野田佳彦代表は3月14日、国会内で記者会見を開き、石破首相が3月3日に首相公邸で開いた自民党衆院1期生との会食において、首相事務所がお土産を名目に1期生側に1人10万円分の商品券を配布していたことが判明したことについて、発言しました。

 野田代表は、企業団体献金の禁止をめぐり、政治改革特別委員会が開催されている最中であるため、「本当に驚いた」と発言。総理本人がポケットマネーと説明していることについては、政治資金規正法第21条2「何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く)に関して寄附(金銭等によるものに限るものとし、政治団体に対するものを除く。)をしてはならない」とした条文に抵触する可能性があると指摘しました。

 その上で、森本真治議員らが本日の参院予算員会で取り上げる予定だと明かし、その他関連する委員会等でも「しっかり議論し、解明にあたっていきたい」と強調しました。


野田佳彦代表記者会見

2025年3月14日(金)10時30分~10時46分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtube.com/live/D4-UFM75pSQ


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○石破首相の10万円商品券配布問題について

【代表】
 昨日、石破総理が、今月3日に首相公邸で行われた自民党衆議院議員1回生15名との懇親会で、お土産として1人10万円、商品券を配布していたということが報道されました。
 ちょうど今、政治改革特別委員会が開かれて企業・団体献金の禁止についての議論をしている、そういうタイミングで、非常に、このタイミングでこういうことをやっていたのかということで、本当にある意味驚きました。
 ご本人はポケットマネーでのお土産というような説明をされているようでありますが、これはどうしても、政治資金規正法第21条の2、「何人も、公職の候補者の政治活動に関して寄附をしてはならない」という、この条文に抵触するのではないかという可能性があると思いますので、きょう参議院の予算委員会でも森本議員などが取り上げることになるだろうと思いますし、その他、政治改革特別委員会など関係する委員会においてこのテーマが議論されることになるだろうと思います。そうした議論をしっかりと行って解明に当たっていきたいと思います。
 ポケットマネー。1人10万円ですから、150万円なんてポケットに普通入りませんのでね。しかも、公邸ですからね。で、(渡した相手は)議員でしょう。そうすると、これはどう見ても、やはり政治活動の寄附としか思えないですね。そこはしっかりと総理の説明を聞かなければいけないだろうと思いますし、10万円の商品券というのは、いわゆるお土産としては社会通念では額として余りにも多いのではないのかと私は思います。10万円の商品券をもらったこともプレゼントしたこともありませんので。
 こういう文化が自民党にあるとしても、それも問題だとは思いますが、やはりこれは政治活動の寄附に当たる可能性が高いのではないかという気がしますので、しっかり委員会等の審議で明らかにしていきたいと思います。


■質疑

○石破首相の10万円商品券配布問題について(1)

【NHK】
 冒頭にあったことについて伺いたい。政治改革特別委でも議論したいという趣旨の発言をされたが、企業・団体献金の禁止に向けて、3月末までという期限の中で、こうした問題の影響というのはいかがお考えか。

【代表】
 当然自民党の法案提出者に対する質問の機会などがあると思いますので、そういうときに、こうした自民党のトップの行いについての見解を問うなど、やり方はいろいろあるのではないかと思います。
 いずれにしても、このタイミングでこういう脇の甘い対応をしたということ自体が、法に抵触するかどうかという問題ももちろんありますが、政治感覚としていかがなものかという気持ちも強いので、それは自民党の皆さんに対しても質問をして見解を問うということはあると思います。

【朝日新聞】
 今の関連で。冒頭もかなり厳しいご発言があったが、こうしたことを引き起こした政治責任や、進退も含め、首相の対応についてどう求めていくか、お考えがあればお願いしたい。

【代表】
 まだそこまでの話ではなく、委員会での審議などを通じて改めて説明を求めていくというところが基本だと思います。厳しく説明を求めていきたいと思います。

【朝日新聞】
 冒頭発言の中で、国会などを通じ解明していくというお話があった。もちろん原資とか、いろいろ論点はあると思うが、特に実態解明の必要性がある論点や焦点など、お考えがあればお願いしたい。

【代表】
 やはり政治活動に対する寄附の可能性が十分あると思いますので、そこはぐりぐりと問うていかなければいけないと思います。
 ポケットマネーで、ねぎらいの気持ちでお渡ししたと。で、「ありがとう」という関係だったら、何でも「ありがとう」で済んでしまう話なので、そんなわけないだろうと思いますから、そういうことも含めてきちっとただしていくことが大事だと思いますし、これは今回だけではなく、これまでもやっていたようなお話がありますので、そういうことも含めてしっかりただしていかなければいけないだろうと思いますし、原資もポケットマネーではなく官房機密費の可能性だって十分あるではないですか。(その場に)官房長官もいたんでしょう。などなど、いろいろなことをもっとよく調べていかなければ、説明を求めていかなければいけないのではないかと思っています。

【朝日新聞】
 あと一点、念のためお聞きしたいが、冒頭で野田代表ご自身は10万円配ったことももらったこともないということだったが、立憲民主党の中でこうした例えば会食に伴い何か商品券や物品を渡したりもらったりという文化はこれまであったか、もしくは見聞きされたことはあるか。

【代表】
 文化としては幾ら何でもないと思いますね。それは全部全員の行動をチェックしているわけではないのでわかりませんが、ただ、いわゆるお土産みたいなことをするということはもちろんあると思いますが、いわゆる社会通念上の範囲でということはあるかもしれません。でも、10万円を超えるような話ではたぶんないのではないでしょうか。

【共同通信】
 今回の問題だが、政治資金規正法の問題ももちろんあるかと思うが、それとは別に、石破さんが今回総理・総裁に選ばれたのはクリーンなイメージへの国民の期待というところも大きかったと思う。そこを大きく裏切っているような行為とも思えるが、その点を代表はどのようにご覧になっているか。

【代表】
 おっしゃるとおりです。政治改革に熱心な政治家の筆頭格でしたからね。それは選挙制度だけではなく政治資金規正法の問題でも非常に今まで長年にわたって論陣を張ってきた人なので、かなりお金の使い方の感覚もきちっとした人だろうと思っておりましたので、こういう感覚だったとするならば非常にがっかりしたことになりますね。私が持っていた幻想がいけなかったのかもしれませんが、かなりイメージを損なうなと思います。

【共同通信】
 一回の会食で10万円もらえるというのは国民感覚からも、代表もおっしゃっていたが、かなりかけ離れた感覚だと思うが、その点は改めていかがか。

【代表】
 これがある種自民党の感覚なのかなと。安易にお金を使い過ぎている。法律に抵触する可能性も含めて、巨額なお金を使っている。それは逆に、集め過ぎている、安易に集めているということもあるのではないでしょうか。そういう何かある種自民党の政治文化の根っこの部分を垣間見せられたような気がしますね。クリーンな政治家だと思っていた石破さんですらこういうことを日常的にやっていたとするならば、これぞ自民党なんだということを改めて思い知ったという感じがします。

【産経新聞】
 石破首相が10万円の商品券を配布していた問題に関連して、先ほど、首相の政治責任に関して、そこまでの段階ではないとおっしゃっていたが、今後事実の真相解明が進んでいった先に内閣不信任案などを提出するようなお考えはあるか。

【代表】
 いや、政治責任は間違いなくありますね。このタイミングで、こういう多くの人がある種失望するようなことを起こしているという、政治的な責任。これは間違いなくありますので、そのために、まず説明責任を果たしてもらうというところから我々は追及していかなければいけないと思います。
 その先のことは、その先で考えたいと思います。

【産経新聞】
 その先のことはその先で考えたいということだが、仮に提出するとなった場合には、立憲単独では過半数を超えないので他の野党の協力も必要になってくると思う。企業・団体献金や、さきの予算の修正の審議など、野党の足並みのそろわない場面も多くあったが、今後野党をまとめていくために、どのようにまとめていきたいとお考えか。

【代表】
 国会の審議の中で野党がまとまっていく空気が醸成されていくのかなど、ちょっとまだ「たられば」の話過ぎるので具体的なことは申し上げられませんが、まずは国会審議の中で説明責任を果たしてもらうように強く要求していくということに尽きると思います。

○選択的夫婦別氏制度の実現に向けて

【産経新聞】
 別件で、選択的夫婦別姓について伺いたい。今、立憲民主党内では実現本部をつくりヒアリングや議論を進めていると思うが、その法案の準備状況や議論の進捗状況について伺いたい。

【代表】
 これは、多くの野党にご協力いただいて共同で提出できるような環境整備を今行っていると。そうすると、中身は、どういうレベルにするかなど、いわゆる単純に自分たちの満足のいく法案づくりだけではなく、どう実現できるかというのが実現本部の役割だと思いますので、そういう観点で法案づくりを今やっているというプロセスの途中だと思います。

○石破首相の10万円商品券配布問題について(2)

【西日本新聞】
 石破総理の商品券問題に戻り、先ほど質問の答えに、自民党が安易にお金を集めているという、ある種の自民党の政治文化の根っこの部分を垣間見せられたような気がしますとおっしゃった。政治改革特別委員会では御党は企業・団体献金の禁止を求め論戦に挑んでいるが、改めて、こういった文化を見せつけられたというようなところから、企業・団体献金の禁止の実現に向けた、必要性、意気込みを教えていただきたい。

【代表】
 私もかつて浪人したことがありまして、105票差で負けて4年近く浪人したときに、毎月1万円ずつ個人献金を出してくださる方が50人いました。郵便振替とか銀行振り込みではなく、毎月活動報告をして、1万円いただいて、そして領収書を切ってということをやり続けたがゆえに、その後、復活して当選を重ねることができるようになりました。
 そういう苦労を知らない自民党の議員が多過ぎるのではないでしょうか。お金をいただくこと。1万円の意味。それを、安易と言ったのは、自民党ならば企業・団体献金をもらえる、政党支部にまでもらえると。そこに依存し過ぎているがゆえに、個人でお金を集める苦労を知らない人たちが多過ぎる。
 私はこの間、経済団体の集まりでそのことを申し上げました。なぜ駄目なのかというと、あなたたちはあっせんまでしているではないかと、経団連が。そんな甘やかしをしているから、ろくな政治家が生まれないと申し上げました。
 もちろん企業・団体献金だって全部悪ではありません。私だってもらったことはありますので。だけど、個人で集める本当に努力をしていない人たちが、今回のようにポケットマネーで150万とかいう感覚になってしまうのではないでしょうか、というところに結びついていくと思いますので、改めて企業・団体献金の禁止については、我々も痛みを伴うことではありますが、しっかりと実現できるように頑張っていきたいと思います。

○自民・杉田氏の参院選公認決定について

【フリーランス】
 また別のテーマだが、自民党が参議院比例代表の公認候補として杉田水脈元衆議院議員を決めたことに関して、12日の参議院本会議で立憲民主党の勝部賢志議員が、アイヌ民族などに対する差別に関して札幌法務局などから人権侵犯認定されたということで、石破首相に対して公認撤回を求める質問をされた。石破首相は、これは本人の推薦に基づいて自民党の選挙対策委員会による審査を経て党の選挙対策本部において決定したことで、個別具体の公認者に対しての審査決定の件については党の内部運営に関わることで答えは差し控えるというお答えだった。これは言ってみれば自民党が選挙において人種差別発言を容認するような、そういった風潮があるのではないかとも聞き取れるような回答だが、この杉田水脈さんに対する公認と、石破首相の回答に対するご見解をお願いしたい。

【代表】
 党として公認する以上は、党のトップである人が、なぜその人を公認したかについては責任を持たなければいけないし、説明できるようにしなければいけないと思います。今のお聞きした範囲では、石破さんがきちっと説明できないということは、党としてのガバナンスが利いていないのではないかと思います。
 杉田さんの言動については、ご指摘のとおりの言動があったわけですから、それがわかっていながらご自身の判断を下していなかったとするならば、私はやはり党のガバナンスの問題とリーダーとしての資質の問題に関わってくるのではないかと思います。

【フリーランス】
 こういった公人による人種・民族差別と思われるような発言が相次ぐことについて、以前政調会長でいらした長妻昭代表代行は、国内人権機関、包括的差別禁止法、個人通報制度といったものが必要ではないかとおっしゃっていたが、こういった人権に対する法整備のあり方については何か代表としてお考えはあるか。

【代表】
 人権としての法整備はやらなければいけないと思いますし、我々は多様性を尊重し合う社会を目指しておりますので、今回の自民党の公認された候補とは対極にいます。自民党はこれは自民党として、有権者からどういう審判を受けるかはこれは自民党の問題だとは思いますが、我々はそういう候補を選ぶということはあり得ないと思っています。そこは明確な違いだと思っています。

(以上)