立憲民主党は13日、厚生労働部会を国会内で開き、(1)時短要請に応じた飲食店等への休業支援金・給付金、雇用調整助成金の対応について厚生労働省から(2)大企業で働いているため、休業支援金・給付金を受け取ることができない当事者の方から――それぞれヒアリングしました。

 部会長の長妻昭衆院議員は冒頭のあいさつで、同日にも新たに対象地域が大阪、兵庫、京都、愛知、岐阜、福岡、栃木の7府県拡大となる緊急事態宣言の発令により、特に飲食店が苦境に立たされていると指摘。緊急事態宣言で飲食店が営業短縮を要請されたことを受け、本来深夜まで働く予定であったにもかかわらず20時までしか働けなくなった労働者に対して支給される休業手当や、休業支援金・給付金が現場の事業者や労働者に十分周知されていないこと、また、この対象となっていない大企業で働く非正規労働者らには何ら手当をされていないケースが多いことを問題視。「休業」という名称も、周知が徹底しない1つの要因であるとの見方を示し、「ぜひあらゆる手段で積極的にアピールして支えてもらいたい」と呼びかけました。

 厚労省は、時短要請に応じた飲食店等への休業支援金・給付金、雇用調整助成金の対応について、8日に発表した、緊急事態宣言に伴うCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)にかかる雇用調整助成金の特例措置により、休業の助成率を大企業についても3分の2から5分の4、解雇等を行わない場合は4分の3から10分の10とすると説明。企業の規模にかかわらず100%の助成を受けられるようにすることで、大手企業の、特に非正規労働者にも休業手当が支払われるようにすることが趣旨だと強調しました。

 出席議員からは、長妻部会長のあいさつにもあったように、アルバイトの時間が減った時短労働者も休業補償の対象となることが周知されていないとして、名称の変更を含め制度を使ってもらうための工夫をしてもらいたい、緊急時にふさわしい制度設計を、といった声が多数上がりました。これに対し厚労省の担当者は、周知徹底できるようしっかり考えたいと応じました。

 続いて、大企業で働いているため、休業支援金・給付金を受け取ることができない当事者の方からのヒアリングでは、飲食店ユニオンの尾林哲矢さんがまず、中小企業で働く人たちには国から直接休業支援金・給付金が支払われるなか、特に大企業で働く非正規労働者らには、シフトであることを理由に休業にあたらないとして休業手当未払い状態が続いている現状を報告。昨年4月にさかのぼっての支払いと、こうした非正規労働者を休業支援金の対象にした制度、政策を講じるよう求めました。

 当事者らは、国の要請による時短であるにもかかわらず、シフト制のアルバイトであることを理由に労働時間が算出できず休業として認めてもらえない、休業手当を受給できないこと、同じ立場であっても中小企業であれば対象となることに不満をぶつけ、「時短要請に応じない店名を公表するように、支払わない店名を公表してもらうなど踏み込んだ措置を講じてほしい」「企業側が(休業手当が)支払われなければ路頭に迷う。国として労働者を守る手当、補償をする政策を出してもらいたい」などと要望。尾林さんは「休業支援金はほとんど知られていない。せっかく制度を作ったのだから知られてなんぼ」とあらためて周知徹底の必要性を指摘し、「4月の緊急事態宣言後も厳しい状況はずっと続いていて、(当事者として参加した)この二人も給料はほぼ半減、3分の1くらいまで落ちている。住居確保給付金などを使ってなんとか今生き延びている状況。そういった労働者がいろいろな制度を使いながらコロナ禍でサバイバルをしている。雇用調整助成金の特例措置もそうだが、2月末までの期限を必要な限り延ばせるよう検討してほしい」と述べました。

 当事者の二人は最後に、「1月に関しては前半でシフトを切り詰められ、後半は入れない状態。今日、明日から仕事どうしようかな、どうやって食っていこうかという感じ。1月に働いた給料は2月に入るが、ざっと計算しても5、6万円くらいになってしまっている。何らかの手当がないと僕以外も、バイトさんなど苦しい状態が続いている」「議論をスピーディーにして結論を早めに出してもらうことが日本全国にいる非正規労働者の明日、未来に切実につながっていくことなのでお願いしたい。これからコロナで死ぬ人間よりも自殺者の方がどんどん増えていく。そこは肝に銘じてやっていただきたいとせつにお願いしたい」と切実な思いを訴えました。

 同日の会議で出た要望等については、厚労省は検討し14日の会議で回答することとなりました。