衆院内閣委員会で1日午後、新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案の締めくくり総括質疑が行われました。衆院会派「立憲民主・無所属」から質問に立った森田俊和議員は、(1)まん延防止等重点措置や緊急事態措置に係る要請・命令の公表(2)罰則・過料の適用にあたっての私権の制限(3)COVID-19(新型コロナウイルス感染症)患者の受け入れ――等について取り上げ、政府の見解をただしました。
森田議員は、「まん延防止等重点措置や緊急事態措置に係る要請・命令の公表」に関し、昨年の緊急事態宣言期間中、休業要請に従わない店を公表したところ客が集中し、感染拡大防止の観点から逆効果になった事例に言及。店名の公表は考えているのかと尋ねたところ、西村経済再生担当大臣はそうした事例を踏まえ、「今回『公表できる』規定に改正した」と説明、「公表が結果的に対象者に制裁的な意味合いをもつことは否定できないが、合理的な行動を確保することにつながらない場面もあったことも踏まえて、合理的な行動を確保することを目的としたもの」などと答えました。
私権の制限をめぐっては、付帯決議で「罰則・過料の適用にあたっては、国民の自由と権利が不当に侵害されることのないよう、慎重に運用すること。さらに、不服申し立てその他救済の権利を保障すること」と明記。森田議員は、この救済の権利について、不服申し立てなどどのような条文に基づき行うのかを確認しました。
西村大臣は、「特措法第5条に基本的人権の尊重は規定されている」とした上で、救済の権利の保障については、「過料処分の前提となる、営業時間の変更等の命令や施設の使用制限等の命令が行政不服審査法第1条第2項の処分に該当することから、処分についての審査請求を求める同法第2条に基づき保障されると考えている。過料処分に対する不服申し立て等救済の権利の保障については、過料についての裁判に対して当事者が即時抗告できる旨を定めている。非訟事件手続き法第120条第3項、略式手続きの場合は当事者が裁判所に異議の申し立てをできる旨を定める同法120条第2項に基づいて保障されると考えている」などと答えました。
今回の感染症法改正により、国や都道府県知事が病院などに患者受け入れを勧告できるようにし、これに従わない場合、病院名などを公表するとしていることに、森田議員は、現場から導線の確保や、専門医の確保が不十分ななか「院内感染につながるのではないか」との懸念の声が上がっているとして、公表を無理に進めると院内感染を誘発につながるのではないかと指摘。医療資源に応じて役割分担をする、一括で受け入れる専門病棟を作ってもらい、そこに専門医を派遣するなど、患者を集中させることで院内感染のリスクを減らすことが重要だと提起しました。
また、COVID-19対策として、各都道府県や自治体ごとに医療支援、事業支援など事情に応じたさまざまな取り組みがなされていることから、これらを活かせるよう、国として共有できる取り組みを進めてほしいと要請。西村大臣は「大事なご指摘」と応じ、「今回、(第3次補正予算で)地方創生交付金をあらためて交付することになる。それぞれの知事や市町村が工夫され、いろいろな上乗せをされたり、独自の産業を支援している。こうした情報を私も多くの皆さんに紹介しているが、知事会や市町村会でも共有されていると思う。首長と連携しながら感染状況抑え、経済の支援もしっかりおこなっていきたい」と答えました。
森田議員は、厳しい状況にある介護事業者や中小事業者への支援についても、政府に強く求めました。