28日、枝野幸男代表は群馬県を訪問。幼保連携型認定こども園が運営する夜間保育園である「ゆたか第二保育園」(伊勢崎市)を視察するとともに、子育て中の親、障がい福祉の当事者、福祉事業従事者らと「子ども・子育て・障がい福祉」座談会で意見交換を行いました。その後、衆院群馬2区選挙区の堀越啓仁衆院議員が主催した国政報告会、衆院群馬4区選挙区の角倉邦良総支部長が主催した総支部長集会に参加し、講演を行いました。さらに介護施設などを運営する経営者らと会談。コロナ禍における県内施設の運営状況等についてヒアリングしました。

※この日行われた集会は、換気や検温、マスクの着用やソーシャル・ディスタンスをとるなど、新型コロナウイルスの予防対策を行う環境の下で、それぞれ開催しています。また県を訪れた枝野代表を始めとする党関係者らは、事前にPCR検査を受けた上で参加しております。

■夜間保育園「ゆたか第二保育園」の視察と、「子ども・子育て・障がい福祉」座談会

 県内で唯一、幼保連携型認定こども園が運営する夜間保育園である「ゆたか第二保育園」(伊勢崎市、社会福祉法人植竹会)を訪れ、島田峰子園長から話を伺いました。また同園内で開催された「子ども・子育て・障がい福祉」座談会にも参加。子育て中の親や障害福祉などの当事者、福祉事業に従事する方々を中心に「今まで経験した辛いこと、悔しいこと、政治社会の仕組みの中で率直に思うこと」などに関する意見交換を行いました。

(1)夜間保育園、「ゆたか第二保育園」
島田峰子園長の説明を受ける枝野代表

 島田峰子園長からは、(1)伊勢崎市のニーズ調査で、19時以降の保育を希望する保護者が多かったために夜間保育を始めた、(2)現在、午前8時から午後10時まで、0歳から5歳までの子ども計50数名を預かっている、(3)子どもを預ける親の特徴について「水商売に従事するシングルマザー」といった一般的な思い込みとは裏腹に、共働きの会社員が圧倒的に多く、業種も多岐にわたる――といった説明がありました。

島田峰子園長

 園が直面する当面の課題としては、(1)預かりが深夜に及ぶ場合もあるため、その際の送り迎えのための車の手配、(2)延長保育についての支援は特になく、園の財政的な負担となっている、(3)利用者の多い土曜日における職員確保の難しさ、(4)泊まり保育の必要性――といった点が挙げられました。また「家庭訪問型子育て支援」といった、新しい形の支援を始めたことについても説明がありました。

(2)「子ども・子育て・障がい福祉」座談会

 子育て中の親や障がい福祉などの当事者、福祉事業者などが参加した「子ども・子育て・障がい福祉」座談会では、参加者が自分たちが直面した困りごとについての体験談や意見を参加者が語りつつ、司会を務めた堀越衆院議員、加賀谷富士子県議、入澤繭子前橋市議、そして枝野代表が時折、質問に応じて自身の見解を挟むという形で進行していきました。座談会では、障がい者福祉、学童デイサービス、学童クラブ、学校教育、生活保護――等といった多岐にわたるテーマが参加者より投げかけられました。

堀越衆院議員
加賀谷県議
入澤前橋市議

 フードバンクを運営し「コロナ禍で、群馬県内でも困窮する方々が急速に増えてきている」と指摘した参加者からは、「生活保護を受けると車を所有することができないが、群馬県は車社会。車がないと仕事が見つからない」「あと2日で食料がなくなるという生活保護受給者への食料支給が、法的なルールで禁止されている」といった、生活保護制度自体の問題点を指摘する声が聞かれました。

 枝野代表は「生活保護の制度は、元々少数の人間を支援するためにできたため非常に制約が多い。ところがそれが今や、多くの人々にとってのセーフティーネットとなっており、ものすごく大きなズレが生じてしまっている。地域に任せると今よりひどくなるところが何割かは出てくるので、完全には地域には任せられない。しかしその一方で、『生活必需品』というのは、群馬県における自動車の例でも見られるように、地域によってバラバラだ」と指摘しました。

 また住んでいる地域によって、受けられる福祉・教育等のサービスの水準が、得てして不均一となりがちなことについて枝野代表は、「全国一律の水準をつくると、水準が低い自治体に合わせて基準がつくられてしまいがちだ。水準が低すぎるところは国が指導すべきだが、子育て先進自治体の兵庫県明石市のように、進んでいるところはどんどん進んでもらい、他の自治体はそれに倣ってもらうのが一番よいのではないか」とも述べました。

 そして最後に「今日は、大変重い宿題をいくつもいくつもいただいた。現場の皆さまのご意見は、国政にとって宝の山です」と貴重な意見を寄せていただいたことに対する感謝の言葉が述べられ、座談会は終了しました。

■堀越けいにん国政報告会(伊勢崎市)

堀越衆院議員

 国政報告の中で、堀越衆院議員は「社会のベーシックサービスにかけるお金がどんどん削られてきてしまっている。政治のこれまでの新自由主義的な方向性が誤りだったと言わざるを得ない。行き過ぎた新自由主義は格差をもたらし、経済の起爆剤にはならない一方で、低所得で苦しい思いをしている皆さんにさらなるしわ寄せをもたらしてしまう」「自己責任には限界がある。お互いさまで支えあう社会をつくっていかなければいけない」と政治の方向転換を強く訴えました。

■かどくら邦良群馬4区総支部長集会(高崎市)

 角倉総支部長は、数十年にわたる自身と枝野代表との関係を紹介し、「ご承知の通り、枝野代表は国民民主党や無所属、社民党の皆さんも含めた新たな立憲民主党の下で代表として、次期の衆院選で政権交代を目指している。私が衆院選での立候補を決断したのもその運動をこの4区で担い、枝野代表を総理大臣にするため。大変厳しい選挙区であるこの群馬4区の小選挙区で勝って、枝野政権を実現していく」と意気込みと決意を語りました。

角倉総支部長

■「医療・高齢介護・福祉」座談会 

 県内で医療福祉関連施設や介護老人福祉施設などを運営する経営者らから、コロナ危機についてご意見や提案を伺いました(高崎市内で開催)。

 介護老人福祉施設の運営者からは「感染症の感染予防策を徹底しようと思っても、認知症を患う入居者にそれを守ってもらうのは難しい。また1人のスタッフが複数の入居者を介護することから、クラスターが発生しやすい。介護従事者には、できるだけ早くワクチンの対応をしてほしい」といった声や、「万一の場合の小規模介護事業者を支援するバックアップ体制を敷いていただけると大変有難い」といった意見が寄せられました。

■記者団とのぶら下がり会見

 高崎市内で行われたぶら下がり会見で、衆院選に向けた準備について尋ねられた枝野代表は「5つある選挙区のうち3つは決まっている。しかも2人は現職。全国と比較する中では一定の体制ができつつある」との見方を示しました。さらに「今、群馬1区でも公募をかけて公開討論会を開く予定だ。そこで幅広い支持が得られるような良い方を候補として挙げてもらえればと考えている」と述べました。