新型コロナウイルスの感染が急拡大、年末年始に深刻化が懸念される事態を受けて立憲民主党は2日、感染拡大防止策の実効性を高めるために2本の議員立法(1)「新型インフルエンザ特別措置法及び感染症法改正案」(2)「出入国管理及び難民認定法改正案」を共産党、国民民主党、社民党と共同で衆院に提出しました(写真上は、新型インフル特措法改正案を提出する今井議員ら)。

新型インフルエンザ特別措置法及び感染症法改正案

 「新型インフルエンザ特別措置法及び感染症法改正案」は、現行法では国と地方の権限が曖昧で実効性が不十分あることから、(1)都道府県による緊急事態宣言発出等の要請(2)国・都道府県・市町村間の連携強化(3)医療・検査体制の強化(4)緊急事態宣言下における立入検査(5)給付金の支給等――地方の役割拡充と国の支援強化、感染予防措置等を講じるというもの。

 立憲民主党から今井雅人内閣部会長をはじめ、後藤祐一、川内博史、柚木道義各衆院議員が事務総長に法案を手交し、提出後、記者団の取材に応じました。今井議員は、政府が現行法の欠陥を認めているわけだから、「私たちの提案をしっかり受け止め、国会延長して質疑を行い、そして成立させてもらいたい」と力を込めました。

 後藤議員は、感染症に関する国と県の負担割合の明確化が財政法上の義務であるにもかかわらず、現状ではそれが曖昧な状態になっていると指摘。「そこについてこの法案の中で明確にしているので、ぜひ地方の目線から見たときの感染症対策をはっきりとできる形にしているという点も理解してもらいたい」と述べました。

 川内議員は、現行法の国と地方の間の情報共有に欠陥があると指摘。重症者数の基準に関して、東京都基準だと60から70人であるのに対して、国の基準だと250人超となる事例を示し、「本法案の中で情報の共有をしっかりと図っていくことも目的として条文化している」と説明しました。

インフル特措法改正等ポンチ絵.pdf
特措法・感染症法・入管法改正案概要.pdf
【要綱】新型インフル特措法及び感染症法の一部を改正する法律案.pdf
【条文】新型インフル特措法及び感染症法の一部を改正する法律案.pdf
【新旧】新型インフル特措法及び感染症法の一部を改正する法律案.pdf

出入国管理及び難民認定法改正案

 「出入国管理及び難民認定法改正案」は、政府が上陸拒否事由にしている「日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがある」という規定がテロリスト等を想定したものであり、対象者が広範囲に及ぶものであることから、特定の感染症流行地域からの入国など、ウイルスを侵入させるおそれのある人の入国を拒否することに限定する事由を追加し、法的根拠を明確化するというもの。

 立憲民主党から法務委員会筆頭理事の階猛、篠原孝、稲富修二各衆院議員が事務総長に法案を手交し、提出後、記者団の取材に応じました。階議員は、政府が入国を拒否している事由の法的根拠が明確でないことから、「法的安定性を保つために明文で上陸拒否事由を定めるべき」との思いから法案提出に至ったと説明しました。篠原議員も政府が法的根拠を持たずに閣議決定で対処してきたことを「あんまりだ」と批判しました。

【要綱】出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案.pdf
【条文】出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案.pdf
【新旧】出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案.pdf