立憲民主党
もっと良い「子ども・子育てビジョン」
(中間報告)

 立憲民主党は、それぞれの多様な生き方や人権を尊重するとともに、結婚や子どもをもちたい人の希望を叶える社会をつくります。子ども・子育て予算を増やし、結婚・出産・子育て・育ちや学びを阻む壁を取り除きます。

1.立憲民主党は「チルドレン・ファースト」
~分断をなくし社会全体で子どもの育ちを支える


立憲民主党の理念

●チルドレン・ファーストの考えの下、社会全体で子どもの育ちを応援します。子ども・子育て政策は、子どもを持つ家庭だけでなく、国民全体の利益です。

●「負担」から「安心」へ。
「子育ては経済的・精神的・身体的負担が重すぎる」から「安心して子どもを育てられる」よう、社会を挙げて応援します。

●結婚希望未婚者の増加を直視し、これまで抜け落ちていた対策を強化します。
子ども・子育て支援や教育に関わる所得制限を撤廃し、分断なくすべての子どもたちの育ちや学びを応援します。

●「控除から手当へ」を基本とし、高所得者には税で負担を求めます。

2.現状~「子育て罰」と言われる日本

「子どもを持つと生活が厳しくなる。」これが「子育て罰」と言われる日本の現状です。

◆出生数は80万人割れ
・民主党政権で進んだ子ども・子育て政策が後退した「失われた10年」
・20代の人口が急激に減少する2025年までに予算や施策を集中することが必要

◆先進国最低レベルの子育て予算
・GDP比1.74%(2019年)、OECD38ヵ国の平均は2.34%
・教育費の家庭負担率は、先進国トップクラス

◆理想の子どもの数を持たない理由は、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が約6割

◆仕事・育児・介護における女性の負担感が高い
・男性の家事育児時間は増加するも、先進国で最短

◆実質賃金は減り、4割近くが非正規雇用
・30代前半の男性非正規雇用者で配偶者がいる割合は約2割
・30代、40代の独身者は、男女ともに6割以上が親と同居

◆未婚率の増加
・50歳未婚率は、男性28%、女性18%と増加
・法律婚でないカップルから生まれる子どもは2.4%

3.立憲民主党の主な具体的な施策

結婚、出産、子育て、育ちや学びを阻む壁を取り除くための個別政策

(1) 結婚を阻む壁を取り除く

経済的な壁
○不本意非正規雇用者を減らしていく
○賃上げの加速と中小零細企業支援を中心に公的助成をしながら、最低賃金時給は1500円をめざして段階的に引き上げる
○同一価値労働同一賃金の実現
○有期から無期転換への期間の短縮を検討

住宅の壁
○定額を基本として子どもの人数や地域により金額を加算する、若年カップルや子育て世代も利用できる新たな家賃補助制度の創設
○公営住宅の優先貸与、空き家マッチングの促進

「伝統的家族観」の壁
○選択的夫婦別姓制度の導入
○同性婚の法制化
○養育里親や特別養子縁組について、普及および支援体制の強化

(2)出産を阻む壁を取り除く

経済的な壁
○出産費用の無償化
○育児休業給付の対象者を雇用保険に加入できない非正規労働者やフリーランスへ拡大
○不妊治療の経済的負担の軽減、仕事との両立支援

不安や心配事の壁
○産前産後ケアの充実と負担軽減
○男女ともに育休中の賃金補償(現行67%)の引き上げ
○親が婚姻しているかにかかわらず、すべての子どもの権利の保護と平等な支援

(3) 子育てを阻む壁を取り除く

経済的な壁
○児童手当拡充(所得制限をなくし、高校卒業年次まで一律15000円を給付)
○障がい児への手当等の所得制限撤廃
○児童扶養手当の拡充(所得制限の緩和、増額)と養育費確保
○所得制限をなくし、0~2歳すべての子どもの幼児教育・保育の無償化
○公立小中学校の給食の無償化
○高校授業料無償化の所得制限撤廃
○国公立大学の授業料を無償化し、私立大学生や専門学校生に対しても国公立大学と同額程度の負担軽減を実施
○結婚や子どもの有無にかかわらず、現在返済中の奨学金の返済猶予・減免
○子ども医療費の国費負担の検討と国保の減額調整措置の見直し

不安や心配事の壁
○妊娠期からの伴走型支援の「子育て版ケアマネージャー」の創設

育児負担の壁
○マイナポータル等を活用した子育て支援に係る手続きのデジタル化促進
○「保育に欠ける」要件を撤廃し、就業に関係なく保育の利用を可能とする

働き方の壁
○毎日の睡眠時間と生活時間を確保するため、勤務間インターバル(休息)規制を義務化(原則11時間以上)するなど、仕事と家庭の両立支援の働き方改革

(4) 子どもや若者の育ちや学びを阻む壁を取り除く

見守りの壁
○保育士の配置基準の見直し。フリー職員の配置
(緊急改善のための財政措置:加算要件として、1歳児6対1→5対1、3歳児20対1→15対1、4・5歳児30対1→25対1)
○保育士の処遇改善。委託費の流用禁止
○小中学校の少人数学級の推進
○「給特法」の抜本的見直しにより、教職員の処遇を改善し、公立小中学校の質を改善
○学童保育の待機児童解消・支援員の処遇改善

居場所の壁
○子ども・若者の居場所・遊び場と相談機能の確保

学びの壁
○すべての子どもの学ぶ権利を保障し、多様な学びの機会を確保
(特別な支援が必要な子ども、不登校の子ども、外国にルーツのある子どもなど)
○ヤングケアラー支援
○子どもの意見表明権の確保とコミッショナー機能創設
○学びなおし環境の再構築
○学習指導要領における「はどめ規制」の撤廃と包括的性教育の実践

4.子ども子育て政策実現のための財源確保の方向性

 まず取り組むべきことは、徹底した歳出改革です。その上で、不足する財源については、公平・公正な税制改革等により確保を図るべきだと考えています。
 日本は、G7(先進7ヵ国)の中で税による所得再分配が最も機能していません。
 所得税や金融所得課税の累進性強化(当面は分離課税のまま超過累進税率を導入、中長期的には総合課税化)、法人税改革など、所得再分配機能を強化する抜本的な税制改革により、結果として真に必要な政策財源の安定的確保を図るべきと考えます。

以上

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