衆院予算委員会で25日、第3次補正予算案の審議が行われ、「立憲民主・無所属」から長妻昭議員が登壇。菅総理に政府の危機管理の問題点を指摘した上で、(1)医療資源偏在(2)後方受け皿病院・施設の選定(3)広域入院――の3つの調整に国の関与を強めるべきだと提言しました。

 冒頭、警察が扱ったコロナ陽性死者数(新型コロナウイルス陽性死体取り扱い数の推移)について、小此木国家公安委員長より説明を求め、昨年から今年にかけて警察が検死した事案が197件に上ると確認しました。長妻議員は菅総理に「助かる命が助かるように、このような実態を調査するよう指示すべきだ」と強く求めました。

 次に、コロナ陽性者の救急車を呼ぶ判断基準について、田村厚生労働大臣に確認しましたが、明確な答弁は得られませんでした。長妻議員は多くの国民が不安な中、政府が統一したメッセージを発信すべきだと要請しました。

 長妻議員は国が前面に出てきていないことが問題だとし、「国が関与を強めるべき3つの調整」を提案しました。

 まず(1)医療資源の偏在について、国が全国の医療人材の配置や潜在看護士の獲得を調整し、特に大学病院や国立病院などの特定機能病院における病床の比率を上げるよう、菅総理に「地域と話して何とか病床を増やしていただきたい」と強く求めました。

 (2)役割分担の調整について、感染レベル(重症者、中症者、軽症者)や入院から退院までの流れにおいて、国による後方受け皿病院や施設の選定が必要だと説明し、菅総理を本部長に政府の「病床調整本部」の設置を提案しました。また、民間病院で受け入れが進まない理由について、もしクラスターが起これば経営が破綻するからだと述べ、菅総理に医療機関のクラスターへの完全補償を求め、菅総理の同意を引き出しました。

 (3)広域入院の調整について、現在東京都内では入院しないといけない感染者が1日200から300名に上るが、入院先が見つからない状況が続いていると述べ、菅総理に「政府を挙げて災害並の対応」を強く求めました。

 最後に新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの西浦博京都大学大学院医学研究科教授を参考人として本日の委員会に呼び、緊急事態宣言の解除基準について意見を聞く予定だったが、自民党から「民間人は呼ばない」という理由で拒否されたと明かし、科学的根拠に基づいた議論を避けた政府・与党を厳重に注意しました。