古い政治を変えていくには、多様な性別や世代の当事者が政治の世界に入り、多様な声をより政策に反映させていくことが重要です。各政党は、政治参加の機会増大、多様な人材の発掘、登用を図るため候補者の公募などを行っていますが、選挙に落ちたら無職になるというのではなかなか挑戦できません。

 実際に衆院議員の出身職業は、都道府県や市町村の議員や首長である「地方政界」、議員秘書・政党役員、弁護士や医師、公認会計士などの資格がある人、マスコミ関係者、自営業や、大企業の幹部だった経歴、経験のある人などに偏っています(最も多いのは世襲議員)。

 立憲民主党は、こうした状況を少しでも改善すべく、公職に立候補する労働者が選挙公示・告示の14日前から選挙当日の3日後までの休暇を取れるようにする立候補休暇法案を提出しています。事業主はこの立候補休暇の申し出を拒むことができず、立候補休暇を申し出たことや取得したことを理由として解雇その他の不利益な取り扱いをしてはならないと定めるものです。これまでも労働基準法によって労働者が公職の選挙に立候補する際に必要な時間の休暇を請求することは認められていますが、不利益取り扱いの禁止が明確には定められていません。本法案は育児休業法などですでに定められている不利益取り扱いの禁止を明確にすることで、仕事を辞めなくても選挙に立候補できるようにするのがねらいです。

 各地で地方議員のなり手不足が深刻な課題になるなか、2022年12月に成立した改正地方自治法では、会社員などが選挙に立候補しやすくするため、事業主に対して「立候補休暇」の制度を就業規則などに定めるよう促すことが明記されました。

 多くの人が参加しやすい環境を整備することで、多様な声が届く政治の実現を目指します。