枝野幸男代表は22日、佐賀県佐賀市を訪れ、連合佐賀の井手雅彦会長らと懇談。その後、原口一博副代表、大串博志役員室長と「佐賀の暮らしを考える対話集会」に参加し、街頭演説を行いました。またウンカ被害により稲作に影響が出ている小城市内の水田を視察しました。

 対話集会で枝野代表は、参加された方に新党を結党したことを報告。原口、大串両衆院議員が一緒になること大きな波及効果をもたらすことができると語りました。また衆参合わせて150人の政党になったことで、国民やメディアの見方も変わってきており、「いまの政権に代わりがあるとすればここだということが、皆さんに見えやすくなった」と述べました。

 そして、競争と自己責任を強調するのではなく、支え合いが政治の役割であり、小さい政府ではなく、機能する政府をつくり役割を果たす政治にしようというのが綱領だと説明。農業分野を例に、昔からの伝統や、地域社会、水と緑と空気を守る農業を続けていけるよう戸別所得補償制度をやり、暮らしの下支えをする政治を作っていくと訴えました。

 原口副代表は、民主党政権時に作った新型インフルエンザ特措法でいまの新型コロナウイルス対策をしているが、想定していなかったものもあり、被災者生活再建支援法とともに法改正をする必要があると述べました。また、佐賀出身で司法制度の基礎をつくった江藤新平・初代司法卿の「すべての法律のもとは人権(=人間の尊厳)にある」との言葉を引用し、「一人ひとりが、明るく温かく支えられてこそ法律も機能する」と話しました。

 大串役員室長は、菅政権が安倍政権の後継だと言われていることについて、森友・加計学園問題や桜を見る会の問題は「安倍総理が辞めて、これで終わりなのか」「安倍政権で答えなかったことをそのままずっと答えないで済むために菅さんは総理になったのか」と述べ、また、菅総理が規制改革を打ち出していることに対して、「どこかで聞いたフレーズ」だと言い、農業分野で「大規模化、機械化、法人化をしなさいの一辺倒で佐賀の農業は良くなったのか、ならなかった」と指摘。競争ではなく「支え合うような経済、社会を作ることの方が大事」だと訴えました。

 参加者との対話では、災害対策としての国土開発を与党と共にやって欲しいという声に対して、災害が起きた時に命を守り一日でも早く復旧するチームが日本には自衛隊以外にはないと述べ、危機管理庁といったものを与野党で同じ発想を持っている議員で具体化し提案をしていきたいと語りました。

 原子力発電について原発立地地域を活性化し将来の不安がないようにどのようにゼロにしていくかについては、「原発立地地域」「そこで働いている人たち」「使用済み核燃料」の3点が大きな課題であり、揃って解決していくには一定の時間が必要との認識を示しました。枝野代表自身が原発事故時の官房長官であり、直後の経済産業大臣(原発などを所管)だったことから、無責任に何かを言うことはなく、こうした課題を解決しながらでないと原発ゼロは進められないと語りました。その上で、原発立地地域を、自然エネルギーに関する発信拠点とすることも、一つの効果がある方法ではないかと述べ、更にいろいろなことを検討していきたいと語りました。

 その他には、新聞のインタビューで語っていた消費税や民主党政権での経験について詳しく教えて欲しい、イージス・アショアやオスプレイの配備、国民の声を聞くシステムを作って欲しい、携帯電話だけではなく固定電話の料金を下げて欲しい、コロナ禍で支持をどう広げていくのか、原口・大串両議員の国会での質問機会を増やして欲しい――といった声がありました。

 対話集会後、記者団の取材に応じた枝野代表は、佐賀での次期総選挙の勝算について聞かれ、佐賀1区で原口議員、同2区で大串議員が当選した前回の選挙を振り返り、「3年前の大変厳しい状況のなか、小選挙区で勝ち上がられた2人。それぞれ原口党、大串党と呼んでいいような政党の枠を超えた支援の輪があると思っている。そうした皆さんに加え、新しい立憲民主党という枠に期待いただける皆さんの力を合わせることができれば小選挙区で勝てる、勝ってもらわないといけない」と語りました。

 その後、ゆめタウン佐賀で、原口、大串両議員と共に街頭演説を行い新党結党のあいさつを行いました。

ウンカ被害のあった水田(手前)を視察する枝野代表と大串議員

 また、小城市江里山地区では、地区の農業関係者と意見交換を行い、稲の害虫であるウンカの被害のあった水田を視察。1区画がすべて枯れてしまうという状況を確認しました。江里山地区は『日本の棚田百選』『全国農村景観百選』『22世紀に残す佐賀県遺産』にも選ばれている地域で、視察時はあぜ道に彼岸花が咲いており、観光客も彼岸花で彩られている棚田の風景をカメラに収めていました。