立憲民主党など野党は9月9日、静岡県牧之原市の認定こども園で、送迎バスに置き去りにされた女児が死亡した事件を受け、再発防止策について内閣府、文部科学省、厚生労働省より説明を聴取しました。2021年7月には福岡県中間市の保育園で送迎バス内に取り残された園児(当時5歳)が熱中症で死亡するという同様の事件が起きており、再発防止策が喫緊に求められています。

 冒頭、早稲田ゆき衆院議員は、「こうした痛ましい事件を二度と起こさないため、子どもの安全、命を守るための仕組みを強化するために一緒に知恵を絞っていきたい」とあいさつ。長妻昭政務調査会長は、「児童福祉法の改正で安全計画の義務化は、認定こども園については是非に、というはずだが、抜け落ちてしまったことを深刻に受け止めている。「機械を付ける」など、物理的に事故が起きえない車の中の構造を含めたものを、ある程度義務付けないと命が守れないと痛感している。政調としても皆さんと議論し、対策を提言していきたい」と力を込めました。

 内閣府の子ども政策の有識者会議の委員で、保育園運営もしている認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんも、「再発防止策を講じてほしい」とオンラインで会議に参加。韓国では、同様の事件を受けてわずか3カ月後に政府が道路交通法を改正、改正法では、保育所や幼稚園の運営者に、バス車内の園児置き去りを防ぐ装置の設置が義務付けられ、従わない場合は、罰金も課されることになったと紹介し、日本でも早急にこのようなバス置き去り防止装置の設置を義務化すべきだと求めました。福岡県での事件を受け、厚労省は昨年8月、送迎バスを運行する場合、子どもの乗降時の座席や人数の確認を実施すること等、安全管理の徹底のための事務連絡を都道府県に発出したことにも言及、「運転手の注意力、注意だけでは事故は防げない。仕組みが必要。子どもたちの命のために動いていただけるとありがたい」と述べました。

<保育所、幼稚園、認定こども園及び特別支援学校幼稚部における安全管理の徹底について>

(1)子どもの欠席連絡等の出欠状況に関する情報について、保護者への速やかな確認及び職員間における情報共有を徹底すること。
(2)登園時や散歩等の園外活動の前後等、場面の切り替わりに子どもの人数核について、ダブルチェックの体制をとる等して徹底すること
(3)送迎バスを運行する場合においては、事故防止に努める観点から
・運転を担当する職員の他に子どもの対応ができる職員の同乗を求めることが望ましいこと
・子どもの乗車時及び降車時に座席や人数の確認を実施し、その内容を職員間で共有すること
 等に留意いただくこと
(4)各幼稚園等においては、「学校安全計画」「危機管理マニュアル」について、適宜見直し、必要に応じて改定すること

 政府の担当者は、駒崎さんから提起のあったバス置き去り防止装置の設置について、今回の事件を踏まえ、再発防止策の1つの案として検討を始めていると述べました。

 出席議員は、「昨年8月の政府の事務連絡にある4項目が現場でどこまで守られているのか。抜き打ち検査も含めてやるべきではないか」「重い負担がある中でミスが起きるのではないか。配置基準の見直しが必要なのではないか」「ヒューマンエラーを起こさないための人員不足の解消とともに、ヒューマンエラーがあっても子どもの命を守れるように徹底した対策が必要」など指摘。政府も「職員配置の改善、保育の質の向上に向けて重要な課題」との認識を示しました。