国会内で7月26日、参院の閉会中審査に合わせて、マイナンバー制度反対連絡会、中央社会保障推進協議会、全国保険医団体連合会の「保険証を残してください」国会内集会が開かれ、立憲民主党政務調査会長の長妻昭衆院議員が出席し、あいさつを行いました。
岸田政権は先の通常国会で、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を進めるため、来年の秋に健康保険証を廃止する法律を制定しましたが、「他人の情報がひもづけられていた」「他人の医療情報が閲覧された」「本人が希望しないのにマイナカードに健康保険証が一体化された」「無保険者扱いで10割負担を患者に請求した」といったトラブルが続発し、収束の見通しもありません。高齢者施設からは入所者のマイナカードや暗証番号を管理できないとの声が上がっています。
長妻政調会長は、「G7 の他の諸外国において、『国民カード』に IC チップを搭載して健康保険証として、利用している国は承知していない」と厚生労働省も説明しているが、各国とも医療情報は個人情報の中でも機微にわたる情報で、厳重に管理し慎重に取り扱うべきだとしている、と述べました。また、盗難キャッシュカードによる預金等不正払戻しが毎年1万件起きていることを紹介し、マイナンバーカードと4桁の暗証番号が誰かの手に渡ってしまったら、診療・薬剤情報が洩れ、どんな病気にかかっているか分かってしまうなど、「とんでもない事態になる」と警鐘を鳴らしました。
河野大臣が昨年秋にいきなり健康保険証の廃止を打ち出しましたが、長妻政調会長は2022年の骨太方針では「保険証発行の選択制の導入を目指す」としていたとして、参院の閉会中審査でも来年秋の保険証廃止を微動だに変えようとしない河野大臣の姿勢を「とんでもないことだ」と批判しました。保険証の代わりの資格確認書もあいまいで、保険者の負担が大変になることや、保険証の猶予期間が1年と言われているのも最長であって、最短では数日になるケースもあることを明らかにしました。
マイナンバーカードと一体の「マイナ保険証」を利用するかどうかについて、長妻政調会長は「リスクとベネフィットを自分で判断させてほしい」というのが国民の声であり、「カードを持たざるを得なくなる事実上の強制はおかしい」と強調しました。政府は、2万ポイントのアメと保険証廃止のムチで、国民の不安をあおり上から目線でマイナンバーカードの取得促進を進めていることについても、「なんでもかんでも紐づけ症候群ではかえってデジタル化にブレーキがかかってしまう」と、政府のやり方を批判しました。
最後に、「デジタル化は進めなければならない」が、政府への信頼と個人情報保護、セキュリティの強化が不可欠であり、「不安払拭なくしてデジタル化なし」「個人情報は政府のものではなく皆さんのもの」と強調し、「個人情報や国民の権利を守るデジタル国家を目指していきたい」と決意を表明しました。
集会では、医療現場や教育現場、障がい者、自治体、保険者などさまざまな現場の立場から「マイナ保険証」のトラブルや保険証廃止の問題点が指摘されました。立憲民主党は、今の保険証を守ります。