枝野幸男代表は18日、福岡市を訪れ、党福岡県連結成大会に出席し講演を行いました。枝野代表は大会に先立ち、大学生と意見交換を行い、大会後には市内で街頭演説を行いました(写真上は、結成大会の終わりに、現在行われている宗像市議会議員選挙と、来年1月末に行われる北九州市議会議員選挙での必勝を祈念し山内県連代表のかけ声で「勝つぞ」コールを行う枝野代表ら。新型コロナウイルス感染防止のため発声ではなく鳴物を使用)。

■学生との意見交換

 大学生との意見交換は、議員インターンシップに参加経験のある大学生11人と枝野代表、城井崇、山内康一両衆院議員、田中慎介福岡市議会議員で行われました。

 学生からは、(1)なぜ日本は核兵器禁止条約に参加しないのか(2)若者が政治参加しやすくするための方策、どのように政治に参加してもらいたいか(3)大学生へのコロナ禍での支援がなぜ少ないのか(4)原発ゼロに向けた考え方(5)社会保障の充実と財政との関係(6)教育の都市集中化(7)地域コミュニティの確立が重要ではないか(8)政党が共感を得るために何を訴えかけるのか――といった質問がありました。

 枝野代表は、日本は核兵器禁止条約に参加について「核の問題というより日米同盟をどう考えるかの問題」と語り、日米同盟があるから日本が核兵器禁止条約に参加しないという理屈にはならない、参加する交渉は可能であるにも関わらず。それすらやっていないのはおかしいと指摘。参加する方向で日米交渉をはじめたほうが良いと語り、唯一の被爆国としての世界の中での期待に応えることができないのではないかと指摘しました。

 若者の政治参加については、コロナ禍でのリモート授業や子育ての中で保育所の問題に気づくなど、生活に結びついたときに政治に関心を持つようになると語り、関心を持っている人に持ち続けてもらうようにするのが政治の役割だと話しました。また学校での教育は必要ではあるものの、受験に必要のない科目では効果が薄いのではないかといった見解を示しました。

 選挙の際、自信を持って投票できないと語る学生に対しては、「大人でもすべての主張を分かった上で投票しているわけではない」と話し、「選挙は、その時手にでき得る情報での判断であり、必ずしも正しい判断とは限らない」と語り、数を持っているから何をやってもいいということにもならないし、一つひとつの判断は正しくないかもしれないけれど、長い目で見たら他の方法よりも一番正解に近い判断をするのが民主主義だとして、気楽に考えていいと少しでも理解してもらいたいと語りました。

 大学生へのコロナ禍での支援について、学生から現在のリモート授業は「通信講座と同じような内容であるにも関わらず、学費は高い。今の授業で価値に見合わない」といった意見が出ると、特に実習や実技が必要な学部学科などの授業は対面でないと意味がない、それを補う必要があると指摘。さらに支援が足りないのは、受益者が誰なのか日本の教育政策で間違っているからだと話し、今の政府は個々の学生だけだと思っているが、社会全体も受益者だと指摘し、そうした発想に転換しないと本質的な解決にはならないと語りました。さらに多くの学生が貸与型奨学金に頼っている状況を変える必要があるとして、少なくとも国公立大学の学費を下げることなど党内で具体策を検討していきたいと語りました。

 原発ゼロについては、電力供給の問題ではなく、使用済み核燃料の問題や雇用などを解決することに時間がかかることを説明。その上で廃止に向かうことを明確に示すことが必要だと語りました。

 社会保障の充実と財政との関係については、金銭等ではなく、サービスそのものを提供する現物給付に転換することが必要だと語り、そのことで公共事業と同じ効果があり、経済対策にもなると説明しました。

 教育の都市集中化については、公立学校の先生の配分を都市部ではない地域に加配すべきだと語り、地域で教育を受ける機会が今よりも多い社会にする必要があると話しました。

 地域コミュニティの確立については、給与所得者ではない人を前提としている従来の共助が成り立たなくなっていると指摘。市役所の職員を増やし市役所のその役割を担ってもらうなどの公助を考える必要があると語りました。

 政党が共感を得るために何を訴えかけるのかについては、人に対して共感は生まれるが政党が共感を得られることはないと語り、人と人とのつながりを構築していくことで、政党への共感が生まれていくのではないかと語りました。

■結成大会

 大会では、城井議員から県連結成に向けた経緯説明があり、山内議員が新代表に選出されました。また来賓として連合福岡会長代理の藤田桂三さんと枝野代表があいさつを行いました。さらに現在行われている宗像市議会議員選挙の上野たかゆきさんと、来年1月末に行われる北九州市議会議員選挙での公認候補予定者の紹介が行われました。

 枝野代表は、目先の効率性と競争ばかりをあおり自己責任を迫るのではない「もう一つの選択肢を作っていかなければならない」と語りました。そして1年以内に行われる総選挙では、現職議員とともに新人も小選挙区で勝つことが必要だとして、「容易なことではないが、潜在的に新しい選択肢を待っている人が多数いる。自信と誇りを持って前に進んでいこう」と述べました。

来賓あいさつをする連合福岡会長代理の藤田桂三さん

■街頭演説

 天神ツインビル前で開かれた街頭演説会で枝野幸男代表は、20年、30年と続いてきた「競争を重視する社会」から「支え合う社会」へと変えていくと目指す社会像を示し、そのために「機能する政府」が必要だと訴えました。書類を隠したり、ごまかしたり、改ざんしたりする政府から、正直にきちんと説明する政権を取り戻すことから始めて、「いざという時にこそ、安心して暮らせる社会をつくっていこう」と呼びかけました。

 演説会の冒頭では、県連新代表に就いた山内康一衆院議員があいさつし、「支え合う社会をつくっていく。格差の少ない社会をつくっていく。弱い人たち、子どもたちが取り残されない社会をつくっていくために立憲民主党福岡県連が立ち上がった。皆さんとともに自民党政治、菅政治に変わるもう1つの選択肢をつくるために頑張ってまいりたい」と決意を示しました。

 県連代表代行に就いた城井崇衆院議員は、大きな固まりとなった新「立憲民主党」をどのような野党第1党にしていくかについて「国会での追及が目立ちがちな野党だが、日本学術会議のような問題でも、(政府が)法律を曲げたら『おかしい』ときちんと言う。さらにどうすべきかの改善の提案もきちんと言っていける野党側の第一の選択肢にしていく」と表明しました。

 そのほか演説会では、司会の稲富修二衆院議員から県連所属の参院議員である野田国義、古賀之士、江崎孝の3議員、次期衆院選の公認内定候補である坪田晋1区総支部長、森本慎太郎4区総支部長、若子直也5区総支部長、青木剛志7区総支部長が紹介されました。