立憲民主党ジェンダー平等推進本部(本部長:大河原雅子衆院議員)は19日、コロナ禍の女性支援について、内閣府から「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」(座長:白波瀬佐和子東京大学大学院教授)、日本労働組合総連合会(連合)よりヒアリングをおこないました。

 同研究会は、新型コロナウイルス感染拡大が女性の生活や雇用に与える影響を議論する有識者研究会で、内閣府が2020年9月30日に設置したもの。11月には深刻な影響を受けている女性の現状を踏まえた緊急提言を橋本内閣府特命担当大臣(男女共同参画)に手交しました。

 冒頭、同本部長の大河原衆院議員は、「2021年、政治決戦の年となったが、ジェンダー平等推進は日本の大きな課題。これまで見過ごしてきたこと、先送りにしてきたことが今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により一挙に噴き出している。ピンチをチャンスに捉え直して立憲民主党はこの国を大きく変えていきたい」とあいさつしました。

 本部長代行の徳永エリ参院議員は、「感染拡大が止まらないなか、2回目の緊急事態宣言により大きなダメージを受けている。特に働く女性、非正規の方は日々の暮らしがままならない状況だ。その影響は子どもたちにも出てきていて、虐待やDV(ドメスティックバイオレンス)や自死はますます深刻になっている」と指摘。「いまの政治の対応の問題を是正し、これ以上厳しい状況にならないように頑張っていく」と力を込めました。

 会議ではまず、内閣府男女共同参画局が、12月24日に開かれた「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」での資料をもとに「コロナ下の女性への影響について」の最新の状況、11月緊急提言の内容とそれを踏まえた政府の対応状況・関連施策(下記PDF参照)、令和2年度「男女共同参画の視点からの新型コロナウイルス感染症対策に関する調査」中間報告――等について概要を報告。コロナ禍での就業者数や雇用者数、休業者数、非労働力人口・完全失業者数の推移については、2020年4月に男女とも(特に女性が)大きく影響を受けた後、7月頃から回復途上にあったなか今回2回目の緊急事態宣言が発令されたとして、今後注視していく考えを示しました。

 また、DVの相談件数では、5、6月は前年同期比の約1.6倍、性暴力等の相談件数は4月から9月の累計で前年同期比の約1.2倍、自殺者数では6月以降6カ月連続で増加、特に女性の自殺数が増えた10月は879人と対前年同月比で413人増加したと報告。学生・女性等の自殺者数が増えていることも問題視し、支援の必要性をあらためて強調しました。

 調査では加えて、緊急事態宣言中およびそれ以後においても、女性が男性と比べて生活全般に関する不安やストレスを大きく感じていること、特に「家事・育児・介護などの負担が大きすぎると感じた」「家計の先行きについて不安を感じた」「仕事を失う不安を感じた」といった項目で男性に比べて10ポイント以上差があったと報告。家事分担や育児分担などで女性への負担が過重となりストレスになっていること、テレワークに対しても女性の方が「家事が増える」「自分の時間が減ることがストレス」などの声が多く、マイナス面の要素が男性よりも高いと指摘しました。

 続いて、連合の総合政策推進局長の井上久美枝さんが「コロナ禍における雇用・生活対策本部」の主な取り組みや、連合「なんでも労働相談ホットライン」(2020年1月から9月)の相談件数と相談内容、テレワークやコロナ禍における雇用に関する調査結果などについて報告。意見交換会での声や調査結果のまとめとして、(1)「エッセンシャルワーカー」と言葉で称賛するだけでなく、均等待遇や同一価値労働同一賃金の実現のためのさらなる取り組み(2)テレワークは性別や業種・職種別、企業規模別に分析し、問題(負の側面)を明らかにしたうえで対策を図ること(3)固定的性別役割分担意識の払拭と、育児等を社会全体で支える仕組みの充実により、女性の雇用と所得を安定させること――などを求めました。

 その後の質疑応答では、出席議員から「女性がこれまで内在していた課題、特に非正規労働(のあり方)については転換を図るべきではないか」「緊急提言について、しっかりスピード感をもって対応できる体制になっているのか」「テレワークについては負の側面を明らかにしたうえで対策を講じてもらいたい」などの質問、意見が上がりました。

 今回のヒアリングは、司会進行を事務局長の打越さく良参院議員が担当。オンラインで自治体議員も参加し、課題を共有しました。今後党として、自治体議員とも連携し、地域で受け止めた困窮女性らの声を国政に届けていくよう、取り組みを進めていくことを確認しました。

【内閣府】緊急提言.pdf

【内閣府】緊急提言に係る政府の対応等.pdf