21日青森県入りした福山哲郎幹事長は、弘前市内で開かれた、山内崇・青森県第3区総支部長主催のタウンミーティングに参加。「すべてを一緒くたにして語れない時代が来た。皆さん一人ひとり違う事情のなか、なるべく皆さんの声に応えられることとはどういうことなのかを考え、それを中央に持っていく」と力を込めました。
地域でミニ集会を重ねた山内崇総支部長が、そこで聞いた話と、そこから作り上げた政策をまとめた冊子、青森ビジョン「#変わる時代でも変わらず青森でいきたい」も配られた同日のミーティング。政治家が話をし、それに対して出席者が質問する、意見を言うという、従来のスタイルとは異なり、ミニ集会と同様に聞くことに徹し、参加した14人から地域の課題、そこで暮らす一人ひとりが抱えている不安や不満の声に耳を傾けました。
新型コロナウイルス感染拡大による影響について、生まれてからずっと弘前で暮らしてきたという、地元のスーパーでパート勤務している女性は、コロナ禍の巣ごもり生活で一時的には売り上げが落ちたものの、そこまでの打撃はなかったと話す一方、司会業の女性は「いまだにイベントやパーティーはゼロに近い」、接待を伴う飲食店を営む男性は、緊急事態宣言解除後少しずつ良くはなっていたが、10月の弘前市内での大規模なクラスター発生後は、平日は予約のみとし、従業員も出勤できる人に限っているとして、「とにかく店から感染者を出したくない、ただ売上も上げなければいけない」と、厳しい現状を語りました。
アパレル関係の店を3店経営する女性は、「前年対比50、60%くらいまで落ちている状況。10月のクラスター発生以後、4月、5月よりも、県外などから来てくれていたお客さんが弘前に来られない状況。仕事で東京に行きたくても、行くと帰ってきてから2週間、同居している母親を介護老人保健施設に通わせられなくなる。一方でGoToキャンペーンというのは矛盾を感じる」と指摘。精米所を経営する農業者は、高齢化と後継者不足による慢性的な人手不足に加え、業務用米の多い青森県では、インバウンド需要や外食産業での使用の減少により落ち込み、売上はじわじわと減っていると嘆き、3月まで介護職で働いていた女性は「密を避けるためと言ってデイサービスに通えなくなっているお年寄りがいる。この状況が長期化すると人と話もできず、ボケてしまうのではないか」と不安の声を上げました。
また、夫とともに東京から移り住んだという女性は「最低賃金を上げてほしい」と発言。結婚して2年、1歳半の子どもの父親である男性は、「2人目をほしいと思っても、希望する保育園に入れらないのが現状だ」と述べ、中高所得層に対する児童手当を削って、待機児童対策の財源にするという政府の案に、「子どものための投資を子どものための予算から取ってくるのはいかがなものなのか」と問題提起しました。「いろいろな仕事をしてきたけれど、飯炊きの仕事が一番長い」という女性は、時々食事を提供しているという知人の環境・地球温暖化問題の研究家が「いまの政治家は環境党を作らないと地球は成りたたない」と言っていたと紹介、「海が汚くなっているのは素人の私でも分かる。陸奥湾は汚い海だと思っていなかったが、現場に行ってびっくりした。ほたてもほとんど採れなくなっている」などと話しました。現在コンビニを2店舗経営している男性からは「将来的には立て直して、昔のような人とつながりがある店、場所を作りたい」という夢も語られました。
福山幹事長は、「持続化給付金はもらいましたか」「アルバイトの学生でも休業支援金を受け取れるかもしれないのでしっかり調べてみてください」などとアドバイス。児童手当の削減をめぐっては「まったく同感」、最低賃金については、引き上げとともに、それによって中小企業などがつぶれるような状況を作らない政策が必要だと主張、「バランスを考えながら、引き上げ分を例えば国が補填するといったことも含めて考える必要がある」と述べました。地球温暖化問題については、自身が政治家を志した原点だとして「その方と話が合うと思うから、僕が行くときはぜひ食事を作って(笑)」と言葉を交わしました。
「それでも弘前・津軽が好き」という声を受け止められる政治でありたい
山内総支部長は、今回のミーティングに、医療・福祉関係の方が職場の事情で参加できなかったことにも触れ、「保健所の体制のぜい弱さ、いまだに検査を受けられないというのは何なのか。GoTo(キャンペーン)の前にやることがあるだろうというのが地方の思いだ。『(医療従事者への)慰労金5万円も、ないよりはいいけれど、まずは検査をさせてほしい』というのが現場の声だ」と代弁。そして、冊子としてまとめるまでの取り組みを振り返り、「皆さんは皆さんであり、皆さんは他の人の代表だと思っている。ボトムアップ、草の根(の政治)、どうしたらいいのかなあと考えてきたが、声を聞かせていただいてありがたかった。政治の仕事をしてきて、自分のことを語ることばかり考えてきたが、この1年ほど皆さんからの話を聞くことに徹してきて、どれだけ聞くことが大切か。もっともっと皆さんの話を聞いていればもっといい人間になれたかもしれない(笑)。そのことを反省していた。この地域に一人ひとりの熱い思いがある。確かに、所得が低かったり、さまざまなハンディを抱えている。それでもこの弘前が好き、津軽が好き。そういう人たちの声を受け止められる政治でありたいと思う」と話しました。
政治はやる人によって絶対変わる
最後に福山幹事長は、「こういう形で本当に現場の、地域の皆さんの声を聞かせていただけて、本当にありがたい。すべてを一緒くたにして語れない時代が来た。それぞれの事情によって全然違う。だからこそ、それぞれの立場にある皆さんの声を聞くことが大事なのだと思う」とコメント。枝野代表の「あなたのための政治を立憲民主党はやる」という発言について、「1000人、1万人の方の事情を直接聞くことはできなくても、こうした場で一人ひとりの方の事情を聞けば、それぞれ違うことが分かるということ」だと説き、「あなたたちの事情を聞かせてください。それに合わせて、なるべく皆さんの声に応えられることはどういうことかを考え、それを中央に持っていく。大きな予算をどんとつければみんなが豊かで成長して幸せになる時代ではなくなっているのだと思う」と力を込めました。
最後に、県庁職員から政治家になり、県議会議員を4期務めた山内総支部長に「皆さんそれぞれの『あなた』の事情を聴いたうえで国会に来てもらいたい。一人ひとりの声を聞く活動を続けている山内さんに、皆さんの声を届けてもらいたい」と激励。「多くの人は『政治は誰がやっても同じ』だと言うけれど、僕は自分の政治信念として、政治はやる人によって絶対変わると思っている。だから僕らは、政権を担ったときに『子ども手当』を創設したし、今回のコロナ対策で補正予算を組む時に、学生への支援や休業支援、雇用調整金の引き上げ、家賃支援、ひとり親世帯への給付金といったことを与党よりも早く声を上げた。それは全国で、こうして話を聞いている仲間がいるから。その声を受けて政府に求めたことで、実現した政策がいくつもある。誰がやっても同じでない政治を、青森でもやってもらいたい。本気で伝えてくれる山内さんに期待をしてほしい」と呼びかけました。