立憲民主党など野党は12月21日、旧統一教会問題に関する第33回目となる国対ヒアリングを実施しました。今回は、成立した法律にある、寄付勧誘時に配慮義務を怠った際に勧告するといった規定について、家族が配慮義務違反があると考えた場合に、その旨の文書を法テラス等を通じで紹介された弁護士を通じ寄付勧誘者(旧統一教会等)に送付した場合の効果について検討。被害者の方、被害者弁護士連絡会の方から話を聞き、関係省庁と意見交換をしました。また、信者間の養子縁組について、無許可でのあっせん事業を禁じた養子縁組あっせん法との関係について関係省庁から話を聞きました。

 文書の送付について、オンラインで参加した元祝福2世であり宗教2世問題ネットワークの副代表の山本サエコさん(仮名)は、(1)信者である親に、自身の献金は教会の違法行為につながる可能性があると伝えることができる(2)早期に弁護士の介入の筋道をつけることができる(3)何が配慮義務違反に当たるかを専門家に相談した上で、弁護士から指摘ができるので親の信教の自由への過度な干渉が防げるのではないか(4)組織性、継続性、悪質性の立証に役立つ情報の集積になり得る(5)家族以外にも正当な利害関係を有する人は送付できるようにすべき――といった指摘をしました。また、未成年者も送付できる環境整備と、所見作成費用の国庫負担を求めました。

夏野ななさん

 元エホバの証人3世で宗教2世問題ネットワーク会員の夏野ななさんは、書面送付が過度な献金の抑止や脱会につながる可能性があるとし、効果がなかった場合でも、今後配慮義務をもっと強くする見直しをするための根拠になり得ると指摘しました。また、新法で触れられていない部分として親の信仰に基づく虐待や人権侵害について改めて指摘し、虐待防止の法律づくりを強く求めました。

 また、元妻が多額の献金を行い、子どもが自らの命を絶った橋田達夫さんが電話で参加。両親が1億円以上を献金し返金手続きがうまくいっていないという鈴木みらいさん(仮名)も書面で送付について意見を表明しました。

阿部克臣弁護士

 宗教2世問題ネットワークの監事でもある全国霊感商法対策弁護士連絡会の阿部克臣弁護士は、前提として書面送付は弁護士の通常業務であり、相談を受けた弁護士が配慮義務に違反していると判断すれば送付する可能性があるとした上で、書面送付が持つ意味を政府が説明しメリット・デメリットを周知することで弁護士が理解すれば書面送付がより効果的になると述べました。周知の方法として具体的には、今回成立した法律の逐条解説に盛り込むなどを挙げました。

 家族による書面送付のメリットとしては、(1)教会の献金勧誘を牽制・抑止する効果がある(2)書面を送っておけば配慮義務違反の違法性の根拠の一つとして主張することができる(3)消費者庁や消費生活センターなどに送付することで配慮義務違反の勧告を判断する材料の一つになる――などを挙げました。一方でデメリットとして、信者本人に連絡が行くことで逆上したり、特に同居している場合、関係がうまくいかなくなることを挙げました。

 養子縁組の問題については、録音で参加したA子さんの話を聞き、また別の養子縁組をされた方から書面で意見を聞きました。

※今回のヒアリングは、被害者保護の観点から、オンライ参加の山本サエコさんについては顔出しは無しとし、モザイクのかかった写真・映像も不可。A子さんは音声は変え、ライブ配信や録画の配信は不可としています。