衆院予算委員会で8日、2021年度本予算案に関する3日目の基本的質疑が行われ、立憲民主党の川内博史議員が質問に立ちました。川内議員は、1月29日に休業支援金を受け取れない大企業の非正規労働者やシングルマザーらと菅総理との官邸での面談に同行、その際に総理が要望を受けた(1)コロナ禍の休業・短時間労働により、休業手当もなく、無収入・収入激減で困窮する大企業非正規労働者を休業支援金の対象にしてもらいたい(2)新入学や進級に備えて、低所得の子育て家庭に給付金を支給してもらいたい――の2点を中心に、政府の見解をただしました。

 休業支援金の支給対象拡大をめぐっては、菅総理は4日の質疑で、新たに大企業の非正規雇用にも適用する方針を明示、「きめ細かく対応する」などと発言。しかしながら、この適用が2回目の緊急事態宣言発令を受けた今年1月8日以降を想定していることから、「1回目の緊急事態宣言発令のときに大変になった。中小企業で働く非正規雇用の方々は、現時点でも昨年の4月分の休業支援金を請求できる。大企業の非正規労働者だけ今年からの分に限るのはあまりも公正さを欠く」と述べ、大企業の非正規労働者に対しても4月までさかのぼって適用すべきだと主張しました。

 田村厚生労働大臣は、1月8日以前の支給については「検討中」だと答弁。川内議員は、野村総研の報告書によると、コロナによる休業、シフト減のパート・アルバイト女性就業者約5千人のうち、約半数がコロナ以前と比べて「金銭的な理由で、この先、生きていくのが難しいと感じること」が増えているとして、休業支援金の必要性を訴えました。川内議員は、緊急事態宣言が出された昨年の4、5月は、サービス産業のうち特に宿泊業や飲食サービス業、その他の生活関連サービス業(主に旅行業)、運輸業など6業態の売り上げが最も落ち、大企業であっても前年比3、4割など厳しい経営状況にあったため、企業側も自己負担のある雇用調整助成金では休業手当を出せない状況だったのではないかと指摘。菅総理に昨年4月にさかのぼって休業支援金を支給するよう迫りました。菅総理は、「(1月29日の)面談で、皆さんのところまで国の制度が届いていないことは痛切に感じた。そういうなかで受け取りづらい勤務状態の方に休業支援金を対象にするように厚労大臣に指示をした。仕組みについてはいろいろご指摘あるなかで検討させていただきたい」と答弁。川内議員は、田村厚労大臣に対し「休業手当を受け取れない方たちに支援金が届くようにすることが総理のご意思だと感じた。しっかりご検討いただきたい」と求めました。

 低所得の子育て家庭への給付金の支給については、菅総理の言う、緊急小口資金等では不十分だと指摘。昨年9月28日に開かれた「子どもの貧困対策に関する有識者会議」で、委員から「ひとり親や住民税非課税世帯への継続した現金給付を」との発言があったことにも触れ、子育て世帯がどういう状況にあるか、低所得のひとり親世帯の生活実態を調査したうえで必要な施策を講じるべきだと訴えました。

 緊急包括支援交付金については、医療・介護・障害それぞれの施設への予算執行状況について、予算総額と施設への交付実績をそれぞれ確認。田村厚労大臣の答弁を受け川内議員は、現場が大変ななか申請手続きが滞り、必要な現場に予算が措置されていないと述べ、緊急包括支援交付金の10の事業のなかで一番実績のいい、医療職、介護職、障害福祉職への支援金を再度給付すべきだと述べました。

 また、東京労働局の資料をもとに、緊急事態宣言は解除したあとも3カ月程度影響が残ると指摘。影響の大きい業種に限定する形であっても持続化給付金を再支給すべきだと提案しました。

 COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の陽性者との接触確認アプリCOCOA(ココア)の不具合が4カ月以上も放置されていた問題をめぐっては、この契約のあり方について質問。田村厚労大臣は「開発事業者はパーソルプロセス&テクノロジー株式会社。緊急随意契約で、開発、保守運用への追加契約という形で締結した。その後の変更契約分も合わせると経費約3億9千万円と報告を受けている」と答えました。川内議員は「高すぎる」と述べ、引き続き追及していく考えを示しました。