衆院予算委員会で26日、第3次補正予算案の審議が行われ、立憲民主・無所属から予算委員会筆頭理事をつとめる辻元清美議員が登壇。感染症対策への国民や現場の感覚と菅総理との問題意識の齟齬を指摘した上で、GoTo予算の医療支援への組み替えと、感染症法改正案における入院拒否等に対する刑事罰を撤回するよう求めました。
冒頭、辻元議員は搬送中や自宅で亡くなる国民が相次いでいると述べ、菅総理に「救える命が救えないことに責任を感じているのか。国民は今何を望んでいるのか」見解をただしました。菅総理は「必要な医療を提供できる体制ができていないということに国民のみなさんが不安を感じているのではないか」と答えました。辻元議員は医療の不備を認めた菅総理に対して、「第3次補正予算のGoTo予算を医療に振り向けるよう、今決断してください」と迫りました。
看護師の清掃業務の負担軽減について、緊急事態宣言が発出されている11都道府県において清掃業者の請負が3件しか成立していないという実態を厚労省に確認し、菅総理に「地方に丸投げしているだけでは駄目。国と地方の目詰まりを点検するように。医師や看護師は命綱だ」と強く求めました。また、感染病棟の清掃・消毒ができる清掃業者が限定されていることから、菅総理に自衛隊の医療チームの病院への支援の検討を依頼しました。
東京オリンピック・パラリンピックの開催時に必要な医療体制について、「1万人程度の医療スタッフが必要だ」と橋本五輪大臣に確認した上で、日本医師会の中川会長が感染状況が収まらず、6、7月にワクチン接種を控えている中での開催は不可能だと表明されたと説明。菅総理の強がりでGoToや入国制限の判断が遅れたと指摘し、「『何が何でもオリンピック』にならないように。聖火リレーが始まる3月25日までに結論を出すべきだ」と苦言を呈しました。
変異ウイルス感染者数が51名に上ると説明し、日本はアジアで最悪だと警鐘を鳴らしました。菅総理に水際対策の一層の強化を求めました。
感染症法改正の入院拒否などへの刑事罰について、ある区長から「これ以上保健所の職員を追いつめないで。保健所の職員が感染者の告発をする立場にさせられるのは耐えられない」という声が寄せられていると紹介。また、このような改正がなされると「1件目の逮捕は大きく報道され、感染者やその家族への差別や偏見が生まれる」と社会的な大きな影響を及ぼすと危機感を示しました。菅総理に「刑事罰はやめるべき。見直すべきだ」と迫りました。菅総理は自治体からの協力要請に従わない感染者がいる事実を述べ、人権に配慮していく考えを示しました。
今月亡くなった作家の半藤一利(はんどう・かずとし)氏の著書「昭和史」からの一節「ある時点での人間の小さな決断が、歴史をとんでもない方向に引っ張っていくこともある」を読み上げ、菅総理に慎重な判断を求め、質疑を結びました。