立憲民主党ジェンダー平等推進本部と文部科学部門会議は3月26日、議員会館において「仕事のなかの男女間格差とジェンダー規範」をテーマに、明治大学政治経済学部の原ひろみ教授を講師にお招きしての合同会議を開催しました。労働経済学がご専門の原教授は、本年1月の共同執筆論文で、中学校「技術・家庭」の男女共修化が、その後の人生での意思決定・行動選択に影響を与えるという分析結果を公表されました。
原教授は講演の冒頭、男女間の賃金格差が持続することで女性の意欲が減退し働くことをやめる女性も出てくるが、日本経済が直面する課題である労働人口の減少を食い止めるためにも女性活用は不可欠であり、賃金格差をなくし女性が意欲をもって働ける環境整備が必要だと述べました。そして、これは女性のためだけではなく、経済・社会全体のためでもあり男性のためでもあると語りました。
また、男女間格差には「説明できる格差」と「説明できない格差」があると述べ、「説明できる格差」は人的資本(仕事に役立つスキルや知識。学歴、勤続年数、経験年数等)の男女差によって生じる賃金格差、「説明できない格差」は人的資本も生産性も同じなのに生じる賃金格差で、これは女性に対する差別・偏見(ジェンダー規範)を反映していると指摘しました。なお、「説明できる格差」も女性が家族のケアを多く担う結果、勤続年数が短くなり仕事のスキルや知識が低くなった結果という側面があり、その解消のために企業の取組みや家族間での役割分担見直し、政府による家族ケアの外部化への政策支援などの重要性を語りました。
ジェンダー規範を政策や教育などの介入により弱めることができるかという点について原教授は、ご自身が分析された日本の学校教育における「技術・家庭」の男女共修化の影響を例に説明されました。これは、「技術・家庭」の男女別学世代(1989年以前中学入学)と、男女共修世代(1990年以降中学入学)を比較分析したもので、男女共修世代の30歳代後半時点で、男性(夫)は週末の家事関連時間(家事、育児、買い物等)が長くなったこと、女性(妻)は正社員割合が増えたことや伝統的な性別役割分担意識が減ったことなど、共修化の長期的効果について話されました。
合同ヒアリングには党ジェンダー推進本部長の西村智奈美衆院議員、党文部科学部門長の菊田真紀子衆院議員をはじめ、衆議院から中川正春、牧義夫、福田昭雄、岡本あき子、櫻井周、荒井優の各議員が、参議院から宮口治子、古賀千景の両議員が出席し、司会進行は衆院文科委理事の坂本祐乃輔衆院議員が務めました。