立憲民主党など野党は3月7日、旧統一教会問題に関する第42回目となる国対ヒアリングを実施しました。今回は、元信者や家族50人が慰謝料を含め16億円余りを旧統一教会に求めている損害賠償請求の集団交渉等について被害者と被害者弁護士連絡会、ジャーナリストの方からヒアリングを実施。関係省庁からも話を聞きました。

 全国霊感商法対策弁護士連絡会の一員であり、全国統一教会被害対策弁護団事務局次長の阿部克臣弁護士は、2月11日に元信者や家族50人が慰謝料を含め16億円余りを旧統一教会に支払いを求める通知書を送付したと話しました。求めた内容は(1)賠償額の全額支払い(2)弁護団側との面談による話し合い(3)過去の献金や物品購入を調査の上、その記録の開示――であることを説明しました。それに対する回答が3月2日に教会側から送られてきており、「結論として統一教会側は面談は受けない、支払いにも応じないと書かれてある」と阿部弁護士は述べました。また、献金や物品購入の記録の開示は、各地の信徒会が対応するとされており、「信徒会とはいわばダミー組織だ」と阿部弁護士は指摘しました。そのうえで、「こういうダミー団体が個別に対応するという回答、それ自体が非常に不誠実な対応だ」と強く批判しました。個別に対応することは被害者が集団で交渉することの分断を図っているのではないかと推察し、「金額を抑えたい魂胆が見える」と述べました。今後の対応について阿部弁護士は、正式な回答を弁護団で文章を詰めて旧統一教会に送付すると説明しました。また、「統一教会本部としてきちんと調査のうえ、速やかに回答するように申入れすることになる。あくまで個別ではなくて集団で、本部できちんと責任をもって対応するように申し入れすることになる」と話しました。

 旧統一教会の被害者でありZoomで参加したAさんは、旧統一教会が集団での交渉に応じない姿勢を見せていることについて受け止めを問われると「大変憤慨している。多くの被害者を生んでおきながら、あとは知らないと、あとは個別にやってくれとはないでしょう。個別にやれるなら、とうの昔に弁護士を立ててやっている」と述べました。

 エホバの証人問題支援弁護団の田中広太郎弁護士は、エホバの証人の問題点について「最大の問題は忌避だ」と述べました。「忌避」とは、一度エホバの証人の信者になった人が組織を離れると、かつての仲間から徹底的に交流を絶たれ、人格や存在を否定され、家族との交流も完全に失う仕組みであると田中弁護士は説明しました。判断能力のない12、3の時に正規の会員となり、大人になり自我が芽生え脱会したくなっても忌避が威嚇力となって組織にとどまるしかなくなることを問題視しました。

 13歳の時にエホバの証人の信者になったという小松猛さんは、20歳の時に忌避の対象となり、結婚して子どもができた今も両親と交流を拒否されていると話しました。小松さんは、「日本でこうしたことが現実に存在していることを社会の方に知ってほしい」と求めました。

 Zoomで参加した旧統一教会の元2世信者の小川さゆりさん(仮名)は、旧統一教会ついて「解散権について1日も早く進んで、被害者の方々が救われてほしい」と述べました。エホバの証人については「話題だけで終わってはいけないと思っている。この問題がどうしたら解決できるかという方向に持っていくべきだ」と述べました。

 ジャーナリストの鈴木エイトさんは、旧統一教会について「霊感商法、合同結婚式が社会問題になった時に(政治・行政)が介入すべきだった」と指摘。「個々の問題で片付けるべきではなく、極端な思考に染まった、染める側を規制するべきだ」と述べました。