができたのが1999年。それから20年経っていますが、どうですか。意思決定の場に女性、いますか。

たとえば30人くらいの委員会とかで、いるとしても1人とか2人とか、そんなことばかりじゃないですか。それでは、女性の意見は意思決定にそれほど影響を与えられないですよね。

そういうこともあって、立憲民主党は男女共同参画ではなくて、男女平等のその先、ジェンダー平等をめざしています。ジェンダー平等というのは簡単に言うと、生まれた性によって決められることを取っ払ってしまおうという考え方です。

具体的に何をやっているのかと言うと、まず、候補者擁立の段階からジェンダー平等を意識しています。男女同数、つまりパリテでチームをつくっているパリテ・ナウ事務局というのもあって、候補者を発掘して擁立することをしています。

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意思決定の場でこそ存在感は少なくても、現場で頑張っている方のなかにはもちろん女性も多くいます。女性が頑張って活動している団体の人たちと意見交換をしたりしています。ここにおいでの皆さんで、やってみようかという方はぜひ声をおかけくださいね。

女性を当選させることは、女性だけではできません。ここに来てくださっている男性の皆さんのように、女性がもっと政治に参加しないといけないと思ってくださっている男性も力になっていただきたいです。

女性候補者には、女性ならではの厳しさがあります。小さなお子さまがいる候補者は『子どもをほったからかして何をしているんだ』と中傷されたり、有権者の男性から喫茶店に呼び出される時に『俺に付き合わないと票を入れないぞ』というようなハラスメントを受けたり…。男性中心の従来の選挙スタイルでは、女性候補者が同じように選挙をするのは大変厳しい。そういったこともフラットに話し合って、解決に向けてみんなで取り組んでいきたいです。

続いて新井富美子が、政治活動への意気込みと、立ちはだかる壁について語った。

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「男女の議員が半々なのが当たり前の時代が来ると信じて頑張っている」と新井

今、問題になっている子どもの貧困や格差の問題を解決するには、やっぱり大人、特に女性の働く環境が良くならないといけないと思うんです。女性たちは困っています。でもその声は、議会に届いているでしょうか。女性の声をもっと届けたい。そんな思いで選挙に望んでいます。

男性、女性が政治の場に半々いること、多様性は、民主主義を成熟させる上で必要だと思います。今、日本で男女ともに選挙権があるのが当たり前になっているように、男女の議員が半々なのが当たり前、そんな時代がくると信じて頑張っています。

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選挙というと昔から、「ジバン、カンバン、カバン」が左右すると言われていますよね。地元の権力者とかお金がある人に頼らないと難しいと。そうなると、社会で経済活動をしている男性と比べて、新人の女性政治家はとても厳しいわけです。家庭でも、育児や介護は女性が担うことが多いので大変です。

ハラスメントもあります。接待を求められることや、暴力にさらされることもあります。もっとキレイじゃないととか、肌を出すような服装にしてはとか言われたりと、一体どんな目で女性を見ているんだろうなあと思わされるような経験をさせられます。本当に、覚悟を持って活動しないといけないというのが正直なところです。

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トーク・セッションでは、女性政治家に関する国内の動きについても意見を交わした。

女性ならではの悩みを抱えながら政治の場で声を上げようとする女性たちを応援する取り組みとして、福岡・女性議員を増やす会の主催で『女性のための政治スクール』という学びの場が福岡にはある、と藤田は紹介した。

今年は立て続けに選挙があるということもあり、『女性のための政治スクール』は自らのストーリーを絡めたアピールの仕方や、SNSの活用といった実践的なプログラムです。

2月時点の受講生は17名で、そのうち10名が実際に政治活動を始めることになりました。立憲民主党では、女性の候補者を公募し、政治活動準備から当選までサポートする取り組みをしています。

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海外の事例をヒントとすべく、米国や台湾の事情についても話し合った。

昨年アメリカであった中間選挙ではトランプ大統領に対する反発もあり、女性議員が大幅に増えました。さらに世界中で、DVやレイプの被害者女性たちが立ち上がり、声を上げる#metooムーブメントも巻き起こっています。

そうしたうねりを日本でもつくっていけるよう、立憲民主党はさまざまな当事者性を持つ女性たちが政治の場に出ていけるサポートを模索しています。

1999年に女性候補者を25%とするクオーター制を導入した台湾では、NPOや市民団体で活動している女性たちが立候補者となるケースが多いんです。社会課題の当事者としての感覚を持っている女性が、仲間をつくって活動し、その延長として政治の場に出る、というスタイルです。そうした海外の成功例も女性議員を増やしていくためのヒントになるでしょう。

女性のために。民主主義のために。もっと、できること。

トーク・セッションの後は、来場者同士が語り合うグループ・ディスカッション。ディスカッションといっても堅くはなく、会話を楽しむようなムードで来場者が盛り上がっていたのが印象的だ。各テーブルからは、女性議員を増やすためにさまざまな提案が出された。

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これからは女性がもっと地域を担う力を発揮していかないといけない。そのためには、女性自身の意識改革を進めていく必要がある。お茶汲みなんかでも、『運動になるから』とか言いながら自分でやってしまう女性がいるけれども、慣習にとらわれず行動するよう意識を切り替えていくようにしたい。

選挙事務所が常に開いていて、有権者を受け入れる体制になっていれば。大学生などの若い世代の人たちが気軽に選挙に協力し、アイデアを出せるような仕組みを考えてはどうだろうか。

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今の社会が暮らしづらいと思っている女性は多いが、政治が非日常のものだと思われている。日々の生活の課題が政治を通して解決されるということを、生活者の目線で伝えていくことが必要なのではないか。

議会に女性が極端に少ないという事実をきちんと知らせる。政党批判は共感を得られないので、女性議員を増やすことは民主主義のためになることを伝える。男性の側から男性に、女性議員を増やす動きをつくる。

すぐにでも取り入れられそうなアイデアから、長期的なアプローチに関する指摘など幅広い意見が寄せられ、女性議員を増やすためにはまだまだできることがたくさんあることが感じられるディスカッションとなったのではないだろうか。

最後に、来場者に感想や、イベントに参加して思ったことを聞いた。

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女性議員が増えて欲しいと思いますが、その女性がどんな女性なのかが大事だと思います。女性の悩みや立場を理解してくれる女性に、政治の場に出て行ってほしいですし、そういう人を応援したいです。

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少し前までは政治には全く関心がなかったんですけど、家族や周りの人たちが抱える課題を考えたときに、これは政治の問題なんじゃないかと思うようになってから関心が高まりました。

1人ひとりの問題だと思っていることも、実は社会の問題で、政治が解決するべき問題なんですよね。今日、いろいろな人と話をさせていただいて、それぞれの方の課題を聞いて、改めてそう思いました。新井さんのような女性を議会に送り出していきたいです。

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イベントには、女性の政治参加を後押しするフリーペーパー『パリテ・ウェーブ・フロム福岡』を発行した、山川みゆきさんも訪れていた。山川さんは、福岡・女性議員を増やす会が主催する『女性のための政治スクール』のスクール生。『パリテ・ウェーブ・フロム福岡』は、山川さんを中心に、元新聞記者、非正規雇用者、子育て世代の母親、海外出身者といった多様なメンバーで企画・制作された。

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クラウドファンディングで集まった費用で印刷された創刊号の1500部は発行から2週間で在庫が尽きるほどの反響が。パリテの波を福岡から広げていこうという意気込みで発行された『パリテ・ウェーブ・フロム福岡』の、これからの展開に期待したい。

山川さんにも、今回のイベントの感想を聞いた。

普段の生活では自分だけかもと思っているようなことも多いですが、今日みなさんとお話しして、同じような問題意識を持っている人がいるんだということがわかりました。多くの人の意識が変わればと思います。

草の根で活発に行われてきた地元の取り組みと、全国レベルの党のアクションが重なり合うことで生まれる新しい流れを実感できた、そんな『パリテ・ナウ in 久留米』。この熱が、全国に波及していくことを願ってやまない。