立憲民主党など野党は1月10日、旧統一教会問題に関する第36回目となる国対ヒアリングを実施しました。今回は、成立した被害者救済法が実効性あるものとなるよう、被害者と被害者弁護士連絡会の方からヒアリングを実施。また、6日に教会から文部科学省が行使した2度目の「質問権」に対する回答が届いたことを受け、その状況などについて関係省庁から話を聞きました。

中野容子さん

 中野容子さん(仮名、60代)は、被害者救済法のQ&A形式の解説資料が昨年末に出たことを受け、被害の防止や救済に役立てようとする消費者庁等の関係省庁の迅速な働きに感謝を表しました。

 中野さんの母は、1億円以上を教会に寄付し、その後、献金の返還請求や損害賠償請求を行わない旨の念書を作成。その様子は教会がビデオ撮影し、さらに同日、認知症ではないとの診断を求めかかりつけ医を受診。その後、中野さんが教会に献金の返金を求めているなか、母のアルツハイマー型認知症の確定診断がされました。2017年に東京地裁に提訴。2021年年に東京高裁に控訴したものの、念書があることなどから訴えは退けられました。

 中野さんは、Q&A12に困惑した状態で寄附の返金を請求しないという寄附の返金に関する合意書(いわゆる念書)を書かせた場合にはその念書が無効になり得るとの解説があることから「過去の事件を評価する際にも生かされるべきもの」だと指摘しました。

 消費者庁は、念書についてQ&Aに記載した意図・趣旨について、国対ヒアリングなどで質問・意見もあり、関心が高い部分であり盛り込んだと説明。また、この項目は「現在の民法上の解釈について書いているもの」だとして、過去のもの、新法施行前のものでも該当すると語りました。

 山井和則衆院議員は、「念書と被害者救済法のどちらが強いかの戦いだ」と述べ、その象徴が中野さんの訴訟であり、全国で同様のケースが多くあるだろうことから、救済法が実効性あるものかどうかの試金石だと訴えました。

 質問権については、3度目の調査を検討しているとの報道もあることから、質問を繰り返している間にも被害者が増えると山井議員は指摘。早期の解散請求を求めました。

弁護士連絡会の阿部克臣弁護士(左)と木村壮弁護士(右)