参院本会議で20日、予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案に関する趣旨説明質疑が行われました。
予防接種法の改正案は、ワクチンの接種を国民の「努力義務」と位置づけ、接種は市町村が行い、費用は全額国が負担すること、健康被害が確認された場合は、医療費の支給などを行うほか、健康被害を受けた人に製薬会社が賠償した場合は、国が損失を補償すること――等を盛り込んだもの。検疫法改正案は、指定感染症の指定を1年以内に限り延期できるようにするものです。
立憲民主党からは川田龍平議員が登壇し、(1)医療従事者への報奨金(2)Go Toイート事業、Go Toトラベル事業の実施(3)基礎疾患の具体的な疾患名、基礎疾患と重症化予防に対する対策(4)ワクチンの情報提供体制(5)ワクチンの安全性情報の収集・評価・提供の責任(6)損失補償契約の基準について(7)ワクチンを受けない国民、受けられない国民の人権(8)ワクチンの製造販売承認における信頼性の確保と迅速なリスクベネフィット判断と結果公表――等について菅総理をはじめ関係大臣の見解をただしました。
川田議員は、政府のGo Toイート事業やGo Toトラベル事業について、コロナ禍でダメージを受けた飲食業者や旅行・観光業者への支援の必要性は認めた上で、甘い制度設計により一部に恩恵が偏っていること等を問題視。新型コロナウィルスの感染拡大が再々流行の兆しを見せているなかGo Toトラベル事業の取扱いを議論すべきではないかと提起しました。
これに対し菅総理は、これまでGo Toトラベル事業を利用した延べ4千万人以上のうち、判明した感染者は173人だと強弁。食事のあり方を見直すよう、各都道府県に要請したなどと述べるにとどまりました。
予防接種法の改正案については、「国は、都道府県知事を通じて市町村長に対して臨時の予防接種を指示する」とあることから、「各市町村が実施する運営手順はいつまでに、そしてどの程度詳しく決定されるのか。現在開発されている新型コロナワクチンの種類はさまざまであるなか、現場の市町村はどこまで住民の意向に配慮する必要があるのか。国が必要な数を手配するだけで、あとは市町村に丸投げなどというやり方は現場が混乱するだけだ」と指摘。ワクチンごとに正確かつわかりやすい情報を国民に提供するのは政府の義務であり、国民がきちんと理解した上で接種の要否を自らで判断できる環境を整えるべきだと主張、あわせてワクチンの安全性情報の収集と提供については誰が責任を持って行うのかとただしました。
川田議員はまた、承認審査の合理性と信頼性を確保するという政府の方針を確認。特に安全性の評価については、「迅速性にも配慮しつつも、最大限安全性に配慮をすること、承認後も安全性評価は政府が責任を持って継続し、リスクがベネフィットを上回ったと判断された場合には、迅速に流通を停止し、国民に総理自らが状況を説明する」ことを約束してほしいと求めました。
「ワクチン接種は、社会防衛と安全保障という観点から政府が主体的に実施する公衆衛生上の措置だが、その対象が国民全体であり、国民の命に直結する重要な問題だ」と強調。参考人質疑を前提に専門家からの意見聴取も含め慎重な法案審議を強く訴え、質問を終えました。
同日の本会議では、超党派の議員が提出した、地球温暖化対策に国を挙げて取り組む決意を示す「気候非常事態宣言決議案」の趣旨説明、採決が行われ、全会一致で可決しました。同決議案の趣旨説明は、立憲民主党の福山哲郎議員が行いました。