会派厚生労働部会、党子ども・子育てPT(プロジェクトチーム)、ひとり親など支援WT(ワーキングチーム)合同会議等が7日、国会内で開催され、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が感染拡大する中、子どものいる困窮世帯、医療機関等や従事者への支援、大企業で非正規雇用で働く方への休業支援などを取り上げてヒアリング、協議を行いました。

 冒頭、長妻昭厚生労働部会長は「新年早々、緊急事態宣言を本日決定、明日から実施ということになった。この間の政府の対応がチグハグ、後手後手に回って日本は最悪に近い状況にまで陥っている。昨年も厚生労働部会中心に立憲民主党、あるいは野党全体で相当政府に要請して、それぞれ成果が出ているが、まだまだ不十分だ。政府の足らざるところを野党がきちっと埋めて行かないと日本が崩壊しかねないという強い危機感、責任感をもって今年も取り組んで行きたい」とあいさつしました。

 党子ども・子育てPTの岡本あき子事務局長は、年末に地元で住まいを失った方々への炊き出し等に参加したと報告し「弱い立場の人がさらに厳しくなっているという現実を踏まえて、子ども・子育て、子どもを持つご家庭を支えるために一丸となって声を出していきたい」とあいさつしました。

しんぐるまざず・ふぉーらむ事務局 小森雅子さん

 合同会議ではまず、しんぐるまざあず・ふぉーらむ事務局の小森雅子さんからひとり親世帯等の状況についてヒアリングを行いました。昨年12月、ひとり親臨時特別給付金の再支給が決まり、ほぼすべての自治体で年内で支給されたとの報告がありました。同団体が行ったアンケートには186人から回答が寄せられ、給付金の使途は主に生活費、食費、学費・教育費にあてられていることが分かったとの報告がありました。「雪が降り冬ブーツを買えずに子どもはいつもスニーカー。今どき、しもやけになってしまい、今日靴屋で冬のブーツを買いました」「今回、再支給がなかったらわが家では年末年始を迎えるどころか、電気が止まって真っ暗なお正月になっていたと思います。どうも有難うございました」「何故ひとり親世帯だけという世間からの反発もありましたが、実行してもらえたことに感謝しております」などのアンケートに寄せられた声が紹介されました。

ひとり親臨時特別給付金再支給について186人の回答.pdf
 一方で、厳しい状況が続いているので給付金の継続を要望する声が多いこと、別居中・離婚調停中で給付の対象とならない方への支援が必要なこと――等の課題について説明があり、参加議員と意見交換をおこないました。
 こうした要望を踏まえ、ひとり親世帯に加え市町村税非課税者相当の世帯に対し、本年1月と3月に臨時特別給付金を追加給付するための議員立法「児童の属する低所得世帯に対する支援に関する法律案」(仮称)の立法作業を進めることを確認しました。

 緊急事態宣言下における子ども子育て関連施設(保育所、学童保育、子育て支援センター等)に対する対処方針について、厚生労働省からヒアリングしましたが、詳細について公表できる段階にないとの説明だったので、後日あらためて説明を受けることになりました。

 続いて会派厚生労働部会に切り替え、昨年12月25日に閣議決定された新型コロナ患者の入院受入医療機関への緊急支援について厚生労働省からヒアリングしました。

 参加議員からは、今回の緊急支援を一定評価するものの、「医療従事者不足がどの程度解消されるのか」「入院待機者の解消に資するのか。医療崩壊を食い止められるのか」「1人あたりどれくらいの手当が支給できるのかあいまい」「院内で感染拡大防止に等に要する費用は全額支給にすべきではないか」「COVID-19に対応する医療機関への支援」「新型コロナウイルス対応医療機関に応援を派遣する側の病院に対しても支援すべきではないか」「新型コロナウイルス対応病院から患者を受け入れる病院がなく、退院できないという目詰まりが起きている」など多くの課題が指摘されました。
 こうした意見も踏まえ、医療機関や保険薬局、介護・障害福祉サービス事業所、子ども・子育て支援施設等で働く人を対象に慰労金を支給する議員立法「コロナ対応医療従事者等慰労金法案」(仮称)の立法作業を進めることを確認しました。

関根秀一郎派遣ユニオン書記長(右)とホテル配膳員の方々

 続いて、大手ホテルでシフト制の配膳員として勤務し、昨春から休業状態が続く中、会社から休業手当を受けられず、国の休業支援金・給付金についても対象が中小事業主であるため支給の対象外となってしまっている方々の問題を取り上げ、厚生労働省からヒアリングを行いました。

 厚生労働省が昨年11月に休業支援金の対象外となっている大企業25社に対し雇用調整助成金の活用を勧奨する文書を送付していますが、その後企業が休業手当を支払ったかどうかを把握していないことが明らかになりました。
 この問題で企業側との交渉にあたっている派遣ユニオンの関根秀一郎書記長と当事者お2人からもお話しを伺いました。関根書記長は、「大企業でも中小企業でも多くの非正規雇用の人たちが休業手当が払われなく非常に困っている。中には生活が破綻し、路上に放り出されている人も少なくない。10年以上にわたってフルタイムで働いているにもかかわらず、3月からまったく仕事が入らずに休業手当が1銭も出ない状態でもうすぐ1年になる。労働基準監督署にも申告したが、監督署は『指導できません』ということで投げ出さてしまった。その後、休業支援金という中小企業で働く非正規の人たちには払われるようになったが、彼らはホテルが大企業だということで払われていない。しかしながら、大企業で働く人でも日雇い労働者、登録派遣型労働者、彼らのようにシフト制で働く労働者は沢山いる」と経過を説明しました。
 また、同じ会社で非正規のうち社会保険に加入している少数の人たちは休業手当が支払われ、彼らのように社会保険に入れてもらえなかった人たちは休業手当の対象にならないということは、同一価値労働同一賃金の規定に違反するおそれが極めて大きいと指摘しました。
 当事者の方々は、「都内大手ホテルで8年間シフト契約で勤務してきた。コロナという思いもよらない事態により、正規労働者との格差というものをまざまさと思い知らされた。正規の方と全く同じ労働条件で長年にわたり勤めてきたにもかかわらず、シフトが入らないことを理由に10ヶ月に及び休業手当が1円も支給されず、何の補償もなく今まで過ごしてきた。国からの休業支援金・給付金は私たちに救いの手が差し延べられたかと思ったが、私たちは対象外だった。大企業という壁に阻まれた。私たちは大企業に勤めていたけれども、会社は大企業としての振る舞いをしてくれるわけではない。中小・大企業問わず、1人ひとりの事情をもっと理解してほしいと思う」「いまは少ない年金をもらいながら家族と何とか暮らしている。ホテルでは20代の学生、30代、40代、50代が多く働いている。若い人たちは、この場にお話しに来る生活の余裕がない。未来のある、一緒に働いてきた若い人たちを助けてあげられる方法があるようにお願いしたい」と語りました。
 参加議員からは、「厚生労働省がもっと強く企業に指導すべきだ」「COVID-19の影響が長期化し大企業の余裕もなくなっているのだから雇用調整助成金の支給の在り方も見直すべきだ」などの意見が上がり、どちらの制度でも救済されない状況を早く解消するよう厚生労働省に強く求めました。

 最後に、緊急事態宣言が1都3県で再発出されることにより雇用に大きな影響が出ることが危惧されることから、雇用調整助成金や休業支援金の延長などについて、近く厚生労働大臣に要望することを確認しました。