読むりっけん

2020年6月7日

「給付も融資も、使えなければ意味がない」。瀬戸際に立つ中小事業者、今こそ政治の正念場

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中小企業の経営が、瀬戸際に立たされている。帝国データバンクが5月下旬、新型コロナウイルス感染拡大の企業業績への影響を約1万2,000社に尋ねた調査では、「すでにマイナスの影響」が63%、「今後マイナスの影響」が23%にのぼった。日本の総従業員数の約7割を占める中小企業がこれ以上苦しくなっては、失業者増への懸念も高まる。

政府は5月27日、2020年度第2次補正予算案を閣議決定。1次補正と合わせると約200兆円の事業規模になることを、安倍総理は「空前絶後」と誇る。だがこの間、緊急経済対策として5月1日から始まった持続化給付金(※)が、迅速に現場へ届いていないことが明らかになっている。コロナ対策低利融資の「申請から面談まで1カ月かかった。融資可否の連絡はまだない」といった、先が全く見えない不安の声も、現場から聞こえてくる。

いま政治が取り組むべきは、その予算額を喧伝することはなく、支援を確実に現場に届けるための体制づくり。しかし、その具体策は今回の第2次補正予算案からは見えてこない。

後手に回っている中小事業者への支援を、どうしたら改善していけるのか。5月29日、立憲民主党の枝野幸男代表と弁護士の松尾明弘・衆院東京2区総支部長、飲食店・シェアハウス経営の鈴木庸介・衆院東京10区総支部長が、食品卸売業の経営者2人から中小事業者の現状をオンラインで聞いた。

※持続化給付金:売上高が前年同月比50%以上減った事業者に対し、法人は最大200万円、個人事業主は最大100万円を給付する制度。4月末に成立した第1次補正予算に盛り込まれた。

繧ケ繧ッ繝ェ繝シ繝ウ繧キ繝ァ繝・ヨ 2020-05-29 19.54.52 1.png上段左が東京10区総支部長の鈴木、右が東京2区総支部長の松尾、中段左が篠原さん、右が路川さん、下段が枝野代表

「申請から面談までに1カ月。融資の可否連絡は、まだない」。中小事業者が求めるのは、着金までのスピード

日本政策金融公庫による低利融資や実質無利子での融資、持続化給付金、雇用調整助成金──。資金繰りで悩む中小事業者を支援しようと、政府はこれまで様々なメニューを用意してきた。ただ、どれも申請から実施までのスピードが遅い、当てはまる事業者が少なく使いにくい、と指摘されている。5月1日に申請が始まった持続化給付金は、5月29日時点で合計130万件以上ある申請のうち55万の事業者がまだ支給を受けられていないことなどが、報道で大きく取り上げられている。

1年前に水産仲卸会社を立ち上げた路川さん(41歳)は、日本政策金融公庫の低利融資を待ちわびている経営者の一人だ。

2020年度から新しく始まる予定だった取引が、コロナの影響で全部止まりました。既存の取引先は飲食チェーンが多く、自粛要請で多くの店が休みになってしまった。日本政策金融公庫の低利融資に4月上旬に申し込みましたが、やっと面談できたのが5月の中頃。融資可否の連絡は、まだ来ません。審査完了日の目安を教えてくれたら良いのですが、それもない。

そこでとりあえず売上を作るしかない、と冷凍水産物詰め合わせの個人宅向け通販を始めました。地元メディアで取り上げられたこともあり、好調です。個人宅向け通販は幸いなことに、取引ごとにキャッシュが入りますから、それでなんとか持ちこたえています。もし今後、経済不安で個人の購買力が弱まって、通販も落ち込んだら…展望を描くのは難しいですね。

ヒアリング参加者からは、多くの人に支援策を届ける方法として「オンライン申請できる国の支援策も多いが、年配の経営者には難しいから何か別の方法をとる」、「支援策の情報を求めている事業者を集めて、政治家が説明会をしてほしい」、着金までのスピードを少しでも早めるために「(新型コロナウイルス感染症特別貸与を受けるときに)決算書3期分の提出に手間取った。提出書類をもっと簡素にしてほしい」、などの声が挙がった。

枝野代表:日本政策金融公庫も、融資窓口の人たちは頑張ってくれていると思います。ただ人手が足りないなど様々な問題がある。実際に融資が遅れているという危機感をもっと強めて、中小事業者の声を聞いてほしい、というのは政治の場でもっと言っていきます。

「どんなにたくさんの支援があっても、結局もらえなければ意味がない」。持続化給付金の条件に当てはまらず、先が見えない不安と闘う

持続化給付金は、給付のスピードだけでなく、条件が厳しいことも問題視されている。1年前に、水産物の卸売や通信販売事業を行う会社を新設した篠原さん(31歳)
は、日本政策金融公庫への早めの融資申請やネット通販の好調により、現在の資金繰りに問題はないという。ただ現状で自社に合う給付金制度がないことから、先行きに不安を感じている。

当社は運良く日本政策金融公庫の融資の着金も済み、売り上げの落ち込みをなんとかカバーできました。でも当社はモノを生産しておらず、サプライヤーあってこその商売。この数カ月、納品してくれるサプライヤーが資金繰りでとても苦戦しているのを間近で見て、いつか倒れてしまうのでは、と危機感を抱いています。

持続化給付金は、売上高が前年対比50%以上減の条件があって、わたしの周囲の事業者はほぼ対象外です。当社は昨年9月に新設し、1月より本格稼働したため前年の実績がなく、今は対象外(※)です。問い合わせても新規事業者を拾い上げてくれる制度があるのか、答えてもらえませんでした。どんなにたくさんの支援策があっても、結局もらえなければ、意味がないですよね。この先が不安です。

※第2次補正予算では、今年新たに創業した企業も持続化給付金の給付対象に盛り込むよう、野党は求めている。

弁護士の松尾・東京2区総支部長は日々、中小事業者からの法律相談を受けている。「コロナ対策のどの制度も、自社にはあと少しのところで条件に当てはまらず、結局使えなくて困っている」という声を聞くことが多いという。

都内のある新聞販売店では、折り込み広告が激減。売上高は半減まではいかない反面、利益が激減したので経営は非常に苦しいそうです。ただ持続化給付金の条件に合わず、困っています。

報道や政府の発表と、融資窓口での対応が違うこともある。

東京都内のいわゆる町工場、製造業を営む事業者は、今まで金融機関から借り入れしていた分の利払いが厳しい。日本政策金融公庫からの低利融資で借り換えをしたいけれど、資金用途が借り換えだと融資を渋られてしまった。コロナ対策で、日本政策金融公庫は柔軟に融資をすることになっています。でも実際に申し込んだら、通常時と同じような審査をされる、という声はよく聞きます。

月100万円では「焼け石に水」、都内の店舗賃料は払えない。家賃支援給付金のあるべき姿は?

コロナによる需要減を乗り切るにあたって、中小事業者の大きな負担はランニングコストだ。東京都内で外国人がメインの客層だったバーとシェアハウスを経営して生活している鈴木・東京10区総支部長は、苦しい経営を強いられている。

飲食店は、臨時休業しても固定費はかかります。5月までは従業員の雇用も維持できましたが、もう7月には閉店するしかないかなと思っています。入国ができないので、外国人向けシェアハウスの経営も大変厳しいです。もし感染の第2波が来て、入国ができない事態が続けば、取引先に迷惑をかけないうちに閉鎖も考えなければなりません。

弁護士の松尾・東京2区総支部長が相談を受けた飲食店経営者にとっては、政府の2次補正予算案に盛り込まれた家賃補助は、肩透かしだったという。

5店舗合計で月の家賃が約700万円かかるそうです。4月の緊急事態宣言以降はずっと休業し、ただただ家賃だけが出ていっている。2次補正予算案で最大100万円の家賃支援給付金が盛り込まれたけれど、それでは「焼け石に水」。どうしようかと頭を抱えています。

枝野代表は、地域ごとの家賃額に応じて家賃支援給付金の支援額を変えるよう、政府にさらに要望していくという。

立憲民主党は今、家賃支援額は全国一律ではなく地域の家賃額に応じて変えるべきだと政府に要望しています。東京と地方都市の家賃は全然違います。東京で商売をしていたら、月100万円の家賃支援ではどうにもならないところがほとんどですよね。

本来であれば、家賃支援を1次補正で実施して、使い勝手を確かめて、2次補正予算案で改善するという段取りにすべきでした。われわれは4月初旬の時点で事業者への家賃補助を提言。4月末には野党合同で家賃支援法案も提出しましたが、やっと家賃補助が盛り込まれた、というところです。少しでも現場の皆さんの役に立つよう、強く訴えていきます。

▼野党共同で提出した家賃支援法案の内容はこちら
https://cdp-japan.jp/news/20200428_2894

「自分だけ守れればいい」時代ではない。サプライチェーンを維持するために、政治ができることは

コロナがいつ終息するかも、融資や給付金の着金時期の目安もわからない──。弁護士の松尾さん(東京2区総支部長)は、先行きが見えない状況が長引くことで、中小事業者の倒産や清算が突然、連鎖して増える時があるのではないか、と危機感を持っている。

先行きが見えない状況がいつまで続くか分からない。だったら今、事業を潰して家賃や人件費の出費を抑えて、コロナが落ち着いてから再度事業を起こす方が合理的だというのは、中小の経営者は分かっているんです。でもそうしないのは、従業員の生活を守るため。社会的な責任感から何とか頑張っている人が多いです。

今後どこかのタイミングで、世の中の雰囲気が「自分だけ守れれば良い」といったふうになると、みんな一斉に廃業してしまう。その臨界点を迎えるギリギリのところまで来ている、と感じています。

篠原さんは、そんな事態が起こらないよう中小事業者も声を上げる時だ、と感じているという。

生産、卸売、小売、という経済の連鎖があり、サプライチェーン全体が機能して初めて商売ができるということを、コロナ危機を通じて強く思いました。もう、自分のところだけうまくいけばいい、という時代じゃない。ひとつの事業者が倒れれば、サプライチェーン全体に波及します。だから声を上げないといけないと思って、今日は取引先の皆さんの代表として、来たつもりです。より多くの中小事業者が助かるように、政治に頑張ってもらいたいです。

枝野代表は、中小事業者への支援のように緊急性の高いものは、まずは国の機関から支払って後から返済の仕組みを整えるなど、今の政府の支援策とは根本的に違う考え方を取り入れないといけない、と強調する。

今日参加してくれたような若い意欲ある事業者の皆さんが、精神的に追い詰められてしまうのは本当に深刻です。中小事業者へのコロナ対策支援では、まずは無審査で支援した後で、状況に応じて返済を求めるか、免除するかなどは考えよう。もちろん不正利用はいけませんから、その場合にはペナルティを課す。そういう考え方にシフトする必要があります。困っている事業者が求めるスピードに、間に合いません。

4月末に野党合同で国会に提出した家賃支援法案で、この考え方を政府に提案、議論をしましたが、実現していません。なかなか答えてもらえず、非常にいらつきながら日々交渉をしているというのが正直なところです。あきらめず、粘り強く訴えていきます。

2次補正予算案の国会での審議は、6月第2週に行われる予定だ。予算総額を増額したからといって、それだけで政治が責任を果たした、ということにはならない。重要なのは、いま必要としている人全員に支援がきちんと届くこと。政策実行の視点を持ち、立憲民主党は政府に働きかけを強めていく。

▼共同会派が提言している事業者向けの給付・融資・貸付等の支援はこちら
https://cdp-japan.jp/news/20200528_3017



枝野幸男 YUKIO EDANO(立憲民主党 代表)
ホームページ https://www.edano.gr.jp/
Twitter  @edanoyukio0531

鈴木庸介 YOSUKE SUZUKI(立憲民主党 東京10区総支部長)
ホームページ http://yosukesuzuki.net
Twitter @suzukiyosuke1

松尾明弘 AKIHIRO MATSUO(立憲民主党 東京2区総支部長)
ホームぺージ https://www.matsuoakihiro.jp
Twitter @matsuo_akihiro

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