衆院予算委員会で8日、2021年度予算について3日目の基本的質疑がおこなわれ、立憲民主党の4番手で矢上雅義議員が質問に立ちました。矢上議員は、コロナ禍における農林水産業への支援、高収益作物次期作支援交付金の運用変更、鶏卵業者からの金銭授受問題、交通事業者への支援、2020年7月豪雨災害への支援等について質問しました。
矢上議員は緊急事態宣言下での飲食店への時短要請は飲食店以外にも影響を及ぼしているとし、「酒屋も、タクシーや代行運転の運転手さんも売上が減っている。コメ農家も業務用の注文が減っている。漁業者も高級魚が出荷できない、船が出せない。魚の養殖でも計画どおり出荷できないので来季の稚魚を受け入れられない」など地元で聞いた声を紹介しました。政府のオンライン販促支援事業について、サイトが国民に広く知られ、届きやすくなるよう、野上農林水産大臣に改善を求めました。また、緊急事態宣言が解除されても新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が収束するまでは不安が残るので、GoToキャンペーンをリアルだけでなくオンライン型でも実施したらどうかと提案しました。
また、政府の高収益作物支援交付金制度について、制度自体は評価するものの、2度にわたり要件変更があったために現場が混乱したことに苦言を呈しました。そして、昨年12月8日に立憲民主党が農林水産省に申し入れたことを紹介し、農家が安心して営農活動できるよう要請しました。
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鶏卵業者から金銭を授受した事件で吉川貴盛元農水大臣が在宅起訴されたことについて、「大臣室で現金を授受したことは国民から見て言語道断だ」と批判し、菅総理に認識をただしました。菅総理は「吉川元農水大臣が収賄の容疑で在宅起訴となったは非常に残念。裁判中なので、行政の長たる私がこれ以上申し上げるべきではない。養鶏・鶏卵行政の公平性については農水大臣が第3者による検証を要請したと承知しているのでしっかり対応してもらいたい」と答えました。
次に、コロナ禍における交通事業者の状況と地方の交通事業者への支援について取り上げました。JR旅客各社で年末年始の新幹線、在来線の利用が前年比の3割前後となっていること、主要航空会社で本年2月の計画便数が国内線約6割、国際線で約8割減便になっていることを説明し、「普通の会社なら倒産してもおかしくない状況」と経営状況への危機感を示しました。また、バス事業については、地方での人口減少を背景に2000年以降、3大都市圏以外での輸送人員が激減していたところにコロナ禍で更に打撃を受けたと説明しました。矢上議員は、近年は高齢者が自動車の運転免許を返納する動きがあることから、地域の公共交通機関は生活に欠かせないと主張し、持続可能な地域社会の構築、2050年カーボンニュートラルを達成するためにも地域交通機関への国の支援をいっそう拡充するよう求めました。
次に矢上議員の地元、人吉市にも甚大な被害をもたらした2020年7月豪雨災害を取り上げました。停電で通信手段が断たれ、SNSで情報を取り継いだ経験から、 旧役場支所や公民館に人工衛星を活用したホットラインを配置すべきではないかと提案しました。また、生活再建支援・生業再建支援制度への申請がオンラインで円滑に実施できるよう、申請のデータベース化も提案しました。