衆院予算委員会は5日、2021年度予算案の基本的質疑をおこない、泉健太政調会長が質疑に立ちました。泉議員は、緊急事態宣言を東京の新規感染者500人で解除した場合に、ワクチンをうち始めても、もう1度宣言を発令する程度に感染者が増加する可能性があることをグラフで説明。緊急事態宣言解除のタイミングについて「どこで解除するかばかりに焦点を当てて、その先を見ないようにしていませんか」と政府の考えをただし、立憲民主党の「zeroコロナ」戦略を示しました。

 泉議員はまず、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)感染者との接触確認アプリCOCOAのアンドロイド版が4カ月以上機能していないことがわかったことについて、「デジタル感度の高い政権として、誰も処分しないで治めるのか」と田村厚生労働大臣の処分を菅総理に求めました。菅総理は、「再びこうしたことが起こらないように調査するのが私の役割」と処分する考えを示しませんでした。泉議員は「処分してもらいたいとかではなく、デジタル政策を進めるにあたり、こういうことでしっかりとけじめをつけなければ今後のデジタル政策も立ちいきませんよと言いたい」と指摘しました。

 続いて、政府が2日、年収1200万円超の人がいる家庭への児童手当特例給付を廃止する法案提出を決定したことを取り上げました。少子化対策が必要な時代に「ありえない」と語気を強める泉議員は、「少子化社会対策大綱には児童手当について多子世帯や子どもの年齢に応じた給付の拡充が必要と書いている」と説明し、今回の削減が何なのか追及し撤回を求めました。菅総理は「保育の受け皿整備の中で年収1200万円を超える皆さんに特別給付削減に協力してほしい」と答弁。泉議員は、「自民党と公明党の決定はおかしい。子育て世帯に対してマイナスのイメージを与えるのは国益に反する」と強く訴えました。

 緊急事態宣言を東京の新規感染者500人になった時に解除した場合に感染者が増加する可能性があることを示した泉議員は、「もう一度感染拡大が起こるということを総理は想定しているのか。それとも、それを起こさないことを想定されているのか」と迫りました。菅総理は、「世界を見ても周期的にコロナが来ている。ワクチン接種も始まりますから、そういう中で抑えていく。これが国の仕事だ」と答弁。泉議員は、「これからもずっと日本社会は経済をさまざま制限しながら、こうして過ごしていくことが総理の考え方だということがよくわかりました」と述べました。そのうえで、「われわれは、その考え方に立ちません。より感染対策を万全にする。そのためには医療をしっかり支援をする。また介護支援する、そして保健所の支援をする。そういう中で、無症状の方に至るまでしっかりと宿泊療養や自宅療養で回復して頂けるようにして、患者数がほぼいないという状態を早期に作り上げる。この『zeroコロナ』という考え方を多くの国民がさらに理解していただけるように、これからも訴え続けていきたい」と力強く表明しました。

 他に泉議員は、月10万円の高等職業訓練給付金の増額、医療従事者への慰労金直接給付、緊急事態宣言の解除が前倒しになった時に雇用調整助成金の申請期限も前倒しにならないようにすることを提案しました。