衆院消費者問題に関する特別委員会で12月7日、旧統一教会問題をめぐる被害者救済法案(「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案」と「消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案」)の審議が行われました。質問に立った柚木道義議員は、これまでの与野党協議等を通じて当初案から前進していると一定評価し、「被害者が救われる法律になるべくご答弁をお願いしたい」と河野消費者問題担当大臣にリーダーシップを求めました。

 柚木議員は、献金の返還をめぐる念書の問題について、岸田総理が6日、「困惑状態でサインした寄附の一部の返金の和解の合意や、寄附の返金を求めない旨の念書は、公序良俗に反するとして無効となり得るものと考えられる。また、個別具体の事例によっては、むしろ、法人等が寄附の勧誘に際して、個人に対して念書を作成させ、あるいはビデオ撮影をしているということ自体が法人等の勧誘の違法性を基礎づける要素の一つとなり、民法上の不法行為に基づく損害賠償請求が認められやすくなる可能性もあると考えられる」と発言したことを受け、「本来であれば条文に書いた方がいいが、念書やビデオ撮影自体を行わないように指導してもらいたい。仮に今後行われた場合、より不法行為認定や、損害賠償請求が認められやすくなると思う」と河野大臣に求めました。河野大臣は「宗教法人への指導について、一義的には文化庁が適切に行っていくものと考える」とした上で、「消費者庁も他省庁と連携して適切に対応していきたい」と答えました。

 柚木議員は、救済新法の第3条に規定する「配慮義務」については、「禁止行為」とすべきだとあらためて主張。また、法案の実効性を高める意味において、配慮義務規定に違反した時に、7条の「当該行為の停止」の中に、悪質勧誘によって献金・寄付をさせられた返金まで含まれると読めるのかどうかを尋ねましたが、河野大臣からは明確な答弁が得られませんでした。

 債権者代位権については、未成年に限らず要件が厳しすぎると指摘し、運用状況を見ながら野党が提案する「特別補助制度」の導入を検討してほしいと要請。「債権者代位権ではますます家族分断が進みかねない。被害者保護の観点からも、四親等以内の親族の同意で代理人を立てて、これ以上分断が進まない形でのやり取りができる特別補助制度の導入検討をお願いしたい」と述べました。

 「必要不可欠」との条件については、「『不可欠』を取ることこそが不可欠。『不可欠』を取っていただき救済可能性を高めてもらいたい。全国弁連の方々から、これまでの判例で救われていた事例すらも救われなくなってしまう懸念が示されている」と再考を求めました。

 柚木議員は最後に、「全般的に、条文を修正するよりは、さまざまな解釈の具体例を述べていただき、それによって対応が可能だという答弁が多い印象を持つ。実際の裁判では答弁通りには認められない可能性が多々あり、法施行後にさまざまな運用状況を含めての検討会の設置を再起動するなり、拡充するなり、そういう場を設けてほしい」と求めました。これに対し河野大臣は「この法案が施行された後、状況の確認は必要。どのようなメンバー構成になるかは別として、検討会が必要だという委員の考えはその通りだと思う。何らかの検討会、しっかりやってまいりたい」と応じました。