衆院予算委員会で基本的質疑2日目となる4日、立憲民主党会派の4番手として質問に立った石川香織議員は、(1)菅総理の農村、農業に対する姿勢(2)高収益作物次期作支援交付金(3)漁業共済・漁業経営安定対策(積立ぷらす)以上の支援(4)コメ政策をめぐる過去最大規模の減産見込み――など1次産業の課題について取り上げました。

 石川議員は「国家の基本は1次産業だと思っている」と切り出し、1次産業の現場でもコロナの影響を受けていると強調。自身の選挙区(北海道11区)の北海道・十勝地方は、酪農・畜産・水産・林業がある地域であり、食料自給率1200%を誇ることに触れ、そうした現場の声を代表する立場から「菅総理の農政の一丁目一番地の政策は何か」とたずねました。

 これに対し菅総理は、「地方活性化させるためには、農業は強くならなければならないと思っている。農林水産業は、海外に流出すべきだと考える」などと答弁。菅総理は所信表明演説でも、食品・農林水産物の輸出額を2030年までに5兆円に引き上げるとする目標にとどまるなど、規制改革会議、経済重視の政策に偏っていることから、石川議員は「例えば、この30年間で若手の農業者が100万人減っていると言われている。自給率も先進国のなかで最低基準。コロナ禍で自国で食べ物を供給していく大切さも痛感した。輸出の大切さも否定はしないが、もっと重要なことがあるのではないか」と提起しました。

 石川議員は加えて、菅総理のホームページに載っている、「年功序列、地方優先政治の打破」との文言や、地方交付税制度の見直しなど過去の発言にも触れ、「農業・農村のみならず、地方に目を向けてくださっているのか、過去の発信、発言を含めて疑問に感じている。地方切り捨ての危険な発想ではないか」とただしました。

 今年度第1次補正予算で措置した「高収益作物次期作支援交付金」をめぐっては、政府は10月12日に「交付予定額が減額又はゼロとなった生産者であって、かつ、事業開始(4月30日)から10月の運用見直しまでの間に、次期作に向けて、新たに機械・施設の整備や、資材等の購入又は発注を行った生産者」と要件を変更。現場から困惑、不満の声が噴出したことを受け、同月30日、運用見直し以前に本交付金を見込んで、機械や資材投資など積極的な取り組みを行った生産者に対しては追加の支援措置を講じることとしました。

 石川議員はこうした事態を、制度設計の甘さにより現場が混乱していると問題視。追加措置がすでに機械や資材投資などを行った者に限られていることにも、「不公平だという声がある。投資を予定していた人には支援すべきではないか」とさらなる支援を求めました。野上農林水産大臣は運用見直しにより混乱を招いていることは謝罪する一方、さらなる支援には「国民の理解を得ることは難しいと考える」と否定。石川議員はそもそも制度の趣旨が、コロナによる減収とは関係なく次期作に前向きに取り組む生産者を支援するものだと重ねて指摘。「3次補正予算で最初の約束通り交付するのが筋ではないか。私は(電話などで声を寄せてもらった)生産者を代表して質問をしている。いつまでに、しっかり払うと答弁して農家の方を安心させてほしい」と迫りましたが、菅総理からは明確な答弁を得られませんでした。