立憲民主党は15日、厚生労働省を訪れ、新型コロナ専門病院化等により転院を強いられる妊婦等の追加費用負担の全面免除を求める申し入れをおこないました。申し入れには立憲民主党から、石橋通宏厚生労働副部会長、山井和則、早稲田夕季両衆院議員、塩村あやか、田島麻衣子両参院議員が参加しました。
今回の要望は、都内の3病院(広尾病院・荏原病院・豊島病院)が新型コロナ専門病院となることに伴い、妊産婦や通院・入院中の患者が転院を強いられ、今後の受診・治療や追加の費用負担等に大きな不安が生じていることを受け、厚生労働省に申し入れたものです。会派の厚生労働部会では、実際に都立広尾病院から転院する必要が生じた当事者の妊婦さんからヒアリングをおこない、緊急にこの要望を取りまとめました。
具体的には、次の5項目を要望しました。
(1)国として転院に係る追加費用を患者に求めないことを速やかに決定・公表するとともに、自治体に通知すること。その上で、転院に係る追加費用を患者が負担することのないよう、出産費用の差額や転院先病院への紹介状費用、交通費なども含め、国として財政支援を講じること。
(2)転院が必要な患者について、速やかに転院先が決定されるよう、国が積極的に自治体の調整を支援すること。
(3)転院により担当医の変更が余儀なくされるなど精神的な負担も大きくなることが見込まれることから、患者の精神的ケアについても万全を期すこと。
(4)今般の緊急事態宣言の対象拡大及び今後の新型コロナウイルスの感染拡大により東京都以外でも同様の状況が発生することも予想されるため、そうした場合においても患者への負担が生じることのないよう、国として必要な措置を制度化し、予め都道府県への周知を行うこと。
(5)今回の都立病院で起こった事案は氷山の一角であり、より深刻な危機を迎えているのは地方である。既に、通常医療がままならない現実がある。今回影響を受けた産科医療はもちろんのこと、救急医療体制の実態を早急に把握すること。その上で必要な支援を速やかに行い、地方の医療体制を守ること。
申し入れ後、記者団の取材に応じた石橋副部会長は、「転院を迫られた妊婦さんの中には、追加コストを支払うことができず、この子を産めないのではないかと絶望する方もいらっしゃる。由々しき事態だ」と、今回の事態の深刻さを指摘。さらに「現下の感染状況では、こういった問題が東京都以外の地域で生じる可能性もある」と語り、各都道府県との調整を急ぐよう求めました。
塩村議員は、「電話をいただいた当事者の妊婦さんは、今回の事態を報道で知った後、病院に連絡したら保健師に連絡してくれ、保健師に連絡したら都に連絡してくれ、都に連絡したら保健所に連絡してくれと、対応をたらい回しにされ、不安を大きくしている。医療崩壊のしわ寄せが社会的弱者にいかないような制度と体制づくりを求める」と強く要望しました。
田島議員は、「深刻な問題だが、即断即決でやるとは約束してもらえなかった。われわれとしても引き続きこの問題について見守って行く」と語りました。
山井議員は、「新型コロナウイルス感染症が事情で転院を強いられた人に、これ以上の自己負担を求めないというのは当たり前のこと。それをこの期に及んで約束できないというのは非常に残念で、全国の妊婦さんを不安にさせる」と指摘しました。