内閣府が2018年に性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターで受けた相談に関して調査(※1)したところ、面談による相談者の年齢は、10代以下が約4割、20代が約3割でした。
また、内閣府の若年層(16歳~24歳)の性暴力の被害実態に関するオンラインアンケート及びヒアリング結果(※2)では、「約7人に1人が何らかの手口で被害にあったことがある」と回答しました。一番多いのが「痴漢」で7.7%、「セクハラ」が6.4%、「SNSを利用した性被害」が5.2%、「酔わせて性的行為を強要」「AV出演強要」「JKビジネス」「レイプドラッグ」と続きます。
痴漢は日常的に話を聞く身近な性犯罪です。同調査によると痴漢被害者の4分の3以上が10代・20代です。痴漢被害にあったけれど、どこにも相談しなかった人は約4割にものぼります。その理由として、「相談しても仕方がない」という声が多くあがっています。国全体として犯罪である痴漢対策に取り組む必要があります。
ここ数年で、駅の階段などで「盗撮注意」のポスターをよく見かけるようになりました。これまでの刑法には盗撮罪という罪は存在せず、盗撮を取り締まるためには、各都道府県の迷惑防止条例が使われていました。しかしスマートフォンの普及によって盗撮件数が年々増加していくなどの問題がある中、全国一律で処罰する規定の新設が求められ、新しい法律「性的な姿態を撮影する行為等に関する法律」が2023年7月施行され、体の性的な部位や下着などを相手の同意なく撮影することを取り締まる撮影罪が創設されました。
児童相談所での虐待相談のうち1.1%は性的虐待で、2019年度以降は毎年度2000件を超える相談が寄せられています(※4)。2017年には刑法に監護者性交等罪が創設されました。家庭という密室の中で、さらに性被害は潜在化しやすいと言われています。大人が、子どもへの性虐待の問題が身近に存在するという実態を認識することが、被害防止の第一歩です。
いわゆるスクールセクハラ、学校での性犯罪事件も深刻な問題です。表に出てきているのは氷山の一角と言われていますが、文部科学省の調査によると、児童生徒等に対する性犯罪・性暴力により懲戒処分等を受けた者は242人。わいせつ行為等の態様で最も多かったものは「性交」が42人、「体に触る」が32人、「盗撮・のぞき」が21人、「接吻」13人と続きます。
2022年には立憲民主党などが提出した「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律(わいせつ教員対策新法)」が施行されました。
この法律は、教職員等による児童・生徒に対するわいせつ行為を防止するため、基本理念や国等の責務、法制上の措置を定めるものであり、教職員や児童・生徒に対する啓発、データベースの整備などの防止に対する措置、早期発見・対処に関する措置、再免許の特例などを内容としています。
さらに、立憲民主党は、塾講師やベビーシッター等の子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴等の情報管理を行政機関が行う「日本版DBS」の創設を訴えてきました。政府の骨子案では、塾、スポーツクラブ、ベビーシッターが対象外になる等の抜け道が多く、本当に子どもを守ることができるのか実効性が問われます。わが党は、徹底して子どもを守るために、子どもに関わるすべての職種を対象にすること等を求めていきます。
立憲民主党は被害実態を踏まえた法改正等を進めると同時に、子どもたちが加害者にも被害者にもならないための包括的性教育を進めます。
※1 「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを対象とした支援状況等調査」
※2 「若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケート及びヒアリング結果」(令和4年3月/内閣府男女共同参画局より)」
※3 「令和4年警察白書」統計資料SNSに起因する事犯の被害児童者数の推移(平成24年~令和3年)」