枝野幸男代表は23日、日本外国特派員協会で「野党第一党としてどのような政策を掲げるのか」と題する講演を行いました。
枝野代表の講演と質疑応答の内容は以下のとおりです。
■冒頭発言
9月15日に新しい形で生まれ変わり、150人の国会議員、特に衆議院で100人を超えるメンバーが集まった。日本は、小選挙区制度を軸にした選挙制度にした以降も、一度たりとも単独政権はないが、政権の受け皿・選択肢となるためには、軸となる政党が明確でないとなかなか政権の選択肢として認めていただけないという状況の中で、ようやく、最低条件である衆議院100人を超えることができた。
7年8カ月続いた安倍政権の中で、野党勢力は大変厳しい道を歩んできた。その政権が変わるタイミングで野党勢力が一つのまとまった形を作れたのは、時代の要請である。
しかも、自民党総裁となった菅さんと私は、ともに内閣官房長官という仕事で世の中に注目をしていただいた。しかも私は東日本大震災、菅さんはコロナ危機という、わが国にとって大きな危機のときに官邸をお預かりしたという共通点がある。
また、私もいわゆる世襲政治家ではない。日本初の候補者公募システムで選挙に出て、国会議員になった。性格的にはだいぶ違うと思うが、世襲ではない点も含め、似たようなキャリアのトップ同士で政権を競い合いたい。
これまでの野党、例えば民主党などと、今度の新しい立憲民主党は何が違うんだというご指摘を受けることがあるが、明確に違っている。これまでの野党勢力が難しい舵取りを要してきた大きな課題の一つを、今回の結党で乗り越えることができたと位置づけている。
それは綱領という形に明確に示されている。これまでの野党勢力は、自分たちの立ち位置、基本姿勢のところが曖昧だったという弱点を抱えていた。
綱領の2(エ)に、「目先の効率性だけにとらわれず」という文言が入っている。それに続いて、「過度な自己責任論に陥らず、公正な配分により格差を解消し」と書いている。
また、(カ)の第3段落に「機能する、実行力のある政府」というワードを使っている。これまで自民党は、中曽根総理の時代から、小泉総理、そして安倍総理も、いわゆる新自由主義的競争を過度に重視し、一方、国民には自己責任を迫ってきた。政府は小さいほどよく、規制は少ないほどいい。こういう自民党の立ち位置に対して、野党勢力は、それとは違う方向性を示しながらも、今申し上げた、「改革」にも一定の色目を使ってきた。今回は明確に、新自由主義的な自由民主党に対して、私たちは「支え合う社会」と言い方をしているが、相互の、国民同士の協力によって、さまざまなリスクや、あるいは障害を乗り越えるために、政府が積極的な仕事をするという立ち位置を明確にした。
私たちはこうした明確な立ち位置のもとで、一つにはコロナによって大変深刻な状況になっている国民生活を立て直す。そして二つ目には、この30年ほどの間に拡大をしてきてしまった社会の格差と分断を乗り越える。そして三つ目は、この30年間、日本だけが先進国の中で低成長が続いてきた、その根本原因である消費の低迷を乗り越える。この三つを実現する。このことを掲げて、政権のもう一つの選択肢になっていきたい。
外国の特派員の皆さんの前なので外交安全保障についてもう一言付言しておきたい。
われわれは、綱領の(キ)に、「現実的な外交安全保障政策」を一番に掲げている。
その次のパラグラフにある通り、日米同盟を軸にすることについては、従来の自民党政権と基本的には変わらない。ただ日米同盟の頭に「健全な」という3文字を加えている。米軍基地の問題、地位協定の問題、あるいは特に安倍政権のもとでは、米国の都合でさまざまなものを押し売りされているという認識、など日米関係には問題点がある。
私も日米同盟が日本にとって基軸となる外交関係だと思っているので、日米同盟を壊すようなことは全く考えていない。しかし、従来の自民党政権は、米国に対して「忖度」をして、わが国の主張をきちっと伝えていないと見ている。
特に沖縄を中心とする米軍基地問題も、地位協定の改定も、簡単にできるとは思っていない。しかしながら、真の同盟国ならば、わが国としての要望や考え方、立場を、もっとしっかりと伝えて議論をする関係こそが、さらに長期的に日米同盟を実効性のあるものにしていく上で必要だという立場で、外交関係に臨んでいきたい。
私は結党をしてから一週間ほどで、次の選挙でも掲げる大きなテーマとして、日本は自然エネルギー立国を目指すべきであるという主張を始めている。
温暖化問題をはじめとする地球環境問題は、21世紀の、あるいはその先に向けても、人類全体にとっての最重要テーマであると認識している。
わが国は狭い国土ではあるが、実はあらゆる自然エネルギーについての非常に適した地域を抱えているし、それに関連する技術も、十分な蓄積があると考えている。
この日本の特性、あるいは技術を生かして、まず国内を自然エネルギー100%という状況に近づける。それによってさらに発展させた技術やシステムを世界の皆さんに使っていただく。こうした形で世界に貢献できる日本を、私は目指していきたいと思っている。
■質疑応答
記者)以前の党と明確に違うとおっしゃったが、一般の有権者にどう伝え、どう信じてもらうかが鍵だ。新しい党には、元総理大臣の菅さんや野田さん、そして小沢さんもいる。一つの党として団結し、明確に以前とは違う道を歩んでいくために、どのようにするおつもりか。
枝野)一つは、綱領が先にでき、綱領にご賛同いただける方からご参加くださいというプロセスを踏んだ。したがって、基本になる理念ということでの一体性は、常に綱領に立ち返ることで確保できる。
野党勢力はこの間、2009年からの非自民政権が、党内で意見が分かれたことでうまくいかなかったという批判にさらされ続けてきた。われわれはそうした反省と教訓を踏まえているからこそ政権の担い手たり得るということを、自信を持って訴えなければいけない。
2009年政権の、大きな反省の一つは経験不足であり、それに伴って生じた内部での意見対立が大きかったと思う。
そして安倍政権の7年8カ月の間、野党勢力は目新しさを打ち出すことによって、何とか安倍一強体制に挑もう、崩していこうとしたが、私は、その方向自体が明確に間違いだったと思う。
多くの国民が、政策的には変化を求めている。しかし政治に対しては、安定と安心を求めている。にもかかわらず、そこに目新しさを売りこもうとしても、安心や安定は生まれない。
経験不足による挫折を経験しているメンバーが、われわれの先輩方を含めて、しっかりとその反省教訓を踏まえ、まとまり、安定化をもっと進めていこうというのが、この新しい政党の一つのセールスポイントである。
選挙協力について
記者) 新しい合流新党と以前の民主党との一番大きな違いとして、綱領が違う、新自由主義との決別を明確に図れたというお話があった。もう一つ重要だと思われる点が、自民党が公明党と組まないと過半数を取れないように、今の選挙制度のもとでは、連立が必要な点。しかし民主党でもなんでも、リベラル政党が左の方に手を伸ばすと、党内の右側に不満があって、分裂騒ぎになったり対立が起きたりすることを繰り返してきた。今回の合流劇では、分裂して枝野さんが立憲を立ち上げ、立憲主導で合流したことで、社民や共産と組むこと(必ずしも合併や閣内協力までなくていいが)、例えば選挙で協力することが、より実現しやすくなったのか。そして実際にそういう話が進んでいるのか。今までのように、党内の比較的保守な、あるいは穏健の方々がまた対立するようなことが起きないのか。
共産党が小選挙区に一人も候補者を立てなければ、自民党は一番ひどい時は60以上も議席を減らすという世論調査の結果が、自民党が実際に行った調査で出たというデータが出回ってる。立憲がそちら側ときちんと組めるかどうかが、今の選挙制度のもとでは、非常に重要になってくると思う。枝野さんのお考えは?
枝野) 社会民主党とは、今国会内でも1年にわたって会派をともにし、同一行動をとっているので、かなり完全に近い形で、選挙も含めて連携していけると思う。
共産党とは、例えば天皇制に対する考え方や、日米同盟に対する考え方など、われわれと明確に違っている部分がある。他方で、今の日本の置かれている状況を前提とした、当面の、3年5年10年ぐらいの間にやらなければならないことについて、相当な共通点がある。
違いを前提とした上で、最大限どこまで連携できるのかは、双方に最大限の努力を要するという認識で一致してる。この考え方については、党内でも、概ね共有していると思う。具体的な連携の程度・やり方はこれから。
政権運営
記者) もし総理大臣になったら、日本の高度成長に大きく貢献した経済企画庁みたいな役所を復活する考えをお持ちか。
枝野) 大変素晴らしい質問だと思う。
経済企画庁が活躍をした昭和の後半とは、やるべき政策は相当違っているだろう。しかし、経済企画庁がなくなって、日本の経済を非常に大きな視野で把握・分析し、戦略を立てる役所が見えなくなってしまった。これはわが国にとって大きな損失だと受け止めている。
内閣府の中に、それに相応する部局があるが、一つの役所として存在しなくなったことで、非常に影響力が小さくなっている。
今の日本の経済のためには、例えば社会保障政策とか、あるいは税制による所得再分配政策とか、非常に幅広い視野で物を組み立てなければならない。そうしたことをしっかりと担う部局、できればそれを独立した役所にしたいと私は思っている。
記者) ここまでずっと、内閣府にかなり力を集中してきた。経企庁だけでなく、ほかの役所もそうだが、力を集中してきた今までの流れというのを、仮に枝野さんの政党が政権をとった場合は、いわゆる内閣府や官邸への権力集中の流れを、変えることを考えておられるのか。
枝野) 私は、強い官邸、内閣官房長官のもとで、省庁を横断したテーマについて、しっかりと総合調整をする機能が強いということに対しては、肯定的だ。
一方で、内閣府に省庁またがる強い機能を持たせようとしたが、実際には内閣府が、例えば経済産業省とか財務省とかに対して、きちっとした指導力を発揮できていないと思っている。強いものを弱めるというよりも、弱いが、しっかりと独立性を持った部局にして、そこを含めて、官邸が官房長官を中心にきちっと調整をするのが望ましい姿だと思っている。
消費税
記者) 将来的に、日本では消費税を上げる必要があるのか。あるならいつか。
枝野) 少なくとも、今私の視野に入っている将来には、消費税を上げることは全く考えていない。むしろ税を見直す上では、大きな所得をあげた法人に対する法人税課税、富裕層に対する所得税、金融所得課税、こちらこそ強化すべきだと思う。
記者) 消費税は減税するのか。
枝野) 今の社会状況であれば、本来それが望ましいと思う。ただし、下げるとアナウンスしてから下げるまでの間、むしろ消費を冷え込ませることになるので、非常にハンドリングが難しい。が、できれば下げることが望ましいと思う。
政権交代の実現性
記者) 戦後、ほとんどの時代で自民党が政権を握ってきた。これは、日本の政治文化が、基本的には保守的だからだと思う。アメリカのように、共和党と民主党が交互に政権を握ることが、日本で可能だとお考えか。また、それを望まれているか。
もしそうだとしたら、先ほど「支え合える社会」というお考えを示されたが、それで十分だとお考えか。
枝野) 私は、日本の政治風土が保守的だと思っていない。保守的なら、私はもっと選挙に強いはず。なぜなら、私こそ保守本流だと自負しているから。バークの保守主義の定義に基づけば、私こそ保守主義であり、安倍さんは保守主義の対極である。
自民党の強さは、いわゆる足腰の強さだと思う。地域における運動量、活動量。それが地方自治体も含めたネットワークとして、われわれと比較にならないぐらい強い。われわれがそこを作っていかない限り、いわゆる二大政党的な構造は作れない。そういった意味では、掲げる旗印を明確にしたのは大きな前進だと思っているが、本当の意味で政権交代が適度に行われる状況を作るためには、いわゆる足腰、地方組織や自治体議員の仲間だとか、そういったところの強化が決定的に必要だと思う。
記者) 2009年から2012年の政権時代に対して、不信感を持つ国民は少なくない。そのときの教訓を学んだということは、どのように国民に伝えていく予定か。
枝野) よく消費税について聞かれる。次の総選挙で仮にわれわれが勝って政権を取っても、参議院は自民党と公明党が過半数であるという状況が、あと2年変わらない。半分しか改選にならないので、場合によっては 5年間変わらない。したがって、自民党が賛成しない限り、大きな法改正は実現できない。だから安易にこれを掲げることはできないと言っている。
2009年に政権をとった時に、あれもこれもやりたい、やれると思い、同時に全部やろうとした結果、どれも中途半端になってしまった。私は、まさにリアリズム。現実的に、何をどういうプロセスで実行できるのかをしっかりと踏まえたうえでないと、無責任なことは言わないという姿勢で、その後の7年8カ月やってきたし、これからもやっていく。この姿勢を感じていただきたい。今度は、できることしか言わない枝野だと信頼していただき、払しょくできると思っている。
2009年からの政権が必ずしもうまくいかなかったことで不安を持たれている方は多いかもしれないが、その3年3カ月の間においても、防災服を着ていた私に対しての一定の信頼は、国民の皆さんからいただけたと自負している。
日中関係
記者) 日中関係を改善するために、日本が最もできる重要なことは何でしょうか。また、中国は日中関係改善のために何をするべきでしょうか?
枝野) 日本と中国の関係は、今のようなお尋ねに答えられるような単純なものだと思っていない。日本としては、例えば香港やチベットの人権問題に対しては、厳しい姿勢で臨まなければならない。日本政府がこれに対して遠慮がちであることを問題視している。
あるいは、台湾問題も含めて、南シナ海などに対する軍事的プレゼンスを強化していることは、甚だ遺憾に思っている。
一方で、さまざまな歴史的な経緯、それに基づく問題について、中国国民の国民感情を無視するような行動は、日本政府としてとるべきではないと思っている。
解散総選挙
記者) 昨日の佐賀市での演説で、「次期総選挙で政権交代を」との見出しが報じられている。動画を拝見すると、選択肢とおっしゃってはいるが、必ずしも具体的なスケジュール感をおっしゃってるとは理解できなかった。そういう理解で合ってるのか。具体的にいつまでに政権を取るといったスケジュール感があれば、お聞かせいただきたい。
枝野) いつまでに政権をとるかというのは、試験勉強ではないので、スケジュールを立て、それに基づいて進めていく性質ではない。そして小選挙区を中心とする衆議院の選挙制度をとってる限りは、最大野党の党首は、次の選挙の後に総理大臣を目指す覚悟がなければ、やってはいけない仕事だと思っている。
私が今あえて選択肢という言葉を多用しているのは、まずは次の総選挙の公示の時点までに選択肢として認めていただきたい。その上で、二つの選択肢のどちらを選ぶのかという選挙で、われわれを選んでくださいという選挙に持ち込みたい。従って、現在はまず選択肢になりたい。選択肢にしていただけるように頑張りたい。こういうことを訴えている。
記者) 大阪での演説で、11月に選挙が開かれるかもしれないという話があった。10月1日には、菅さんが解散を発表すると思われるか。新しい党は早期の選挙の準備はできているか。
枝野) 大阪での発言の後、政府与党筋より、10月下旬に次の国会召集という方針だとの情報が出た。これが確かならば、一番早いケースで12月の選挙だと思う。国会をその時期に開いてしまったら、オリンピック関連、中止を決めない限りは、法案を年内に処理しなければならないなどという政治日程があるからだ。ただわれわれは、常に一番早い場合ということを想定しなければならない。国民生活を全部無視して、一番早くやってくるケースとしては、11月はゼロではないので、それに向けた準備をしている。
政権の選択肢として認めていただくために、少なくとも定数の半分以上、233人の候補者を揃えるということは、最短のケースでもできるように最大限努力をしている。
気候変動問題
記者) 多くの国々と違って、日本では地球温暖化や気候変動はそれほど政治の議論にならない。自民党総裁選のときも、1回も地球温暖化と気候変動について聞かなかった。それは異常だと思われるか。その理由は何だと思うか。
枝野) 地球温暖化などの地球環境問題について、国民生活との結びつきについて、きちっと政治が説明をしてこなかったことに大きな問題がある。ただ、地球温暖化の影響で、水害が増えたり、魚の取れる種類が大きく変化したりし、1次関連産業の皆さんは、地球温暖化による影響についてかなり深刻に受け止めている。
私は結党後、自然エネルギー立国を目指すと言ってきている。説明をしっかりとすると、1次関連産業従事者から、大変良い反応をいただいている。これまで政治が実態よりも軽視してきた分野だけに、われわれがしっかりと説明することによって、多くの皆さんの期待を新しい立憲民主党に集めることができるし、したいと思っている。
自然エネルギー
司会) 新しい党は、脱原発をめざすのか。
枝野) 原子力エネルギーを発電に使わないという方向に向けて、できるだけ早く実現をするということは、わが党の明確な立ち位置である。それこそ自然エネルギー分野の成長によって、エネルギーの供給量や価格という点では、もはや時間の問題で解決できると思っている。
一方で、使用済み核燃料の扱いをどうするのか。これまで原発を受け入れていただいていた地域の未来をどうするのか。関連する雇用をどうするのか。廃炉や使用済み核燃料を保管する上でも、原子力関連の技術・知識は発展させなければいけない。これをどうしていくのか。このような、地に足のついたリアルな課題が残されている。ここに正面からしっかりと向き合って解決に向けた努力を進めていきたいと思っている。
辺野古新基地建設問題
記者) 沖縄の米軍基地について。辺野古移転に関する政策について教えていただきたい。
枝野) 辺野古の新基地を建設しなくても、アメリカの西太平洋におけるプレゼンスを維持することは十分可能であると考えている。これは、一種、アメリカの内政問題でもあると思っている。つまり、米軍の中における海兵隊の存在意義や存在感などと絡んだ、米国内のパワーバランスが、解決に向けての大変重要な要素だと思っている。
私たちは、日米同盟が大切だと思っているので、強引な進め方はしないが、きちっと米国とコミュニケーションをとって、粘り強く交渉すれば、辺野古新基地なき普天間の危険除去は可能だと思っているので、そこに向けた努力をしたい。
司会) 辺野古での新規建設に反対という理解でよろしいか。
(枝野) まず現時点では工事を一旦停止した上で、米国と協議をして、合意の上で中止をする。
経済政策
記者) 新しい立憲民主党は、自民党と同じような財政・金融政策をとるのか。
枝野) 金融政策は、これだけ緩和している状況を簡単に変更できない。誰がやってもできないと思う。それから、財政規模を縮小するようなことは、ちょっと不可能な経済状況だと思う。したがって、財政規模は維持、あるいは場合によっては拡大をしながら、その使い道をより効果的なものにする、それによって経済をしっかりと着実な成長軌道に乗せ、緩和された金融のもとでの投資等が着実に回復していくようにする。そのプロセスを踏んだうえでないと、財政の基本方針や金融の基本方針は変えることが不可能だと思っている。
記者) 金融政策について。政権を取った場合、少なくとも金融緩和に関して出口を探し始めるという意思表示をされるのか。また、政権のそうした意向をもとに日銀の総裁が選ばれることについて、どう思われるか。
枝野) 今、出口を探し始めるというアナウンス自体が、マーケットを大混乱させるだろうというのが、残念ながら実態だと思うので、そういう発信はしない。しかしながら、常に出口のことを意識できる人事を、可能な範囲でやっていきたい。
日銀総裁の件に関しては、本来、政府と一定の緊張関係がなければいけないにも関わらず、日銀の政策選択の中身よりも、一体と見られているような姿勢は、やはり問題だったと思う。
移民政策
司会) 日本の人口が毎年40-50万人減少している中で、GDPの240%の債務がある。この返済や経済復興をどうするのか、外国メディアではよく議論されている。日本は積極的な移民政策をとるべきだと思うか。
枝野) あるべき論としては、日本に移り住みたい方に対して、寛容の精神をもって幅広く受け入れることが、本来は正しいと思っている。しかし、これまで安い労働力として扱い、社会保障や家族の教育など、しっかりした受け入れ体制がないまま外国人労働者を受け入れているという大変深刻な問題がある。この問題をきちっと解決しないまま移民を受け入れると、お互いの不幸を産み出す。受け入れ可能な客観状況を創り出すことに時間をかける必要がある。
司会) ぜひ約束していただきたいことがある。今までこちらのFCCJで、現役総理大臣として話をしてくださったのは、小泉さんが最後だった。枝野総理が誕生したら、ここにいらしていただけるか。
枝野) ぜひ、来年の今頃に来たいと思う。