衆院で25日、今通常国会で初めての予算委員会が開かれ、江田憲司代表代行が第3次補正予算の基本的質疑で質問に立ちました。冒頭、江田代表代行は各種調査で内閣支持率が急落していることを指摘。国民に対し、総理自身の言葉で話かけていないのも一因の一つではないか、と述べました。昨年秋の臨時国会で、菅首相が人気アニメ「鬼滅の刃」のセリフを用い、「『全集中の呼吸』で答弁させて頂く」と啖呵を切ったにもかかわらず、その後の国会では、「ご指摘はあたらない」「答弁は差し控える」といった、紋切り型答弁に終始するケースが多かったとも指摘。「『答弁を控える』と総理が答弁した回数を調べたところ、なんと113回もあった。『全集中の呼吸』はどこに行ったのか」と、総理の答弁に対する姿勢をただしました。「答弁書を読んでいたのでは国民に伝わらない。ご自身の言葉で答弁されませんか」と、菅総理に呼びかけましたが、菅総理は「内閣総理大臣としてしっかりとした答弁をしたい」と回答するに留まりました。
またここ1年を振り返ると、「国民に10万円を一律給付」「持続化給付金」「家賃支援給付金」「雇用調整助成金の引き上げ」など、野党から政府に投げかけてきた提案を政府が半月ないしは1カ月後くらいに政府が採用するという流れが続いてきたことに言及。政府が閣議決定したインフルエンザ特措法・感染症法の改正案についても、野党の意見に真摯に耳を傾けるつもりがないか政府をただしました。法案を早急に成立させるためにも、野党第一党である立憲民主党の枝野幸男代表と早期に党首会談を行い、意見交換するつもりはないかとただすと、菅総理からは「(特措法の件で)党首会談することについては、やぶさかでない」と、前向きの答弁を引き出すことができました。
さらに世論には、菅政権のコロナ対応について「『後手後手』『小出し、後出し』『戦力の逐次投入』といった批判が多くみられる」として、菅内閣の危機管理のあり方について疑問を投げかけました。危機管理の専門家である故佐々淳行氏の「最悪の地獄絵図を想像しながら、プランA、B、Cを練る」という言葉を引用しながら菅総理に対し危機管理の要諦についてただしました。これに対し菅総理が、このコロナ危機に関しては専門家の知見を聞きながら判断せざるを得ないと答弁すると「それではなぜ『GoToキャンペーンを中止すべき』という分科会の助言を昨年秋に無視し続けたのか」と強く反論しました。
第3次補正予算に関しても江田議員は「菅内閣の危機意識の薄さ」が表れていると指摘。3月で使い切るという前提の補正予算の中に、GoToキャンペーン予算1.1兆円、脱炭素基金2兆円、大学ファンド0.5兆円、そして国土強靭化予算2.1兆円などが計上されており、これらは本来、本予算に計上されるべきだと断言。このような内容の政府の補正予算に対し、立憲民主党は、(1)コロナ対応による医療機関の減収分の補填費用(2)医療介護保育関係者などに対する慰労金の支給(3)低所得の子育て世帯に対する現金給付(4)飲食店の事業規模に応じた休業補償――など、コロナ対応を最優先する補正予算の組み換えを要求するつもりであると述べました。そして全国民に対する一律10万円給付の時のように政府案を撤回し、補正予算を出しなおす考えはないか、菅総理に問いただしました。これに対し、菅総理は「コロナ患者を受け入れる医療機関が、それによって損失を被ることがないよう十分な対応をしている」とは答えたものの、これ以外の項目に関しては正面から答弁をすることはありませんでした。