参院で3日午前、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)と感染症法の改正案に関し、内閣、厚生労働両委員会の連合審査がおこわれました。参院会派「立憲民主・社民」から質問に立った杉尾秀哉議員は、(1)特措法修正案(2)事業者への財政支援(3)積極的疫学調査の実効性の確保――等について、政府および修正案提出者に見解をただしました。
杉尾議員はまず、立憲民主党など野党4党が昨年12月2日に共同提出した新型インフルエンザ特別措置法及び感染症法改正案の趣旨と目的をあらためて確認しました。
修正案提出者で立憲民主党の今井雅人衆院議員は、野党案の基本的な考え方について「十分な補償なくして罰則なし」「私的制限には抑制的であるべきとの観点から罰則規定を設けなかった」とした上で、今回の修正案では与野党協議の結果、刑事罰は外されたものの行政罰が科されることへの懸念があることには、「罰則を科すと感染者が水面下に潜るといった懸念があることは承知している。私たちは『罰則をすべて外してください』ということで協議をスタートしたが、与党側から『本当に悪質なケースを対応する必要がある』という主張もあり、罰則を落とすところまでは至らなかった」「ただ、行政罰は警察の関与はなく、これまでと同様、都道府県知事のもとで入院の措置や積極的疫学調の対象になる方との信頼関係を構築しながら行うという、これまでの運用を維持することが少なくともできる。できるだけ抑制することにつながると考えている。修正協議によって積極的な疫学調査における罰則に、命令を前置することとし、行政罰である過料といえども慎重かつ謙抑的な姿勢でもって対処すべきとしている。政府には行政罰の前に手続きが用意されることも併せてしっかりと周知し、ただちに罰則につながることではないことを国民に丁寧に伝えてもらう必要がある」などと説明。杉尾議員は、「慎重かつ謙抑的な姿勢で対応してもらいたい」と重ねて強調しました。
事業者への財政支援をめぐっては、与野党協議での合意事項には「事業規模に応じた支援のあり方」について、「事業者の状況、必要性等踏まえて検討し、支援が効果的なものとなるよう取り組む旨を答弁及び付帯決議で明確化する」とあるにもかかわらず、西村大臣の答弁があいまいだったため、杉尾議員はこの点を追及。西村大臣から「要請に伴う支援については、要請に応じたことのみならず、要請による経営への影響の度合い等を勘案し、公平性の観点や、円滑な執行等が行えることにも配慮しつつ、要請に十分な理解と協力を得られる必要な支援となるよう努めていきたい」との答弁を得て、「前向きな答弁と受け止めたい」と述べました。
積極的疫学調査の実効性確保については、感染症法の改正では、質問者に対して正当な理由なく答弁、調査を拒むと行政罰30万円が科されるとあることから、メディア関係者の「取材報道の自由」と「取材源の秘匿」との関係から「取材先を明らかにすることを拒めば罰金の対象になるのか。取材源の秘匿は言論・報道の自由の根幹にかかわるもの。ここは弾力的に運用してもらえないか」と質問。これに対し田村厚生労働大臣は、「聞く側には守秘義務がある。確かに取材源の秘匿は大きなことで、その取材源秘匿と感染を防止するという公共の利益をはかり、どちらが大きいのか。その疾病や強毒性など総合的に判断いただく」と答えました。
杉尾議員はまた、今回3月7日までに延長となった緊急事態宣言の再延長の可能性を西村経済再生担当大臣に尋ねましたが、西村大臣は「今はそこまでに感染を抑えていくことに全力を挙げる」と決意を述べるにとどまりました。